引き続き短めの話。
まさかの竹中さん2連続。昨日の小ネタと繋がってます。
芭蕉さんと曽良君がフィッシュ竹中さんと出会う話。タイムスリップ竹中さんです。
以下よりどうぞ〜!
「遅いなバカジジイ…どれだけ釣りに時間かかってるんだか。また池に落ちたか?」
「曽良君曽良君!ちょっと見てこれ!すっごいの釣れた!」
「遅いですよ芭蕉さ……はい?」
「釣られたわけではない、糸に掴まっただけだ」
[元禄師弟とお魚さん]
「おお、魚が喋った!?」
「…魚なんですかこの人」
「えー、だって後頭部が魚の人は人間じゃないでしょ!バッカだな〜曽良君」
「人間の顔と胴体と足がついてるのは魚と言いませんよ」
「何を話しているんだ二人とも。それより、聞きたいことがあるんだが…」
「芭蕉さん、元の池に返してきてください」
「こんな大きい魚無理だよ!」
「言葉は通じるようですし、なんとかなりますって」
「そうかな…じゃあ君がやればいいじゃないか!」
「釣ったのは芭蕉さんでしょう」
「聞こえているか二人とも。まずは名前を教えてもらえないだろうか」
「あ、ごめんなさいお魚さん!私は俳句で有名な松尾芭蕉で、あなたを釣った者です。俳句を詠みながら旅をしているところだよ」
「弟子の曽良です。あなたの名前は?」
「私はフィッシュ竹中という。恥ずかしながら現在迷子中だ…いや、迷ったわけではなく、知らない場所を泳いでいただけであって」
「なんか…めんどくさいね、このお魚さん」
「芭蕉さんに言われるとさすがに怒りますよ」
「え、そんなにめんどくさいの私!?知らなかった…」
「バナナとソクラテス、と言ったか。少し頼みがある。今度はちゃんと聞いてほしい」
「ちゃんと聞くけど、私は芭蕉だよ!」
「ソクラテスって誰ですか?…まあいいか。何ですか?」
「実はここに来る前に友人からカレーをかけられてしまってな。お気に入りの服も汚れて臭いもついてしまった。
その友人には『これからは歩きながらカレーを食べるな』と注意しておいた。それはいいのだが…水で洗い流すために池の底まで潜っていたら、急に渦が発生して巻き込まれてしまった。
そして渦から脱出して上がろうとしたら、私が知らない池にいた。ということだ」
「な、なるほど…ねぇ、曽良君。私どこからツッコめばいいのかな…」
「この人の見た目と、歩きながらカレーというものを食べてる友人と、池に渦が発生したことと…カレーって何でしょうね」
「カレーというのは私の友人の大好物でな。美味しいのだが、独特の臭いがある。友人はよくカレー臭がきついと言われているらしい。今の私もカレー臭がするのだろうな…」
「竹中さん…そのカレー臭ってもしかして」
「芭蕉さんもしてますね、加齢臭」
「そんなこと言うなよ曽良君!傷つくじゃないか!!」
「それで頼みって何ですか、竹中さん」
「この臭いを落とす方法を教えてほしい」
「元の場所に帰る方法じゃないんだ…」
「帰るには先ほどの池にもう一度潜って渦に探せばいいと思う。しかしこの臭いのまま再び潜ると、池の魚達に悪影響を及ぼしかねない。だから、何か臭いを消すものがほしい」
「仲間思いなんだね、竹中さん…曽良君、なんとかしてあげようよ!」
「なんとかと言われても…」
「このお魚さんだって故郷に安心して帰りたいだろうし。このままここにいたら漁師さんに捕まって食べられちゃうよ!」
「食べられるのかはともかく…仕方ないですね。一つだけ案を思いついたので、やってみましょう」
「マジで!?早いな曽良君…」
「竹中さん、臭いを消すのは無理ですが、誤魔化すことはできるかもしれません」
「本当か、ソクラテス!私としてはそれでも構わない。どこにあるんだ?」
「それは…」
「…え、曽良君?何して」
ビリリリッ
「ここにあります。使ってください。違う意味のカレー臭がしますが、これならうまい具合に誤魔化せると思います」
「ふむふむ…なるほどな。確かに、この強い臭いなら誤魔化せそうだ…ありがとう、ソクラテス」
「どういたしまして」
「私の袖が…」
「まだ半分残ってるし、元々半人前だったからいいじゃないですか」
「半人前って言うな!そろそろ一人前だ!」
「二人ともありがとう。これで安心して帰れそうだ」
「気を付けてお帰りください。それは返さなくていいですよ」
「それ私のだからね曽良君!まあ、返さなくていいけどさ。替えの着物あるし…」
「二人は旅をしているのだったな。邪魔して申し訳ない…二人も道中気を付けてな」
「ありがとうございます」
「ありがとう、竹中さん!またいつか!」
「ああ…またいつか」
「行っちゃったね竹中さん」
「悪い人じゃなくてよかったですね」
「うん!いいお魚さんだった」
「魚じゃなくて人でしょう」
「まだ言ってるの曽良君!?頑固だねぇ…」
・
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「昨日はごめん、フィッシュ竹中さん…」
「もう気にしていないから気にするな」
「ほんとに?それならいいけど…ん?その緑の布きれは?」
「これは…バナナとソクラテスからの贈り物だ」
「そうなのか!面白い贈り物だな。その二人に会ってみたいな…」
「ああ。またいつか、な」
終わり
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昨日ネタを考えてたときに、細道組と竹中さん絡んだらどうなるかなと考えてました。
芭蕉さんがヒくレベルのマイペースっぷり。書いてて楽しかったです^^