若い職人たちが経営する雑貨屋さんに寄る。赤や黄色や青のレトロな雑貨が彩りづくしに置かれていて、おもちゃと知っていても手に入れたくなる。
帰り道、母にねだって家で食べるためのおやつを買いに菓子屋を訪ねる。すぐ近所にある昔ながらの菓子舗は少し照明を落としていて、喫茶店も兼ねている。
目線の高さほどある大きなショーケースには、クリームのたっぷりと乗ったケーキがひしめきあうように並べられていた。
だいたいひとつ四百五十円ほどするが、半額で美味しそうなケーキがあるのを見つけてしまう。
苺の乗ったショートケーキと、苺クリームの盛られたタルト。
レジの上に、青や緑の薄いプラスチックの板が置かれていた。プラスチック、というよりはビードロのような、と表現した方が似合うかもしれない。そういう色をしている板には、白い数字が彫られている。
カウンターの向こうに立つパティシェのお姉さんが、セール中です、と声を出す。
この札を好きなケーキに付けてください。そのぶんだけ割引いたします。
何でもですか?と思わず尋ねる。
はい。
結局、百六十円ほどで美味しそうなケーキが買えてしまうことになる。
チョコレートパウダーのかかったホールケーキを八等分に切ってもらって、ケースに包んでもらう。
店の奥でショートカットの店員さんがブルーマウンテンを挽いていて、紳士風のサラリーマンや主婦たちが美味しそうにそれを飲んでいる。
………あの珈琲なら私も飲めるかもしれない。(僕は珈琲がのめない)甘いケーキにもよく合うと思う。いっそここで食べていった方がいいんじゃないのかな。でももう、箱にしまわれてしまったし、私は母とこれを家で食べるんだ。
だが帰宅して、飲み物がないということに気がつく。
私は再び部屋を出た。
雑貨屋さんにお使いにいくついでに、あのブルーマウンテンの豆を買いにいこう。
……という夢を見たために朝からとても、もうそれはとても。
ケーキが食べたい、ひたすらに。
今日は遊びにいくから、友人に頼んでみようか。
ドラマ版すごく好きでした