チョコレートソーダなる飲み物の名を初めて聞いたのは何時の頃だったろう‥。

恐らくは小学生時分、そしてそれは、今日のような程よく晴れた夏の日であったように思う。

何の気なしに観ていたアメリカのカートゥーン(アニメ番組)に、それは登場したのだった。

如何にも“アメリカの少年”っぽい感じの男の子が町の駄菓子屋みたいな雰囲気の小さなカフェテラスのような店に入って、当たり前のような顔でチョコレートソーダを注文する‥そんな場面だったと記憶している。

番組は確か【スヌーピー】だったような気がするが、正直、それについてはあまり自信がない。でも、もしそうだとすれば、その男の子はチャーリー・ブラウンと云う事になるだろう。

兎にも角にも、それが、私と【チョコレートソーダ】との初めての出会いであった。

当時は私も少年で、大方の子供がそうであるように、チョコレートは大好きだし、ソーダ水も大好きだったので、当然、この【チョコレートソーダ】は、否応なしに私の心を惹きつけた。

チョコレートとソーダの取り合わせは、新鮮で、怪しくて、不思議で、微妙で‥どうしようもなく魅力的であった。

それで、何とかこの【チョコレートソーダ】なる物を飲んでみたいと、あちらこちらの店を回ってみたのだが、残念ながら、それは何処にも見当たらなかった。

当時は現在と違って輸入雑貨の店などは殆ど無かったのだ。

そんな感じで、憧れとも好奇心ともつかない気持ちを胸に抱いたまま、しばし時は流れ‥やがて私は【チョコレートソーダ】と巡り合う事になる。


やはり、それは夏と云う季節で、私は高校生となっていた。

手に入れたのは、恐らくはアメリカからの輸入品と思われる、缶入りの【チョコレートソーダ】だ。

私は缶のプルタブを、期待半分不安半分で引き上げる。

いや、正直に云おう…

期待10%、不安90%である。

チョコレートと炭酸の相性が良いとは、とても思え無い。それが不安に傾いた理由だ。

もっともそれは、例のスヌーピー(多分)のアニメで初めて【チョコレートソーダ】なる存在を知った時からずっと感じていた事で、

どう考えても、チョコレートと炭酸の相性が良い訳がない。

しかし、アニメの中のチャーリー・ブラウン(多分)は、さも当たり前のように【チョコレートソーダ】を注文し、しかも、それを美味しそうに飲んでいた。

と云う事はつまり…
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