真田誕生日とあまり関係ないですが、同じシリーズの話ということで今日のうちにここに載せておくことに。
続きが浮かばなかったのと、暗い話ばかりだと飽きるかなぁと思って載せてなかったものです。
でも途中から会話とかを付け足したら、そこまで暗くなくなりました。
違う二人シリーズで、中学2年生の3月。
弦一郎に気持ちを伝えられない蓮二の話です。シリアスめ。
2nd. 3/9 昼休み
「弦一郎。まだ俺のことを好きでいてくれるのか?」
「当然だ。好きに決まっているだろう」
今はまだ明確なことを言うことができないが、せめてこれだけは伝えたいと思った。
真田弦一郎の柳蓮二に対する気持ちが、無くなってしまわぬように。
[話せない違う二人]
先日、誕生日だった幸村精市に言われた言葉。
『どうして真田の気持ちに応えようとしないの』
『君だって、真田のことをちゃんと想ってるはずだよ』
いつからなのかは不明だが、精市は気づいていたらしい。
友人二人の関係が、それまでと少し違うものになってしまったことに。
入院中で自分も苦しい時期だというのに、俺は精市に気を遣わせてしまっていたようだ。
本当に、申し訳なく思う。
友人である真田弦一郎からのプレゼントを受け取ってから、9ヶ月余り。
弦一郎はそれよりも前からずっと見ていてくれていたというのに、気づかなかったことを何度も何度も後悔している。
『返事は要らん』と言わせてしまったのは、俺自身だ。
望みが1%も無いと思わせてしまった。それでも、諦めたくても諦められず、気持ちだけ伝えることにしたのだろう。
俺のリクエストでもあった「柳蓮二の知らない真田弦一郎のデータ」として。
あのリクエストは、俺にとって特に意味の無いものだった。
友人である弦一郎からもらえるものなら、何だって受け取っただろう。
ただ、「このリクエストをすればどのようなものを持ってきてくれるだろうか」という好奇心は持っていた。
弦一郎は「蓮二らしいリクエストだ」と思ったかもしれないが、プレゼントに対する俺の反応までは考えていなかった可能性が高い。
俺の反応を見た弦一郎は、まだ望みがあると思ってくれたのだろうか。
諦めさせないために、様々な策を練って、実行した。
二人でいる機会を増やしたし、キスをさせるように誘導した。
少しは俺の気持ちに気づいてくれるように。
気づかないなら、それはそれで面白い。
真田弦一郎はそういう男なのだと思うだけだ。
「それはよかった。好かれるのは嫌ではないからな」
「…俺は喜んでいいのだろうか」
「その困った顔も嫌ではない」
「意地悪だな」
この遠回しなやりとりが終わるまで、あと少し。
end.
・・・・
蓮二のリクエストの理由はこんな感じでした。人のことには鋭いのに自分の気持ちに疎いといいです。
気持ちを伝える前に離れてしまうことを恐れる蓮二。11ヶ月と16日間は色々と大変だったと思います。無駄な時間とは思ってないでしょうけどね。