Sea-Sky Diary

暗闇に浮かぶ満月がいつもより大きく赤みががって見えるのを、
少しだけ気味が悪く感じたり

桜もとっくに散って、葉桜も茶色く見えるのを
少しだけ寂しく思ったり

ああ、もうそんな時期か。

「曽良くーん、花見しようよ〜」
まあ、この人の頭の中は年中春でしょうけど。

[花より××]

「桜の時期は終わりじゃないんですか」

「まだ残ってるじゃないか！全部散るまで、ぎりぎりまで楽しみたいんだよ」

ほら、桜餅もあるし！と、包みを広げる。
塩漬けされたであろう葉と、それに包まれたピンク色の潰れたもち米。
木の箱の中に六つ、きれいに並べられている。

「未練がましいですね。桜もウザイと思ってますよ、きっと」

「む〜…ふられた女の人追っかけてるみたいだよ、それじゃ」

ほっぺたを膨らまして唸る師匠をよそに、箱の中の桜餅を手に取って一口。
今日のお菓子は、いつものより美味い気がする。

「あ〜！私が持ってきたんだよ、それ！」

「だから？」

早くしないと全部食べられそうだと思った師匠は、焦って一つをぱくり。

「うん、やっぱり美味しい！桜餅大好き！」

「それ、去年も聞きましたよ。」

「そうだっけ？」

「あと、似たようなセリフを端午の節句にも。
『うん、やっぱり美味しい！柏餅大好き！』って」

「マジで？」

結局花より団子か、と呆れたが。

「まあ芭蕉さんらしくて良いと思いますけど」

「ちがうよ！ちゃんと花も見てるよ！」

毎年同じ人と行う花見を楽しみにしている僕も、人のことは言えないと思った。

end.
・・・・
桜餅は道明寺派です←
今年はまだ食べてないな〜と書きながら思いました。
食べたい！(笑)