話題:突発的文章・物語・詩


ヨボヨボ神社の御守りを開いた光の勇者【シャイニング輝】は、中に小さく折り畳まれた一枚の紙切れが入っているのを見つけた。

紙を開くと「左の靴の中敷きの下を見よ」の文字が。指示に従い中敷きをめくる光の勇者。ところが、そこには何もなかった。念の為右の靴も調べるが、やはり何もない。

困惑する【シャイニング輝】。

ああ、こんな時に召還騎士がいてくれたら!再びサンバカーニバルの軍団を呼び、どさくさに紛れて新宿御苑に入り込めたものを!

だが、無い袖は振れぬ。そして、今の【シャイニング輝】はノースリーブ状態だった。

どうやら、新宿御苑へ入るのは不可能のようだ。すまない…感じのいいお姉さん。私は君を救えなかった。しかし、この悲しい経験は必ず勇者としての私を成長させてくれるだろう。さらば、名も知らぬ受付嬢。ありがとう。そして…フォーエバー。

勝手にイベントを終了させようとする【シャイニング輝】。

ところが、ここで思いも寄らない事が起こる。「どうぞ入苑ください」。新宿御苑の門衛、サンライズこと日ノ出日出男が何故か唐突に勇者の入苑を認めたのだ。

「何で?」率直に訊ねる【シャイニング輝】。

「いや…紙切れに“左の靴の中敷きの下を見よ”って書いてあったから、何となくつられて左の靴を脱いで確かめてみたら…こんな物が出て来てさ」

そう言いながら門衛は、金ピカに輝く一枚のカードを【シャイニング輝】に差し出した。

そう…それこそは“現金持ち歩かない派”の宇宙人にとっての至宝のアイテム、宇宙のどんな場所でも使えるという伝説のクレジットカード、その名も《OK牧場ゴールドカード》だったのである!


【終】


そして次回…

大学入試にチャレンジし続け幾星霜。今年、めでたく42浪が確定した【大学芋 喰兵衛】(だいがくいもくうべえ)君は六十歳の誕生日を迎えていた。

そんな彼を祝うべく友人一同が発起人となり還暦パーティーが開かれるが、かつての同級生達の半分以上が今年定年退職を迎える事を知った大学芋君は、自分の人生の立ち遅れ加減に流石に少し焦っていた。

だが、人生の終盤戦に突入した彼らに比べ、自分はまだ序盤戦。そう考えると、胸の奥から希望の炎がメラメラと立ち昇ってくるのであった。

一昨年は、初めて朝寝坊せず、遅刻しないで入試会場に着く事が出来た。去年は、ついに自分の名前を間違えずに記入する事が出来た。

亀の歩みがレッドブルのF1カーに思える程のスローペースながら、着実に一歩ずつ前に進んでいる。

還暦パーティーの席上で伝説の浪人生は白髪染めの頭をさすりながらも何時にない手応えを感じていた。そして「来年こそ自分の名前を、今度は全て漢字で間違えずに書くぞ」と決意を新たにするのであった…。


次回あらすじ大作戦『教授と間違えられて挨拶される受験生』に裏口はなし!