話題:もうこんな時間!?


門衛の左足の靴の中敷きの下という小さな湿地帯から出現した《OK牧場ゴールドカード》。恐らく宇宙長老ヨボヨーボはここまでの展開を全て予測し、予め門衛の靴の中にカードを忍ばせて置いたに違いない。まったく、何という鋭い予見だろう。

かくして門前払いの憂き目から逃れた【シャイニング輝】は、いよいよ新宿御苑の庭苑内へと足を踏み入れたのだった。

目指すは五重の塔。そこに囚われている“感じの良いお姉さん”を救い出すのだ。

【シャイニング輝】は取り敢えず、庭苑内の人々に片っ端から話し掛け、情報を集める事にした。だが……

「ここは、大都会のオアシス新宿御苑だよ」

「武器や防具は持っているだけではダメだ。ちゃんと装備しないと」

「この前、井戸の底で何かが光ってたんだけど…あれ、何だったんだろ?」

皆、てんで勝手な事を言うだけで有益と言える情報は、ほぼ皆無に等しかった。勇者の冒険は完全な行き詰まりをみせていた。

ところが、物語の突破口は意外なところから開かれる事となる。

庭苑の芝生で日向ぼっこをしている仔猫に【シャイニング輝】が惰性で会話を試みると、なんと仔猫は当たり前のように人語で言葉を返してきたのである。これだからRPGは侮れない。まさか「猫に話し掛ける」がフラグポイントになっているとは。

再び動き始めたストーリー。しかし、そこには予想だにしない展開が待ち受けていた…。

仔猫は断言した。

「新宿御苑は隅から隅まで知り尽くしてるけど…五重の塔は見た事ないニャア」

新宿御苑に五重の塔は存在しない?

事態はまさに混迷の様相を極め始めていた…。

【終】。


そして次回…

未明、東京都内の路上で新種と思われる野性の孔雀が目撃された。

警察やボランティアなど、のべ1万人体制で捜索に挑んだ結果、最初の目撃から3日後、麻布十番で孔雀の捕獲に成功。捕まった孔雀はそのまま特製のゲージに入れられ動物園へと連行された。

しかし…学者が孔雀を詳細に調べたところ、とんでもない事実が明らかになった。

なんと、新種の孔雀と思われた生物は、実は作家の志茂田景樹先生だったのである。


次回あらすじ大作戦『孔雀警視』に全米のアゴがしゃくれた!