話題:突発的文章・物語・詩
第一話『この橋わたるべからず』
桔梗屋に呼び出された一休が橋のたもとに差し掛かると、其処には大きな立て札がいつの間にやら建てられていました。
そして、立て札にはこんな事がさんに云いました。書かかれていたのです。
《この橋わたるべからず》
桔梗屋はこの橋を渡ったすぐ向こうです。橋が渡れないのは困ります。
御供をしていた新右衛門さんが困り顔で呟きます。
新右「これはどうしたものか…このままでは桔梗屋に辿りつけないではないか」
ところが、一休は「大丈夫ですよ」、平然と橋を渡ろうとしているではありませんか。それも橋のど真ん中をです。
新右「一休さん一休さん、それはまずいのでは…」
心配そうな新右衛門さんに、一休は笑いながら云いました。
一休「こんな立て札、見なかった事にして渡ってしまえば良いのです。それが最も現実的な解決策ですし、それにもともと、こんな立て札、法的な拘束力はないわけですしね」
それを聞いた新右衛門さんは、一休の襟首をむんずと掴んで引き戻しました。
新右「そんなリアリティは誰も求めておらんので御座る!」
ーリセット休憩ー
立て札にはこんな文言が書かれていました。
《この橋わたるべからず》
桔梗屋はこの橋を渡ったすぐ向こうです。
新右「この橋を渡らなくては桔梗屋に行く事が出来ない…一休さん、何か良い方法はないだろうか?」
すると一休は、何を思ったのかクルリと回って橋に背を向けると、そのまま歩き始めたのです。桔梗屋行きを諦めた?慌てたのは新右衛門さんです。
新右「一休さん、役割の放棄はまずいのでは!?」
ところが一休は振り向きざまキョトンとした顔で云いました。
一休「桔梗屋さんには行きますよ」
新右「しかし、そっちは桔梗屋とは正反対の方角ですぞ」
一休の顔が得意げなものに変わります。
一休「新右衛門さん…地球は〇|〇|のです」
新右「???」
一休「〇|〇|…丸井…丸い。つまり、地球は丸いと、そう云いたかったのですよ」
これは頓知(とんち)と云うよりは駄洒落ですが、一休さんはそちらも念のため押さえているのでしょう。しかし、そう云われても新右衛門はまだピンとこないようでした。
新右「はて…地球は丸い…〇|〇|…地球は駅のそば…駅の立ち食い蕎麦屋…富士そば?」
完全に思考が明後日の方向へ向いてしまっています。
一休「嫌だなあ新右衛門さん。地球は丸い…つまり、このまま反対の方角へ真っ直ぐ歩いて行けば、いつか地球を一周して桔梗屋に辿り着く事が出来ると云う寸法です」
再び歩き出そうとする一休の襟首を新右衛門さんはむんずと掴んで引き戻しました。
新右「辿り着く頃にはもう室町時代は終わり、安土桃山か江戸時代になっておるで御座る!」
ーリセット休憩ー
続きは追記からどうぞ♪
橋の袂の立て札にはこう書かれていました。
《この橋わたるべからず》
桔梗屋へ行く為には橋を渡らなくてはいけません。
新右「一休さん、何か良い知恵はないものか?」
その時でした。立て札をじぃーっと眺めていた一休の顔が、ナショナル電球のようにパッと明るく輝いたのです。
新右「その顔…何か浮かんだ顔で御座るな!?」
一休は大きく頷きながら云いました。
一休「この橋わたるべからず…“橋”と“わたる”…橋田壽賀子ドラマ《渡る世間は鬼ばかり》…この文言は再構築可能です」
新右「……それだけ?」
一休「はい」
新右衛門さんは一休の襟首をむんずと掴んで引き寄せながら云いました。
新右「何も解決していないので御座る!」
ーリセット休憩ー
《この橋わたるべからず》
橋の立て札にはそう書かれていました。桔梗屋へ行く為には橋を渡らなくてはなりません。
新右「一休さん…」
しかし、途方に暮れかけている新右衛門さんとは裏原宿、いえ、裏腹にー休は余裕しゃくしゃく釈ゆみ子状態で、懐から風船を取りだして膨らませ始めたのでした。
新右「一休さん…それは?」
一休「NASA と陰陽師の末裔が共同開発した極めて揚力の高い特殊な風船です」
風船は瞬く間に膨らみ、紐を握る一休をふわふわと宙に浮かび上がらせました。
一休「さあ、新右衛門さんも早く紐に掴まってください」
云われるまま紐を掴んだ新右衛門さんは、一休と共に地面から数尺ほど浮かび上がりました。
ぷかぷかと空中に浮きながら、新右衛門さんが一休に訊ねます。
新右「これに何の意味があるので御座るか?」
すると一休は“してやったり”とばかりに云い放ったのです。
一休「地球は自転しています。と云う事は…」
新右「…と云う事は?」
一休「私達が宙に浮いている間にも地球は回っている…つまり、地面は動いているのです」
新右「…だから?」
一休「私達がこのまま空中に浮かび続けていれば、自然に桔梗屋の方がこちらに近づいてくるのです。私達はただ浮いているだけ。これなら橋を渡った事にはならないでしょう。むしろ、橋の方が私達を渡った…そういう事になります」
そして五分後、新右衛門さんと一休は風船を割り、無事に桔梗屋の前の地面へと着地したのでした。
新右衛門さんは一休の襟首を掴みかけて離し、力のない声で云いました。
新右「こんな話…科学的に有り得ないで御座る」
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第二話『屏風の虎』(R-98指定)
桔梗屋の件をクリアした新右衛門さんと一休が次に向かった場所は室町幕府第三代将軍[足利義満]の御所でした。
一休と新右衛門さんを迎え入れた将軍義満は単刀直入に話を切り出しました。
将軍「これ一休、そこの屏風の中にいる虎を縛ってみせよ!」
見れば、三人の傍らには大層立派な屏風があり、中では猛々しい虎が今にも襲いかかって来そうな表情でこちらを睨み付けています。
新右「将軍さま…いくらなんでもそれはちと横暴では…」
将軍「シャラップ!…プリーズ。わしは将軍であるぞ!わしがやれと云ったらやるのじゃ!…ドゥーイット!…プリーズ」
新右「一休さん…」
一休「ノープロブレムですよ新右衛門さん。ところで将軍さま…」
将軍「何じゃ?」
一休「屏風の虎を縄で縛る前に…私の話を聞いて頂けないでしょうか?」
いったい全体、一休は何をしようというのでしょう?
将軍「…構わぬ。忌憚なく話すが良い」
一休「では云わせて頂きますが…将軍さまはかなりストレスを溜め込まれているように見えます」
将軍「…わしは将軍であるぞ!そのわしがストレスなど、ヘソで茶が沸かせるわ!」
一休「いえ、逆に将軍であるからこそストレスが溜まるのです」
将軍「どういう意味じゃ!?説明してみせい!」
一休「はい。…将軍というのは云うまでもなく時の最高権力者です。大抵の事は何でも思いのままになる」
新右「確かに…。茶の一杯も出さず“屏風の虎を縛れ”などという無理難題を吹っ掛ける事も出来る」
将軍「お主は黙っておれ」
一休「しかし…生身の貴方は単なる一人の人間です。転んで膝を擦りむけば痛いし、目にゴミが入れば涙も出る。違いますか?」
将軍「そ、それは確かにそうであるが…」
一休「将軍としての足利義満は絶対的な権力を持ち世の中の全てを意のままに操る事が出来る。一方、人間としての足利義満は単なるヒゲの生えたオッサン。貴方は心の奥底で、そんな二人の自分のギャップに苦しんでいるのです」
一節に依れば、一休禅師は日本で最も古いセラピストとも云われる。…最古セラピスト。
将軍「だ、だとすればどうなのじゃ!?」
一休「将軍という名の仮面。肥大してゆく自我…」
やにむに立ち上がったー休が足を強く踏み降ろす。
トン!!
空気が震える。御簾の障子がビリビリと音をたてている。
トン!!トン!!
一休が北斗七星の柄杓になぞらえた不思議な歩様で足を踏み鳴らしながら歩いてゆく。
一休「もはや貴方を叱りつける者は誰もいない!時の将軍!絶対権力者!神!」
トン!!
一休が懐から短い錫杖を取りだし将軍に突きつける。
チャリン!トン!シャン!
一休「フルへ!フルへ!ユラユラトフルへ!」
チャン!リン!シャン!
将軍「ひ、ひーっ!!」
義満は完全に腰を抜かしている。
新右「は、始まった…一休堂の憑き物落としが!」
一休「しかーし!貴方の心の奥底に追いやられた生身の人間としての義満はこう願っている!誰かわしを叱りつけてくれ!わしは単なる無力な一人の人間なのじゃー!とね!違いますか!?いいや違わない!」
ドーーーーン!!
新右「…も、喪黒福造まで出すとは」
将軍は完全にグロッキー状態で床にヘタバっている。ヘタレが集まる珈琲屋…ヘターバックス。
一休「将軍さま…もう一度、先ほどの命を私にお出しください」
一休の言葉に操られるかのようにフラフラと体を起こした将軍義満が命じられるままに云う。
将軍「屏風の虎…縛ってください…プリーズ」
一休「違う!もう一度!」
将軍「屏風の虎を…」
一休「違ーう!もう一度!」
将軍「屏風の虎…」
一休「そこだーっ!」
一休はその場で高く飛び上がると、蹴破るぐらいの勢いで両足を床に踏み降ろした。
ドーーーーン!!
バンッ!バンッ!バンッ!
バンッ!バンッ!バンッ!
空気の震えに耐えきれなくなった障子が片っ端から爆発するように破れてゆく。
一休「縛って欲しいのは屏風の虎ですか!?いいや違うはずです!」
将軍「そ、それは…」
一休「さあ!さあさあさあさあさあー!」
将軍「それは…」
一休「縛って欲しいのは…将軍さま!貴方自身ですね!」
新右「そ、そんな馬鹿な…」
将軍「…そ、その通りじゃ」
新右「否定しろー!」
その言葉を聞いた一休の体から闘気のオーラが抜けてゆく。空気の震えもいつの間にか収まっていた。
一休「貴方は絶対的な権力を握った己がいつか暴走するのではないか、それを心の奥底で恐れていた。そして、そんな自分を止めてくれる者を待ち続けていた」
将軍「…かも知れん」
一休「私が北斗の柄杓の歩様を取ったのには理由があるのです。かつて或る国にラオウと呼ばれる世紀末覇者がいて、彼は“愛を持つ者”にいつか倒される事を望んで…(長くなるので省略)…屏風の虎を縛りつけるのは将軍義満。しかし本当は自分を縛って欲しかった…それが、ヒューマンネイチャー義満。とまあ、そういうわけです」
将軍「それで…」
一休「良いですよ、喜んで貴方の事を縛りましょう…それで“将軍”という憑き物が落とせるのならば」
将軍「新右衛門…一つ用意して貰いたい物があるのであるが…」
新右「はっ、何で御座いますか?」
将軍「女王様っぽい感じの…」
新右「そ、それ以上は聞きたくありませぬ!ど、どうかご勘弁を!」
ヒューマンネイチャーから激しく逸脱し始めていた将軍と一休を、作者は必死に抑え込んだ。
何故なら、そういう作風では無いからだ。
屏風の裏でもそもそし始めた二人を見ながら、新右衛門さんは半ば独り言のように呟いていた…。
新右「こんなの……頓知(とんち)でも何でも無いで御座る…」
御所のスピーカーから[探偵物語のエンディングテーマ‐ロンリーマン]が流れ始める。
それは、SHOGUN に相応しい結末でした…。
〜おしまひ〜。
まさかの進行方向(*≧∀≦*)
いやはや…その推察…
当たってます!!(/▽\)♪
あ、最初のやつですよ♪(//∇//)
最初は軽い気持ちで、“とんちとは言えないとんち話” を書こうかな、ってぐらいの感じで書き始めたのです(*´∇`*)
それが蓋を開けたら何時の間にかこんな展開に(//∇//)
心は摩訶不思議ですからね〜♪もしかしたら、自分では気づかないような抑圧された願望なんてものがあるかも知れません(/▽\)♪
そう♪
やっぱり、将軍ともなるとプレッシャーが半端じゃないんだろうなあ┐('〜`;)┌
そんなこんなで、心の中にはいつしかM的な願望が生まれてしまった…
それを見抜けるのは一休さんだけ♪(//∇//)
…なんて、当時そんな事言ったら大変な事になってるだろう(*≧∀≦*)
あ、ショーグンは…そういう名前のバンドなんだけど、個々がスタジオミュージシャンとして活躍してる人たちで結成した いわゆるプロフェッショナルなバンドで、やっぱサウンドがしっかりしててカッコいいのよね〜(/▽\)♪
みんなオッサンだけど(笑)(*≧∀≦*)
いやもうなんだか(笑)(/▽\)♪
最初はこんな風になる予定じゃなかったんですけど…
書いてるうちに何時の間にか(//∇//)
どうやら途中から私自身が憑き物に憑かれていたようです(/▽\)♪
一休はもちろん鉄甲に赤い鼻緒の下駄履きです♪(*´∇`*)
ああいう、しっかり書かれた物はパロディのし甲斐があって楽しい(*´∇`*)
榎木津や木場刑事も登場させたいですね〜♪ヽ(´▽`)/
そっちに進むなんて・・・
素敵かも
私の解析
違うオチに進む予定が・・・
書いてるうちに
止まらなくなってしまった
または
まさかの自分の心理を表してしまった
私はどちらであっても
大好きなPatternです
そっかぁ〜…
将軍さまは そっち系の人だったのかぁ〜
将軍だけに…衣装軍…もともとコスプレヤーの空気バリバリだしなぁ〜
特別な性癖あるの判る気するよっ♪
(・・)(。。)ウンウン
↑って、作者が意図しないトコをストレートに言うなっ
そんなこんなで
ロンリーマン→SHOGUN
ココが重要ポイントと想像しつつ
ロンリーマンも、SHOGUNも判らない こんなイ・ケ・ナ・イみぃうを
しぼってぇ〜アレ〜
↑何か違うっ
「は、始まった…一休堂の憑き物落としが!」
には爆笑してしまいました
そして呪文…
「フルへ!フルへ!ユラユラトフルへ!」
京極堂がよく唱える解らない呪文
で大概フラフラになって憑き物が落ちるんですよね
一休はこの時やはり黒装束に腕には鉄甲
赤い鼻緒の下駄をはいてたのでしょうか
今度は榎木津の活躍を読みたいところです
やっぱり、あのアニメは不朽の名作だよね〜♪ヽ(*´▽)ノ♪
もうほとんどアレこそが原本というか、オリジナルといっても過言ではないぐらい(*≧∀≦*)
後から勝手に作ったエピソードもけっこうあるんだろうなとか思うと何か笑えるし(/▽\)♪
で、新右衛門さん!確かに男前!o(*⌒O⌒)b
平成というよりは昭和の濃いタイプの、ソース顔?の二枚目だよね(//∇//)
加藤剛とか谷隼人とか、そんな感じの(*≧∀≦*)
やはりそこが!(笑)(*≧∀≦*)
いやあ、この記事で最も印象深く感じる場面は何処になるのかなあ?なんて、アンケート調査的な気持ちを持ちながら書き終えたのですけど…
やはり、そこのインパクトが一番大きいようです(*≧∀≦*)
もう完全にアニメのキャストが浮かんでます♪
あの麿呂眉毛とちょび髭の将軍さまが『女王様っぽいかんじの…』って♪
照れちゃって可愛い(/▽\)♪
この一休さん、とんちにさらに変な知恵がついてて新右衛門やりづらそう!!
つうか、アニメの新右衛門さんて、なかなかのイケメンだったよね( 〃▽〃)
(どうでもいいけど)
忘れたいどころか…
忘れられない感じ♪ヽ(´▽`)/