話題:SS
町村の去った取調室に一人残った仁来は、【EMMA】のデータチェックと云いながら、肝心のウソ発見器には目もくれずに白衣のポケットから携帯電話を取り出すと、通話ボタンを押した。
『内閣危機管理室の佐々岡さんに繋いで頂きたい…』
その数十秒後。
『佐々岡だが…』
『防衛省特秘1課の仁来と申します』
『ああ、仁来君か。名前は聞いている。で、どうした?』
『はい、ふた月程前に起きた【高尾山中の時空場の歪み】に関する件なのですが…』
『待て。この電話、大丈夫なのか?』
『はい、私の携帯は特殊なスクランブルが掛かっているので傍受される心配はありません』
『…判った、続けてくれ』
『例の時空場の乱れが確認された後、都内で不可解な連続窃盗事件が発生し始めた事は以前ご報告致したかと思います』
『うむ、その話は聞いている』
『それから、うちと科学技術省が共同開発した最新型ウソ発見器【EMMA】の事も…』
『勿論だ。【EMMA】を実践の場で使用出来るよう、警視庁や警察庁、検察庁に働きかけたのは私だからな』
『そうでしたか…感謝致します』
『まあ、それはいい。…それで何か判ったのか?』
『はい。それがどうやら…我々の推測通り、問題の窃盗犯は…』
―――――
《続きは追記からどうぞ》♪
渋い表情で腕を組んだまま座る町村に、紙コップに入った出涸らしの薄い珈琲を差し出しながら課長が云った。
『まあ、そうむくれるな』
『いえ、むくれている訳では…ただ、納得が行かないだけです』
それは町村の正直な気持ちだった。勿論、自分が蚊帳の外に置かれた事に対する不満は大いにあるが、それよりも、自分が事件の真相に全く近づけなかった悔しさの方が町村には大きかったのである。
それに、現代科学技術の粋を集めて開発された最新鋭のウソ発見器【EMMA】を使った初の取り調べという、云わば、晴れ舞台であるにも関わらず、肝心の取り調べ自体が拍子抜けするほどあっさりと仁来によって強制終了させられた事も、町村には釈然としなかった。
『町村よ…納得が行かないのは俺も同じだが、こればかりは俺達がいくら足掻いたところで、どうにかなるもんじゃ無いだろ』
そんな事は町村もよく判っている。ただ…仁来という男の存在といい、容疑者との全く噛み合わない会話といい、この事件は“微妙に普通とは違う”気がしてならないのだ。
それに、不可解な点がもう一つある。それは町村が仁来に【EMMA】の基本的なシステムについて尋ねた時だ。仁来は町村に訊かれるままに【EMMA】のシステムを“その場”で説明した訳だが、其処には町村だけでなく、尋問の対象である“容疑者”も居たのだ。云わば“敵側”である容疑者に、秘密兵器とも云える【EMMA】の仕組みを平気で教えるなど、普通ならまず有り得ない事なのだ。
すると…これは、どう考えるべきなんだ?
仁来は敢えて、わざと容疑者に【EMMA】のシステムを教えたのか? でも、だとしたら何の為に?
☆★☆★☆
え〜〜
本来ならば、この【エピローグ】は一編で一気に行きたかったのですが……微妙に、本当にビミョー――に長くなってしまったので…迷ったのですが、さんざん焦らした後ですし、こうなったらもう“毒を喰らわばシェフの頭までガブリンチョ”という事で、(前後編)に分割致しましたV(^-^)V
まあ、明らかにされた部分もありますし、今回はこれで良しとしましょう(^w^)
そうなのです
と云うか… そういう形になってしまいました
ミステリーっぽい始まりSF的な終わり方
結果的に『誘拐犯』に似た構造になりました
取り敢えず 次で完結させる予定です……文字数にもよりますけど
そういう事だったのです
二つの“微妙に異なる世界”を行き来する形で同時に描いてみるのも面白そう
…えらく長い話になりそうですけど
おお〜 覚えてます覚えてます
実は私も そういうタイプの話が子供の頃から大好きで
で
確かにこれ…ショートショート枠で書く話ではなかったです
長編対策…むしろこちらの方が漢字に違和感がないかも
こんにちは
ミステリーかと思ってましたが、SFちックな展開に
いよいよ
結末が読めるのかなー
逆にその世界のことわざとかも興味深かったりします
まぁ…ある意味それはそれで色々と合致しているのですが
アルイミトハナンジャ~
前にも確か書いたとおもうのですが日常のちょっとした狭間…もしかしたら本当にあるんじゃないかな…
という匂いがする話は大好物なんです
う〜ん、ショートショートの枠は気にせず思いっきり長編対策にしちゃいましょう