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泣く.2

十代にさしかかったころから氷をよく食べるようになった。大学生になって体質が変わり、貧血ぎみになったことも関係しているのかもしれない。
レモンはlemonでも檸檬でもれもんでも、ハチミツはhoneyでも蜂蜜でもはちみつでも、素敵な言葉で好き、ということを以前ここにも書いたのだが、氷も同じだ。iceという三文字のバランスのよさもこおりという温くない響きも好きだ。永に似ている氷という一文字も良い。

先日こんな本を買った。

前野紀一 監修『ひんやり氷の本』

〈でもそれはすぐにとけてなくなってしまう/世界で一番はかない化石〉

氷「だけ」の本は珍しい、というより他にあるのだろうか。とにかく丸々一冊が「氷」に関連した本である。
氷を活かしたレシピはもちろんのこと、氷にまつわる歴史、文学、文化、科学、コラム、写真と絵と詩。これでもかというほどひんやりとしたページが並ぶ。
レイアウトやデザインは若い女性向けのように思えても、この本の間口は実際おどろくほど広く開かれている。
私が一番好きだなと思った、というよりこの本を買おうという決め手になったコラムがある。
「畏怖と美とが交錯する氷結世界〜SF文学の氷〜」
わーなんてワクワクするタイトルなんだろう。


去年は氷ではなくコーヒーゼリーの本を買っていて、どことなくこの二冊は同じ香りがする本だと思う。

木村衣有子『コーヒーゼリーの時間』

〈冷たく苦い。甘い。つるっと舌の上を滑り、のどを落ちていく。保たない。儚い。〉

こんなふうにつめたく美しい本が他にあるのなら私まで教えてほしい。


末吉暁子『雨ふり花、さいた』

花がつめたく光ってこちらまで香ってくる、幻想的な物語だった。いまでもすごく好きな物語です。ご冥福をお祈りいたします。


続きは日記です。
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