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then he has gone

君がいなくなって部屋の温度が唐突に下がって私は爪先を冷やしている。
君がいなくなって冷蔵庫の中身が一向に減らなくなってたくさんの食材を駄目にしている。
君がいなくなって時計の音がいやに耳につくようになって私は分針の進むのをじっと見つめている。
君がいなくなってテレビの画面が何も映さなくなって私は仕方なく自分と睨み合っている。
君がいなくなって私のすべてが正常に機能しなくなって私はただの人形のようにさっきまで君が腰かけていたソファに崩れ落ちている。

つまり、私は一人だと何もできやしない。

少しだけ憂鬱。それからたくさん幸福

朝、目覚まし時計の電池が切れていて、五時三十分に目指しのベルが鳴らなかった。
いつもより少し長いこととろとろと微睡み、そろそろ鳴るはずのベルがいつまで経ってもジリとも言わないのをおかしく思って薄目を開けて時計を見ると針は二時を指していた。
「おやまあ」
のりこさんはそう言って、のそりと起き上がり、まずは一つ伸びをした。
それから寝間着にしている着心地のいい薄桃色のワンピースを脱いで下着だけになると小さくあくびをしながらリビングまで裸足で歩き、黒電話の受話器を取り上げた。
ほっそりとした指を回転式ダイヤルの穴に差し込み、じゃっ、じゃっ、と音をさせてダイヤルを回す。
「もしもし」
電話の向こうでは毎朝一番に出社するおじいさんのような男性社員が同じように「もしもし」と言った。
「すみません、私黒澤ですけれど、体調が優れませんので本日はお休みさせていただきます」
はあ、と返事のような、または相槌のような、もしくは呼吸のような声がして
「お大事に」
男は言うべき言葉を思い付いたようにやけにくっきりとした口調でそう述べた。
ありがとうございます。のりこさんはそうお礼を告げてゆっくりと受話器を下ろした。
チン、と軽い音がして、それから部屋の中はとても静かになった。

のりこさんの少し憂鬱な一日はこうして始まった。

みじかいの

さびしいさびしい

ひどく眠い。ような気がする。どれだけ寝ても満たされなくて、むしろ寝れば寝るだけいっそう睡眠欲が膨らむ。

閉じたカーテンの向こうで穏やかで美しい明るい日差しが透けている。窓の外からは子供の歓声。私は一人閉ざされた部屋の中で寝心地の良くない布団にくるまっている。

満たされたこともないのに、どうして満たされていないことだけがわかるのだろうか。そんなのきっと勘違いよ。

何もする気が起きないのに、やるべきことはどんどん溜まっていって、狭い部屋の中で私は膨らみすぎた風船のような睡魔に圧迫されているのです。
しなければならない、という感覚は本当に重く鬱陶しい。
must、なんてつけないでくれ、私の生活に。マスト リブ 。それだけで精一杯だというのに。

何もしたくないからソファに座ってぼんやりとしていたら、不意に散らかった部屋の中がたまらなく嫌になった。
ケーキでも買いにいこうかな。少しだけお粉をはたいて、紅を塗って、それでサンダルを履いて、ケーキでも買いにいこうかな。

そうか、私は寂しいのだ。

夜に愛する

さびしくなるとわたしは写真を撮りたくなる。究極の自己愛。気持ち悪いね、痛々しいね、おぞましいね。

かわいいってだけ言われたいんです。べつにうそでもいいんです。

年老いていくことは別段恐ろしいとは思わない。でも、年老いても見られる女でありたいと思っている。

私は水商売のことを思い出すとき、あの混じりあった香水の匂いの中でひしめき合う美しい女たちを浮かべる。
きらびやかなドレスも、派手な化粧も、媚びた嬌声も、なにもかもが艶かしく、私の五感を刺激した。
水商売の女が美しいのは、自分が商品であることを十分に理解しているからだ。
だから、私は水商売の女が好きなのだ。
私は美しくあろうとする女がたまらなく恋しいのだ。

一人の夜が続くと他愛もないことばかりしてしまう。さて、今宵は何をしましょうか。

気持ち悪い

おひとりさま

カレー食べてきたんですよ、カレー。久々に大好きなおひとりさま。

一昨日偶然見つけたお店で、一目見て食べたくなって、今日仕事終わりに突撃してきました。インドカレー。

うまいと自負するだけあって、チャイも大変美味しかったです。

これはぜひ度々寄りたいお店です。

今年はまた学生の頃みたいに、ちんまりしたいろんなお店に一人でふらっと立ち寄ったりしたい。

しまった、写真撮るの忘れた。
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プロフィール
kさんのプロフィール
性 別 女性
系 統 アキバ系
血液型 O型