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標本


話題:鬱

また始まった。鏡を見ても映っているものが何かわからない。自分だということが実感できない。自分とは一体どのような存在のことを指すのですか?誰かと一緒にいて、私という人間をピンでしっかりと縫い留めてほしい。そうでもしないとこれがなんなのかわからなくなる。『私』というのも『自分』というのも『人間』というのもどれ一つしっくりとこない。鏡を見なければまだいいのだけれど、鏡を見て顔を映してしまった途端に途方に暮れる。これがあなたですよ、なんて言われてもそれを信じる術がない。25年間こんな顔で生きてきたのだと言われたら、そんな気もするし、それでもじっと見ていたら空恐ろしくなってきてとても見続けられる自信がない。この顔や髪や腕や脚や手がずっと私のものだった証拠が一つもないから、私は随分疑い深くなるのだ。

そう言えば、私は写真もこわい。いきなり数枚の写真をぱっと出されて自分が写っている写真を選びなさいと言われた時、私にはきっと自分の顔がわからない。持っていると記憶している服装をしていたら自分だろう、ぐらいの推測しかできない。みんなにはあれはどう見えているの?顔の部分が随分曖昧で不明瞭だ。

一人でいるのはいよいよよくない。早く妹が帰ってきて、私とかいう人間を今にぱぱっと縫い留めてくれたらいいのに。

愚行

****

『神様、私は、』


何もできない。何一つできることがない。文章を生み出すことももうできなくなった。かつて私の頭の中にはたくさんの文字が飛び跳ねていて、それらはかしましく喚きながらくっついたり離れたりを繰り返し、私に多くを語らせてくれた。私には何をする必要もなかった。ただ、じっと文字たちの声を聞き、私以外の人間にもちゃんとわかるように形を整え、紙の上にペンを走らせれば、それでよかった、それで全てだった。今、言葉や文字たちは私の頭の中で完全に沈黙し、身を潜めている。私は今、かつて口にしたり、この手で書き綴ったりした文字列を思い出して、同じような文句を何度も何度も擦り切れるまで繰り返して、排泄している。そのReとつきそうな行為には何の価値もなく、私の言葉たちはもはや誰の心を動かすこともない。私の行いは創造ではなくなったのだ。かつての自分の模倣、しかも、お粗末極まりない程度での猿真似でしかない。言葉や文字は私を裏切らないと思っていたけれど、肝心の自分が言葉や文字を平気で裏切るような人間だということを失念していた。私の唇から零れる言葉はもうすべて薄っぺらくなってしまった。言葉をもって自分の意志とすることができない。言葉や文字と自分の距離は遠く隔たれてしまった。さようなら、と言う言葉さえ、私の唇が語ればたちまちその言葉本来の意味をなくして、表面をただなぞるだけの道具に成り下がるのだ。私は少しも言葉たちを愛していない。愛していないからこそ、考えもせずに紡ぎ、無配慮に吐き出し、言葉の意味や価値を薄めていく。私は私の言葉を見失ってしまったのだ。

リタイア

話題:仕事の話

苦労して国立大学に入って、驚かれるくらいの成績で卒業して、入った会社はブラック企業でした。


色々考えたけど、たかだか数万のボーナスの為にひと月伸ばして8月末まであそこで働くなんてもう耐えられない。明日辞めるって言います。
二年目は昇級なし、三年目ではたった60円ぽっち上がりました。
私は一体何の為に今まで生きてきたんだろう。こんな手取り12万円程度の仕様もない会社に勤める為では決してなかった筈なのに。お金を稼ぐ為に大学に入って勉強をしたので、今これっぽっちしか収入がないことがつらくてならない。大学まで行かせてくれた母に申し訳が立たない。

真っ当な手段で金を稼げないこの身が憎い。

この会社に入る為に私は50万円も使ったのだ。信じられない。このことを考えるといつも恥ずかしくて死にたくなる。あの時、あれ以上は頑張れなかったと確信してはいるけれど、それでもあんまりだろう。

うるさい笑うな

とてもこれ以上生きていける気がしない。狂うなら狂え。早く、早く、早く、楽にさせてくれ。恨んだり、妬んだり、羨んだり。もう充分だ。私はもう充分理解した。きちんとわかったから、もう許してくれ。これ以上、私に惨めな思いをさせないでくれ。私が何をしたからこんな目に遭うのだろう。私にもわかるように大きな声で罪状を読み上げてくれ。足元で醜い小鬼が奇っ怪な声を立てて笑う。踏み潰しても踏み潰しても、再生して私の足に纏わりつく。鬱陶しいことこの上ない。神様、仏様、こんな風に私の気が違いかけているからにはそれなりの理由があるのでしょう?この上は死んだ後も地獄行きでしょうか。だから小鬼が私の足に爪を立てているのでしょうか。目に映る全ての人間が私よりも上等に思えて、私は自分の価値を懐疑する。

洋裁セットをポケットに

なにもない。私にはなにもない。なにもない。オール オア ナッスィング?これってどうゆう意味?昔アレが言ったね、自分みたいだ、と。今更なに?私の人生が狂ったのはアレのせいだと思っている。なにかのせいにしたいじゃない。自分が悪いなんて思いたくないじゃない。私はもうきっとなにも生み出せない。枯渇した精神を更に、更に、貶めて、私はもう、何も。ごめんなさい、出来損ないで。ごめんね、と色んな人に謝りたいと常々思ってきたけど、今日初めて自分自身に謝りたいと思ってしまった。私もいよいよ焼きが回った。弱さをさらけ出したら楽になれるんですか?なりふり構わず泣き喚けば何か変わるんですか?同じ言葉で同じことを語るしかできないこんな口は縫い付けてしまえよ。

言葉で腹は膨れない。私の言葉は柔らかな皮膚一枚切り避けない。頬を思い切り張り倒したい。

罪悪を感じる心ももう随分麻痺してきた。私はただ生きているだけでは許されない。ただ呼吸し、脈動し、思考するだけではとても許されるものではない。




目の前を薄茶色の小さな蛾が横切る。羽ばたいていく。私の指先一つで潰れる命を私はひどく愛しいと思ったのだった。
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性 別 女性
系 統 アキバ系
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