話題:SS
あれ?と思った。
レジを打つ店員の男性に微かな見覚えを感じたのだ。
予定外の出張で訪れた小さな地方都市の、これまた小さな街にある一軒のコンビニエンスストアー。そんな名も知らぬローカル色のコンビニで、私は独り侘しく夕食を買い求めていた。午後八時。
その日はどうにもツイていない一日だった。せっかくの休日が早朝の電話で急遽、体調を崩した担当の代わりに出張へ出向く事なり、更に先方の手違いで日帰りで済む筈のところが現地で一泊するはめになった。
宿泊先は少し迷った末、経理部長の顔が決め手となり、駅前から少し離れた格安のカプセルホテルに決めた。これなら経理削減にもなるし、ミクラスやウィンダムといったカプセル怪獣の気分も味わえる。
夕食はコンビニで弁当を買ってカプセルの中で食べる事にした。予定外の出来事が続いたせいで精神的に少し疲れていたし、土地勘のない街を店を探して歩く気分にはなれなかった。
そんなこんなで、たまたま立ち寄った夜のコンビニエンスストアー。其所でレジを打つ男性店員の姿には確かに見覚えがあった。
錆びついていた記憶回路に微弱な電流が流れ始める。
深……深……深谷……いや、違う……深……町……そう……深町くん。
レジの男性は、小学校時代の同級生である深町くんに似ているように思えた。
しかし、それは確信と言うには程遠いものだった。何せ、最後に会ってからもう三十年以上経っている。
彼は深町くんかも知れない。しかし、全くの別人28号かも知れない。
声を掛けるべきだろうか?
私は、ざる蕎麦と缶麦酒を手に迷っていた。
深町くんとは一時期とても仲良くしていた記憶がある。もし彼が本人なら、久しぶりに話をしてみたいという気持ちはある。しかし、三十年ぶりに会っていったい何を話せば良いのだろう。それに、彼が私を覚えている保証は何処にもない。むしろ、忘れている可能性の方がずっと高いに違いない。
結局、私は声を掛けない事に決め、やや伏し目がちに彼のレジへ並んだのだった。
無言のまま、機械的なレジ作業が進んで行く。それは、何処にでもあるコンビニの日常的風景だった。
やがて彼がぽつりと言った。
「温めますか?」
私が買ったのは、ざる蕎麦一つと缶麦酒二本だ。
「いや……だって、蕎麦と麦酒だから……」
怪訝に思いながら私がそう言うと、彼は顔を上げ、こう言い返して来た。
「だから…ほら…そうじゃなくてさ…」
彼の顔が笑っている。その悪戯な笑顔は確かに見覚えのある顔だった。
そして、その日の深夜。私たちは、彼がレジで言った言葉の通り温めたのだった……旧交という名の懐かしい味の弁当を。
〜おしまい〜。
コメ冒頭の情景、いいねえ〜♪藤子不二雄先生(FとA両方)に是非描いて欲しい( 〃▽〃)
それぞれ違う味わいでありながら、心に沁み入る話を書いてくれそうだ♪フランス映画だと、くたびれたサラリーマンもちょっと感じになりそう(笑)
で、よく判ったなあ〜。そう、カプセル怪獣とか別人28号は、わざと出したの♪ ふとした、思いがけなく訪れた独りの時間って、忘れていたような昔の記憶が蘇ってきたりするからね…。子供の頃、カプセル怪獣が好きだった人間は、大人になっても心の何処かにカプセル怪獣が住み着いているように思うのよね♪(//∇//)
あと、深町くん。いま読み返して気づいたんだけど、深町って【時をかける少女】の未来人の名前だ。これ書いた時はたぶん何となく名前つけたような気がするけど、ちゃんと理由があったんだなあ〜♪(/▽\)
梶井氏の言うように、どの要素が欠けても“私”は深町くんのもとに辿り着けなかったんだろうなとか思うと、人生の分岐の複雑さと不思議さに目眩がしてくる\(◎o◎)
んで…ナニっ!藤子不二雄先生に【ノスタル爺】という作品が!?(@ ̄□ ̄@;)! このレス書き終えたらソッコーで管に行ってくる!(笑)
カプセル怪獣、別人28号(笑)・・といったキーワードからも30年という歳月をかんじるなあ♪♪そういう昭和の言葉とコンビニエンスストアーという平成バッキバキの言葉が出逢うとなんか、2014年に生きていられる豊かさ(文化的な)みたいなものを感じた(~o~)
もし同僚が体調を崩さなかったなら・・?日帰り出張だったら・・?気力が充実していたなら・・?きっと深町君とは再開できなかっただろう。本当にいろんなところでパラレルワールドが発生しているんだなあV(☆o☆)V
がんもみたいな物語だな、と思った♪華やかな存在ではないけれど、素朴で、柔らかくて
口に入れるとあたたかいお出汁が広がってホッコリできる・・どうも御馳走さまでした(//▽//)
あ、そうそう、1974年に藤子先生が【ノスタル爺】って作品を描いていたんですよ!!(笑)あなたの管で【藤子・F・不二雄 ノスタル爺】で検索すると読めまっせ〜(^_-)-☆
小粋に急行のキップってお洒落の極みだな(笑)ヾ(*T▽T*)
なんか、時代を超えたお洒落感覚がそこにはある( 〃▽〃)
で…最近、内容と関係ないところでテーマを一つ二つ持ちながら書いてるんだけど(文体とか構成とかその辺)、この話のテーマの一つは正にその“導入部”、カキダシだったのよね(//∇//)
だから、そこを拾って貰えたのは嬉しいな♪(*´∇`*)
本当は複数のテーマを持って総合的な完成度の高さを目指すべきなんだけど…それこそ、いまブリキの木こり状態だから(笑)、出来そうな部分だけやるようにしてるf(^ー^;
くたびれたサラリーマンの更にツイてない日の食事どから、さっぱり系にしてみたけど、パスタとカフェオレとかだと、また違った展開の話になりそうで、そういう分岐を基点に数パターンの結末を書いてみるのも面白いかも♪( 〃▽〃)
と、ちょっと思った♪
雪の元旦の馬小屋の話は…忘れがたいエピソードだなあ♪今でも思い出すと美しい風景がよみがえってくる(*´∇`*)
グッと引き込まれる!!ウマイなあ♪(b^▽゚)bこちらにも主婦の店(盾フネ-ミングセンス笑)という結構長く業しているお店があったのだが潰れてシモタガチで不況なんだな、と思ったり‥
錆びついていた記憶回路に微弱な電力が流れ始める
この部分スゴクよくわかる!!疲れてない時はスマホをタップするようにデ-タをパッと華麗に引き出せるけど疲れてたら錆び付いたブリキのロボットみたいになるよね(笑)
カップラ-メンデカビタCパスタとカフェオレとかじゃなくて‥
ざる蕎麦缶麦酒
チョイスがおっさんぽくていいやね(笑)親近感沸くわ〜o(^o^)o
ぉれも話かけたいけどついついスル-してしまうタイプだな‥だけど小粋に急行のキップをだして
『スイマセ-ン、これ温めてもらえませんか?』
って言えるひとになりたいと思った♪♪(*´∀`*)
あと、雪の日に何時間も歩いて手作りのお弁当を届けにきてくれたお話も思い出した(*´v`*)
いやいやいやいや…(/▽\)♪
こっちこそ、アロマオイルの温泉に浸かったみたいな香り高い気持ちにさせてもらったよー♪(*´∇`*)
家で、レンジで惣菜を温めてる時にふと浮かんで書いてみたんだけど…書いて良かった(*´∇`*)
なんかちょっと肌寒くなって来たし、こういう ほんわかした話もいいかなあ〜って(〃^ー^〃)
わっ!ヤバいっ(T_T)
トキノっち天才っ(T_T)
ヤバい!カユいトコロに手…ではなく…
柔らかいトコロに肉まん…じゃなくて…
柔らかいトコロにアロマオイルの蒸気が届いたように…
固くなった気持ちが一気に溶きほぐされて
泣きそうっ(T_T)
突然、気持ちが柔らかくなったみたい(T_T)
最上級の心の温泉を ありがとう!
心の源泉トキノっちへ…
ああ♪(*´∇`*)
久しぶりのノスタルジックシネマモード♪ヽ(´▽`)/
…絵文字が使えないのが悲しい(笑)
なんか…いっけんツイていないように思えても、その出来事があるから辿り着ける喜びがあったりするのかな〜♪なんて、ふと思ったので書いてみました♪
…冷凍のパスタをレンジでチンしながら(*≧∀≦*)
で…大丈夫♪何てったって、プリンさんの心には強力な浄化機能がついてますから♪o(*⌒―⌒*)o
Nostalgiaに引き込まれました
ああ
イイですね〜
鳴りました
また
こーゆーの観たいです
偶然ぢゃなくて
必然なんですね
今夜はキラキラしてみました
今
心が澱んでます(ノд<。)゜。
「ですじゃがいも」(笑)…なんか、不思議面白い響きです♪(/▽\)♪
“旧交を温める” 素敵な言い回しだなあ〜なんて思って、コンビニのレンジと軽く引っ掛けてみたのですが…最近、少し肌寒い感じでもあるし、温まって頂けたなら嬉しいです(*´∇`*)
お主 やるなぁ♪
あたたまる心
欲しいですじゃがいも
(「です」と打ったら「ですじゃがいも」と出てきた)
みのさんのお話しに 我輩も温まったですじゃがいも♪
何と!そんな出来事が!ヾ(゜0゜*)ノ?
そういうビックリするような再会って不思議とあるんですよね〜♪(/▽\)♪ 私の友達も、ニューヨークの街角で中学の同級生にばったり会ってかなり驚いたらしい(笑)ヾ(*T▽T*)
当時中学生のブロ友君(強制退会)と7〜8年ぶりに他ブログで再開
ブログの嵐に攻撃されてる人を援護してたら巻き添え喰らったナイスガイです