話題:SS
容疑者が聴いている事を承知の上で、仁来が敢えて【EMMA】のシステムを話した理由…。
町村は記憶を辿り、仁来が【EMMA】の説明をしている場面を頭の中で再現した。
気になる点…引っ掛かる点…仁来…容疑者……容疑者…
…そうだ
確か、あの時…【EMMA】のセンサーシステムがワイヤレスだと知った時…容疑者は初めて、明らかな動揺を見せたではなかったか?
もしも謎を解く鍵があるとすれば、恐らくはここだろう。
しかし…
そこから先に辿り着くには、圧倒的にパズルのピース、つまりは情報が足りない。町村は余りの歯痒さに、頭を手で掻きむしりたい気分になっていた。
思えば、この事件は最初からずっとこのような歯痒さが続いていた。例えるならば、名湯と名高い温泉場で、足湯しか入らせて貰えないような焦れったさ、悔しさ。
そんな忸怩たる思考を重ねる町村の肩をポンと軽く叩きながら、課長が慰めるように云った。
『ま、消化不良ですっきりしない気持ちも判るが…“知らぬが仏”って言葉もある事だし…世の中にはさ、知らない方が幸せって場合もあるんだよ、きっと』
課長の云いたい事はよく判る。この事件も、恐らくは真相を知らない方が町村にとっては幸福なのだろう。
『そういう事だ。お前も今回の事件(ヤマ)は早く忘れた方がいいぞ』
妙にさばけた口調で課長が云う。
『…そうですね』
『そうそう、知らぬが仏、知らぬが花、花は仏で人類は皆兄弟と』
町村の言葉にホッとしたのか、よく判らぬ台詞を残して課長は自分のデスクへと戻っていった。
だが…
もしも、この時の町村が【EMMA】に掛けられていたら…その液晶モニターに表示された文字の色は間違いなく真っ赤となっていただろう…。
《続きは追記からどうぞ》♪
『恐らく…』
仁来にしては珍しく声が少し緊張している。
『恐らく彼は“この世界の人間”では無いと思われます』
僅かな沈黙の後、佐々岡が訊ねる。
『…そう考える根拠は?』
『では、順を追って説明させて頂きます』
『うむ』
『私達は【EMMA】を使って、彼が単なる普通の窃盗犯なのか、それとも“時空場の歪み”に関係している人物なのかを見極めようと試みました。もしも、彼が“異世界の住人”であるならば、我々との間に日常レベルでの差違が存在する可能性が高いので、その辺りのデータを【EMMA】で集めようと考えたのですが…』
『何か問題でも起こったのかね?』
『いえ、問題と云う程でもないのですが、どうやら彼は私に対して少し警戒感を持っているようでしたので…まずは【連続窃盗事件】としての捜査担当である麹町署の町村という警部に尋問を任せてみたのです』
『なるほど。真相を知らない町村警部の方が、より自然な形で彼との会話を進められると君は判断した訳だね?』
『仰有る通りです。実際、町村警部は非常に良い働きをしてくれました。ああいう会話は、恐らく私には出来なかったでしょう』
『取り調べで場数を踏んだ人間ならではの強みと云ったところか…』
『はい。その結果明らかになった点が幾つか…まず、彼は一般的な大人ならば一度や二度は耳にした事があるであろう“真っ赤なウソ”という慣用句を、一度も聞いた事がないという結果が出ました』
『しかし、それは根拠としては弱すぎないだろうか?』
『確かに。そこで私は、こういう“日常レベルでの些細な差違”が他にもないか注意を払いながら、引き続き二人の会話をモニタリングしたところ…我々の世界で云う“名無しの権兵衛”が、彼の世界では“名無しの勘兵衛”となっている事が判りました。そして、どうやら、彼の知る日本地図では“池袋と五反田が隣り合った街”であるらしい…そして最後に、もう少し決定的な差違を導き出せないかと私が試しにした質問で、彼は前の前の総理大臣を“小沢氏”と答えました』
『総理大臣…しかし、また君は何故そんな質問を? 何か理由があっての事かね?』
『勿論、私なりの理由があるにはあります。とは云え、それによって何かを得られるという確証は何処にもなかったのですが…』
『良ければ、その辺の話も聞かせてくれないか。今後の参考になるかも知れん』
『…判りました。まず、彼が例の“時空場の歪み”に関わる異世界の人間だと仮定して、質問の内容は最初に“時空場の歪み”が確認された2ヶ月前より以前の物にしようと考えたのです』
『…少し判って来たぞ。つまり、彼が2ヶ月前に“こちらの世界”に来たのだとしたら、ここ2ヶ月の出来事を訊いても無意味な訳だ。訊くのならば、彼の知らない“2ヶ月前以前のこちらの世界”の事でなければならない』
『ご推察の通りです』
『しかし、話題を“総理大臣”にしたのは何故だ? まあ、君の事だ。当然そこにも理由があるのだろう?』
『一応は。と云うのは、ここ数年、自民党も民主党も党内のまとまりが悪く、誰が総理大臣になっても不思議では無いという状況だったからです。つまり、そういう意味では非常に揺らぎの大きい部分だと云えます。微妙なパワーバランスで決定した問題』
『うむ…確かに云われてみれば、民主党政権の初代総理は小沢氏でもおかしくはなかった』
『その辺りは、私よりも佐々岡さんの方がお詳しいでしょう』
『…まあ、そういう事だな』
佐々岡は少し苦笑いしながら云った。
『兎にも角にも、その不確定要素の多さ、不確定性の高さから考えて、もしも彼が元々存在していた世界が“こちらとは微妙に違う世界”であるならば、総理大臣が別の人間である可能性も十分有るのではないかと考えて質問した訳ですが、結果的に、こちらが望む形の回答が得られた事は幸運でした』
『そういう事か…。総括すると“2ヶ月前以前で不確定性が高く、尚且つ、大多数の国民が知っている一般常識の範囲内にある事柄”という事だな』
『はい。そういう性質を兼ね備えた質問が、あの場合は最適だと判断した訳です。結果は吉と出ました』
『まあ、大きな観点で見れば“凶”かも知れんがな。しかし…確かに、いずれも小さな違いではあるが、それも積み重なれば、やがて大きな違いへと到達する…。いよいよ“異世界”が存在する可能性が高くなって来たな』
『安易に断定する事は出来ませんが、その可能性が高くなったのは間違いないでしょう』
☆★☆★☆
そして次回!!
エピローグ後編にて、堂々の一応の暫定的な完全完結へ!!\(^ー^)/
↑
意味が判らん(°□°;)
さすが 9課に抜擢される人間は 目のつけどころが違います
取り調べに汁もの
是非鴨なんワールドへの極秘潜入捜査を
もともと…
どんどん話が大きくなって行くクセがあるのだけども、今回はそれが如実に出た感じです
しかも、途中かなり伏線的な謎をバラまいてしまったので、それを回収するのが本当に大変
そう行ってみたで
てか…
鋭いなあ!
実は“移送中に容疑者が消える”って展開にしようかなあ〜とちょっと考えたんだけど…
【エピローグ】がSぐらいまで行きそうだから、今回は止めといた
私も毎日 書き始める時ドキドキしてる
『果たして今日で終わるのか』って
と言ったとき
容疑者は
いぇいぇ、鴨南蛮でしょ
と答えた時ピンときました
これ、本当にかなり膨らみそうな感じです
むしろ、『この話は単なる序章に過ぎない』…みたいな
取り敢えず書き終えて、またゆっくり練ってみます
あっらぁとうとう異世界展開ににゃてちまたれちゅニャリン
やっぱり小説てちゅいちゅい長くにゃりがちれちゅニャリン
お話にょ展開を逐一説明ちにゃければいけにゃいから思う通りにょ終結に至るまれぇにょお話にょ組み立てが必要ににゃるにょれちょ
成り行きれぇ書いてると思わぬ方向に
おぉ〜〜〜〜!そうきたかぁ〜♪
ゥキ。(≧v≦●)。。(●≧v≦)。ゥキ。
でもっ、でもっ、異世界の住人だとしたら…
その後の取り調べとか、どうするんだろう…?
なんか… 自由自在に逃げられる様な気もするし…?
わぁ〜|=(⊃o・o・o)⊃
毎日謎だらけだっ♪♪♪
ヽo(=´∇`=)oノワクワク謎さん♪
毎日が楽しいぞっ♪♪♪
ラストは、どうなるんだろう♪♪♪
ワクワク━━━━━━(=゚ω゚=)━━━━━━!!
異世界へ逆侵入とか
技術提携とか話が膨らみそうですね
シリーズ化とかスピンオフとか