話題:ショートショート
ラーメン屋「嚔嚔軒」は少し前までは、閑古鳥が鳴く店として大評判の不人気店であった。
事実、店の看板に書かれた“ラーメン屋”の文字も長年の風雨でペンキがところどころ剥がれ落ちて“フーノン屋”となっているにも関わらず、一向に書き直される気配もなく、そこには、やる気も活気も全くといって良いほど感じられなかった。
(このままでは、じきに“ノーノノ屋”にまで落ちぶれるに違いない)
店を知る誰もがそう思っていた。
それが…或る日を境に、味がガラッと変わり、瞬く間に超人気店へと変身したのである。
何が変わったのかと言えば、それはズバリ、スープの味だ。
以前のスープは、例えるなら…「長期の旅行から帰って来て、玄関を開けた時にム〜ンと漂ってくる家の中のカビ臭い匂い」…の様な味であったが、新しいスープは、これとは全く異なる絶妙な味であった。
動物系の様でもあり魚介系の様でもあるが、ガチョ―ン!とくるインパクトは【タニ系】にも思える。
こうなると当然、ライバル店の店主達も気が気ではない。こっそりと味の秘密を探りに何度も足を運ぶのだが、一向にして秘密を掴む事は出来なかった。
使用しているガラは豚骨なのか牛骨なのか、或いは象骨(象牙)、ライオン骨、トリケラトプス骨、鉄骨…ライバル店主達が幾ら考えても答えは見つからなかった。
そんな折り、「嚔嚔軒大繁盛」のあおりを受けて極端に経営が悪化した近くのラーメン屋「北斗の軒」の店主【健 四郎】氏がついに掟破りの手段に出たのだった。
深夜、「嚔嚔軒」の厨房に忍び込み、スープの作り方を盗むべく、ビデオを回したのである。
健氏は両手足に吸盤をつけ、ヤモリの様に天井に張り付きながら、ひたすらにビデオキャメラを回し続けた。
時折り、健氏の口から チロチロと舌が出ていたのは、氏が身も心も爬虫類になり切っていたからである。そして、健氏の目論見はまんまと成功を収めたのである。
さて、問題のテープの内容であるが、それは衝撃的、かつ非常にベタなものだった…。
厨房に置かれた超巨大なスープ鍋の中で、複数のお爺ちゃん達が鼻唄まじりに湯に浸かっているのだ。
健氏は、その面々には見覚えがあった。町の老人会のお爺ちゃん達に間違いない。
彼らは一様に頭に手拭いを載せ、気持ち良さげに“EXILE”などの曲を主に歌っている。
そうだったのか…
健氏は全てを悟った。
この、老人会の爺さん達こそスープの秘密だったのだ!!
豚骨ではなく“ポンコツ”ダシなのだ。
スープ鍋の湯は沸騰寸前の高温抽出アロマ製法らしい。普通の人間であれば、とても耐えられないのだろうが、そこはそれ、お爺ちゃんというのは、熱いお湯は全然平気なので全く問題は無いのである。
考えてみれば、古いポンコツの車に限って妙に味わい深かったりする。人も物もポンコツになってからが腕の見せどころ、いや、ダシの出しどころであるに違いない。
だが、老人会の面々には一定のリスペクトを払いつつも健氏の頭には、或る割り切れない思いが浮かんでいた。
(これは衛生法違反では無いのか!?)
次の日。
健氏は、撮影したテープを持って保健所に乗り込んだ。
「“けん しろう”さんですか?」「いえ、“すこやか しろう”です」
そんな挨拶の後、問題のテープが職員に渡された。
『これは衛生法違反か否か!?』
そんなケンケンガクガクの議論が職員達の間で3日3晩交わされた。
この事はマスコミでも大きく取り上げられたので、ご存知の方も多いだろうと思う。
その結果…
『無罪!!』
つまり、お爺ちゃん達が入った風呂の湯をスープとして使う事は「衛生法違反」には当たらないと判断されたのである。
以下が、その理由となっている…
「問題の店は、毎日新しくスープを作っていた。そう考えると“ダシの素”となっているお爺ちゃん達も、毎日お風呂に入っている事になる。毎日お風呂に入っているのだから、これは甚だ“清潔である”と言わざるを得ないだろう。よって、衛生法違反には当たらないと判断するものである。以上」
こうして事態は終息した。
すこやか氏の建造物不法侵入罪については、罰金ならぬ【罰チャーシュー3百枚】でカタがついた。
これが俗に言う「嚔嚔軒事件」の全貌であるのだが…。
ここに1つ面白い問題があって、それはこの「嚔嚔軒」という名前。この正しい読み方を知っているのは、店の人間も含め、一人も居なかったという事である…。
《終わり》。
ここでまさかの…
ウンパルンパ登場
もう メルヘンラーメンだ
楽しそうといえば楽しそうだけど
めちゃめちゃカラフルなラーメン屋なんだろうな
タニ系
ポンコツ出汁
どちらも、ちょっと昭和のかほりが漂ってくる気がする
お爺ちゃんスープは私も絶対に嫌だ
だって、間違いなく現代の科学では検出不可能な成分(謎のエキス)が入ってそうだし
企業秘密中の企業秘密でしょうねぇ
敬老系スープ…或る意味 本当は怖い童話シリーズみたいな
あっ!その爺ちゃん達が
ウンパルンパだったら もっとヤダぁ〜
想像しちゃったよっ♪
ウンパルンパのチューチュートレインも想像してしまったっ
(>艸<*)
(>艸<*)ふふふふふっ
お爺ちゃんの お風呂ダシっ
いやだぁ〜
いっくら衛生法が許してもっ
いっくら美味しくても
食べたくない〜♪
ラーメン屋→フーノン屋→ノーノノ屋
言葉遊び(?)楽しいねっ
開眼っ
気に入っちゃったっ
『タニ系』もっ
『ポンコツダシ』も好きっ
トキノっちの記事読んでると
言葉って楽しいなっって思うっ
新しい発見出来るっ
気付かなかったコト、気付かしてくれて
ありあとっ
あっ!『ノーノノ屋』って ちょっと かわいいと思うっ
スープって
企業秘密の秘密
なんでしょうね。
それが
お爺ちゃんたち
だったなんて
( ̄○ ̄;)
知らない方が
良かったかも
ですね(^_^;)
ああ、なんかいいですねぇ
北海道の片田舎、家族でひっそり営業してるようなラーメン屋
雑誌も、都会の繁盛店ばかりでなく、そういったお店も取り上げて欲しいです
まだ
お婆ちゃんが出汁になってそうな
そばやさんや
ぴちぴち赤ちゃんが出汁になってそうな ラーメン屋さんが
あります
誰かぁ〜〜
いや
日本全国の
お金持ちの人々に
この場を借りて
お願いします
北海道の片田舎に
ラーメン食べに来てください(笑)
あ
ふつか連チャン
挨拶が後になりました
おはようゴリラいも
クシャミ…どうしても加トちゃんのイメージになってしまいます
こういうラーメン屋…昔はけっこうあったような気がします(いや、無いって!)
イメージ的には五右衛門風呂で良い感じですけど…お湯は飲みたくない
お友達さん…
高圧ブスって!
“高圧”がキツさを増してる気が…でも、部分的には “高木ブー”にも似てますよね
そうなのです
けっこう記事数があるので、加筆修正しながら時々載せていこうかなあ〜と思ってます
長編っぽいやつは、もう1ヶ所 ブログなりホムペなりを開設して、そこにまとめて置く形でいつでも時間のある時など自由に読んで貰えるスタイルがベストかなあ〜などと ちょっと計画中です
あ 『嚔』は…“てい”と読みます
へっくしゅっ
誰か噂してる
こんばんは(^-^*)/
『嚔』
調べちゃいました(笑)
このような字もご存知とは…
またしても、トキノさんイメージ
それにしても
おじいさま方が、夜な夜な入浴されていたスープとは…
本当にこんなお店があったらどうしよう
ラーメンの文字の部分で思い出しましたが、会社の同僚が朝、怒りながら出勤してきた事が。
「私の前の車、高圧ガスの‘ガ’に誰かイタズラしたみたいでさ、高圧ブスになってんのよ!その車をずっと見ながら走ってると、なんか私が言われてるみたいでさっ」と(笑)
長々コメントしちゃいました
実は先程うたた寝してしまい、本寝(そんな言葉ないか)出来ず困っちんぐ中ですテヘ
でもがんばって寝てみます
おやすみなさい
アーカイブからですか
トキノさんの記事を読み始めたのがauONEブログ終了直前だったから
まだ目を通してない記事がたくさん
ところで
店名が気になります