話題:文学


星新一さんの全著作データを読み込ませた人工知能(AI)にオリジナルのショートショートを作成させようという試み、通称『星新一プロジェクト』が確か一昨年(2012年)にスタートしたハズですが…

進展状況など、その後の情報が一向に入って来ておりません。果たして現在、どのような状況になっているのでしょうか。

星さんの全著作をデータとして入力するという作業は、要は手間暇の話なので特に問題は無いでしょう。 そこから使用頻度の高い語彙を選び出し、作全体の構成をパターンとして抽出する事も、まあ大変な作業だとは思いますが、さほど困難ではないような気がします。

そうなると、残る問題はやはり…

それらのデータから【全く新しいオリジナルのストーリー】を作り出すという作業。思考アルゴリズムというか物語生成システム、そのルーティンプログラムの作成が困難を極めている。そう考えるのが妥当なのかな、という気がします。

正直、この【星新一プロジェクト】の成否は今後の世界に多大なる影響を及ぼす可能性がある、と個人的に思っているので、どうしても進展状況が気になってくる訳です。

もしも“完璧に成功”するようであれば、それは即ち『星新一さんが蘇った』事になり、しかも『これから先、半永久的に(AI版)星新一の新作が出続ける』という事にもなる訳ですから。ある意味、クローンと呼べるかも知れません。

しかし、話はそこで終らないのでありまして…

同様の手順を踏んで、過去の文豪たちが続々と現代に蘇って来る可能性が出て来ます。勿論、著作物が多く、また人物データが多く残されているという条件付きですが。

シェイクスピア、ドストエフスキー、ヘミングウェイ、夏目漱石、太宰治、三島由紀夫…これらの(AI版)新作が続々と書店に並ぶ日が訪れるかも知れない…そう考えると、どうにも複雑な心境になってきます♪

そういう、システムやら論理では超えられない壁が存在するような気がします。が、それは単なる無意識的な願望かも知れません。

そして、事は文芸に限ったものではなく、音楽や絵画などあらゆる芸術分野に及んでくる恐れがあります。…というか、この段階まで来たら、それはもはや必定です。

ベートーベンやモーツァルトの新曲がタワーレコードに並んだり、ピカソやルノワールの新作絵画がアートギャラリーに並んだり……大変な世界です(笑)

AIの芸術家たちは、エルネギー源さえ確保出来て入れば、疲れ知らずの体力の持ち主であるし、恐らくは〆切もちゃんと守るであろうし、そうとう使い勝手は良い筈です。

さて…

話を元に戻すとして、【星新一プロジェクト】、一応は五年後に何らかの成果を出す予定との事ですが…果たしてどうなります事やら。


【追記】

恐らく、暫くの間は例え新作が書き上がったとしても、それは、“既に存在する星新一さんの話の焼き直し(パクり)”のような作品になるのでは無いか?と個人的には予想しております。

ただ、そういう作品をプロジェクト主催側が世間に向けて発表する可能性は極めて低いと思われますので、何とも言い難いところではありますが…。