話題:妄想話
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貴方は、明け方にかかってきた謎の電話が鳴らす、けたたましいベルの音で目を覚まします。
ベルの音だけで“謎の電話”と呼ばれるくらいですから、これはもう相当に謎めいています。
クライムサスペンスな一日の始まりは、そんな風に理不尽な時間に理不尽な形で訪れるのがベストだと考えられます。
半分寝ぼけ眼で受話器を取った貴方は「…Hello」と、うっかり英語で電話に出てしまいます。
貴方が寝泊まりしている部屋はパリの裏通りにある小汚ない下宿屋の二階ですが、貴方自身はアメリカ人です。ですが、訳あって現在は表向きフランス人という事になっています。
ここで貴方は、迂闊にも母国語である英語で電話に出てしまった事を軽く後悔して下さい。
ですが、こういう迂闊なミスが無いとクライムサスペンスは上手く話が展開して行かないので、むしろ、貴方はこの時“良い仕事”をしたと云えます。
終盤での迂闊なミスは明らかに命取りですが、序盤のミスは逆に吉兆と捉える事も可能です。
何故なら、クライムサスペンスの基本原則は先手必勝ではなく、先手必敗。最初に攻め込まれた方が最終的に勝利を収めるケースが多いからです。
しかし、それは製作者サイドからの観点なので、当事者である貴方は、自然体で自分の迂闊さを悔やんでいて下さい。
《続きは追記からどうぞ♪》
さて、謎の電話に戻りましょう。
貴方は、ベッドに寝そべったまま、半身を起こしつつ、肩と耳の間に取り上げた受話器を挟みます。
電話をかけてきた人物は、会話する迄もなく、受話器から伝ってくる雰囲気だけで金髪の美女だと判ります。正体不明で抜群のスタイルを持つ若い女性です。
と見せかけて本当は男なのですが、残念ながら電話でそこまで見抜くのは無理な相談なので、その部分の驚きは最後まで大切に取って置きましょう。
彼女はスロバキア訛りのウクライナ語で謎めいた暗号文のようなものを機械的に読み上げて来ます。
頭が少し回ってきた貴方は、相手の話を遮るようにフランス語でこう云います。
「…ちょ、ちょっと待ってくれ。ウクライナ語は全く解らないんだ」
ウクライナ語は全く解らない筈なのに、何故相手の言葉がウクライナ語の暗号文だと判るのかは、この際、大した問題ではありません。むしろここで、視聴者に(あれ…もしかしてB級映画か?)と軽い不安を与えておくのも素敵です。
ここで謎の金髪美女は何故か沈黙を決め込んでくる筈なので、貴方はすかさずその空白に次の台詞を挟み込みます。
「それより…あんた誰なんだ?」
すると、計ったように通話はそこでプツリと途切れます。
謎の電話が長電話となるのはクライムサスペンス的にはNGなのです。
しかし、電話が切られたからと云って簡単に諦めてはいけません。ある種の諦めの悪さはクライムサスペンスにとって大切な隠し味となるからです。
そこで先ずは通話器に向かって「もしもし?もしもし?…もしもし?」と“スリー・もしもし”を決めて下さい。
当然、返事はありません。
そうしたら、取り敢えずツーツーツーツーと四回のツー音を聴き終えてから、軽く肩をすくめて受話器を戻して下さい。
貴方の胸は嫌な予感に包まれ始めます。心の中に不安がほどよく広がったところで、回想タイムのスタートです。
〜〜〜〜〜〜〜
貴方が故郷であるシカゴを追われた理由は、ある事件に深く関わってしまったせいです。結果、貴方は暗黒街を牛耳る二つのファミリーから同時に命を狙われる羽目に陥ってしまった。
身の危険を感じた貴方は、信頼出来る当局の知り合いに助けを求めます。
ところが、その直後、どういう訳かFBIに【最重要指名手配】されてしまいます。
最も信頼出来そうな友人に裏切られてこそ、クライムサスペンスなのです。
追い詰められた貴方は、別の事件で腐れ縁が生まれていた“喰えない新聞記者”ハロルドの手を借り、自らの死亡記事をデッチ上げます。
そして、見事にFBIとファミリーの目を眩ませる事に成功するのです。
けれども、このままアメリカに居るのは危険です。
そこで偽造旅券を使いフランスへと逃避行を決めます。スウェーデンでも構いません。要はシカゴから脱出する事が大切なのです。
と云うのも、貴方がそのままシカゴに居続けてしまうと、クライムサスペンスではなくハードボイルドになってしまう危険があるからです。
更に調子に乗ってエジプトまで行飛んでしまうと、アドベンチャーになる恐れが高いので、これは絶対に避けて下さい。
さて、シカゴ空港から飛び立った貴方は、取り敢えず機内で、手持ちぶさた解消の意味もかね、付けヒゲをいじり回しながら(まさか、探偵アカデミーのクダらない変装の授業がこんなところで役に立つとはな…)と心の中で呟きます。
すると、頭の天辺から爪先までケンタッキー州の匂いがする隣席の栄養満点なオバサマが、人の良さそうな笑顔で、半ば無理やり無骨な形の自家製クッキーを手渡して来る筈なので、貴方は食べたふりをしてさり気なく床に落とし、爪先で軽く蹴飛ばして前の座席へと送り込んでおきます。
クッキーの毒ではくたばらない。
シカゴからはまだそれほど離れていないので、この時点ではハードボイルド色が多少色濃く残されています。
そこで貴方はふとある事に気づきます。
(毒入りクッキーはFBIのやり方ではない…マフィアの常套手段でもない…となると、あのオバサンの正体はいったい?)
ですが、この時にはもうオバサンの姿は機内から忽然と消え失せているのです。
とまあ、そんな感じの謎が出現した事により、話は徐々にハードボイルド路線からクライムサスペンス路線へと移行して行きます。
その他にも、搭乗した時から貴方の事をずっと監視している正体不明の男など怪しげな人物が機内には数人居るのですが、現時点でそれに気づく必要はありません。
序盤からあまりドンパチやってしまうと後々予算的に厳しくなるからです。
さて、そんなこんなで快適なエールフランスの空旅を終え、パリの街に降り立った貴方は、“ミシェル・ベルモント”という偽名でフランス人として暮らし始める事となります。
シカゴに残してきた恋人のステファニーは、貴方が既に亡くなったと信じ込んでいます。
貴方がその事に罪悪感を抱き始めたところで、残念ながら回想タイムは終了です。
〜〜〜〜〜〜〜
(すまない…君を守る為には、この方法しかないんだ)
回想タイムが終了しているにも関わらず、まだ幾らかその事を引きずりつつ、貴方は何の脈絡もなくおもむろにダーツの矢を掴み上げます。
そして、壁に掛けられているダーツの的に向かって、気もそぞろな感じで適当に矢を投げます。
投げられた矢は見事に的のド真ん中に突き刺さります。
(ったく…つまらないところで運を使っちまったぜ)
此処がシカゴであれば、そんな台詞でハードボイルドに決めたいところですが、現在貴方が居るのはフランスです。ここは何も云わずにダーツの矢を抜き取るのが無難でしょう。
貴方がダーツの矢を抜き取った瞬間、下宿屋の階段を上がってくる耳慣れない靴音が聴こえて来ます。そして、それは貴方の部屋の前でピタリと止まるのです。
扉の向こうには、思いも寄らぬ人物が立っているのですが…
そこから先のシナリオはただ今絶賛大募集中となっております。
募集要綱など、詳細は明日の朝刊の折り込みチラシで是非♪
【終】。
やはりやはり!
何となく、ヒッチコックな毎日を送っているのではないかと思っておりましたが…まさか、サンバカーニバルまでとは(☆o☆)
個人的にはサンバカーニバルで、ビューティーペアの踊りを完全再現して欲しいのですが…羞恥心のメーターが振り切れる事は避けられないでしょう(*≧∀≦*)
と云うか…
この短い日数で、ぽいぽんを自在に操れるようになるとは流石です!(☆o☆)
あ、折り込みチラシは…どうやら印刷ミスがあったらしく白紙のまま配布されてしまったという事なので、特に問題はありません♪ヽ(´▽`)/
そして…
ウクライナ語…ヒンディー語…津軽弁…
私もチンプンカンプンなので、そちらも大丈夫です(//∇//)
何気ない毎日こそ、実は一番のサスペンスなのかも(笑)ヾ(*T▽T*)
強いて違う点といえば今はブラジルに在籍していて来年のサンバカーニバルの振り付けをランバダ風にするか一人踊り悩んでいる事ぐらいです(´・_・`)
あっ!とうとうぽいぽんにしてしまいました(笑)
今は文字の打ち込みを足の小指で打つぐらい使いこなしていまつ( ̄^ ̄)ゞ
しまった!
我が家は新聞がない☆
折り込みチラシが手に入らない!
(-_-)〆
そう言えば
昔は かなり頑張り屋さんの新聞の勧誘さんがいましたが
最近は見ませんなぁ♪
フランスの新聞…
ウクライナ語…
ヒンディー語…
津軽弁…
( ̄▽ ̄;)
語学力のないです×××
そして、その横には…
透明な壁と格闘中の男♪( ☆∀☆)
見えない綱で綱引きをしている男♪( ☆∀☆)
NGワードは「パントマイム集団」(/▽\)♪
大丈夫です♪大丈夫です♪大丈夫です♪
…あ、これも三回は要らなかったですね(//∇//)
と言うか(笑)…「メッチャ緊張するっちゃ!」
ラムちゃんみたいになってますけど〜(笑)ヾ(*T▽T*)
朝刊の折り込みチラシはニューヨークタイムズ誌だけなので日本の新聞には残念ながら入っていないのです(/▽\)♪
↓
パントマイムとは口が裂けても言ってはなりません
こんにちは こんにちは こんにちは♪
あ、これは3回言わなくていいですか
(・・?
部屋の前でピタッと止まる靴音…
めっちゃ緊張するっちゃ!!
ドキドキわくわく((o(^∇^)o))な展開の続き、知りたいなぁ。
そういえば、うちの方には折り込みチラシ、入っていませんでしたよ〜。
登場人物の誰も彼も、実際の洋画サスペンスものに出てきそうです(*^-^*)