話題:童話

「ど、どうしましたっ!?」

アラン・ベネディクトのただならぬ声に驚いたラマン巡査が訊ねます。すると…

「…僕だっ、僕の姿が見える!」

何と云う事でしょう!アラン・ベネディクトは【キラキラ】の中に“自分の姿が見える”と云うのです。思いも寄らぬ言葉に二の句が告げられないラマン巡査に代わり、今度はマルグリット氏が声を掛けました。

「それは…自分の姿が反射したのでは?」

極めて理性的な見解です。ところが、それに対するアランの答えは、三人を更に驚かせるものだったのです。

「いや、これは…子供の頃の僕だ…間違いない、この風景はうちの店、ベネディクト菓子店です…あ、父さんの姿が!」

興奮した様子で喋り続けるアラン。いったい、今、この【キラキラと輝く空間】の中で、どんな映像が流れていると云うのでしょう!?

ですが、恐らくそれはアラン・ベネディクトの瞳にしか映らない映像に違いありません。三人は黙ってアランの言葉に耳を傾けました。それより他に事態を知る方法は無いのです。

食い入るように【キラキラした落としもの】を覗き込むアランの口から、ポツリポツリと断片的な言葉がこぼれ落ちてきます。

「父さんと僕が何か話を…窓から光が差し込んでいて…この風景…確かに見覚えがある」

夕暮れの迫るベネディクト菓子店に沈黙の時間が流れます。しかし、その静寂の時間は程なくアラン・ベネディクトによって破られました。


《続きは追記からどうぞ》♪