デジタル時計は油断する


話題:ぼくのミステリな日常


 

目をやった瞬間に表示された時刻がパッと変わる。 壁掛け、卓上、スマホの時刻表示etc、種別問わずのデジタル時計の話。

『で?時計なのだから時刻が変わるのは当たり前でしょう。たまたま見た瞬間に時刻が次の分に進んだだけでは?』

──そう思われるかも知れない。私としても【12:30】が【12:31】に変わったとか、【07:54】が【07:55】になったという話なら特筆すべき点は何もない。が、此処にこうして一つのお話として書く以上、それ相応の理由がある訳で、それはつまりこういう事だ。

【12:30】→パッ【12:33】
【07:54】→パッ【07:56】

時刻表示が2分ないし3分飛ぶのであ る。ほんの一瞬で、だ。これはどう考えてもおかしいだろう。上の例で言うなら、途中にあるはずの【12:31】【12:32】、【07:55】、3つの時刻は何処に消えてしまったのか?

オカルト好きなら恐らくこう言うだろう。それは機械のバグかシステムエラー、じゃなけりゃ貴方の見間違いだろう、と。しかし残念ながら、私は極めて科学的な人間なのでそれとは別、次のように常識的に考える。

「時計が油断していたに違いない」

(まさか今こっちを見ないよね)と気を抜いていた、或いは何か考え事でもしていたか、眠くてボーッとしていた。そこにいきなり私が目をやったものだから慌ててパニックになり 通常は有り得ない時間飛ばしをしてしまった。つまり、デジタル時計は機械ではなく生き物という事になる。

極めて科学的な仮説と言えよう。これなら誰もが納得出来るに違いない。

もし、この仮説が間違いならば、残る可能性は一つ。つまり『私が【時をかける少女】になりかけている』。【時をかける少女】というよりは【時をかける後期高齢者】ではあるが……いやいや断じて【後期】ではない。


もしも、こちらの方の仮説が正しかったとすると、「朝、目を覚ましたら原田知世ちゃんになっていた」等という事があるかも知れない。もし、そうなったらすかさずブレ〇ディ(珈琲)を飲んで「ふぅ〜っ♪」と可愛く息を吐いてみたい。

うむ。これから毎朝、目を覚ますのが楽しみだ。

……でも、原田知世ではなく尾美としのりの方に変わっているかも。


〜おしまひ〜。


(*)目をやった瞬間、時刻表示が2分か3分飛ぶというのは本当の話です。





【THE・グッドジョブ─現代の肖像】 (10minute インタビュー)

話題:突発的文章・物語・詩

【THE・グッドジョブ─現代の肖像】
(10minute インタビュー)

混迷を極める現代。しかし、そのような不透明な時代にあってなお、眩(まばゆ)い輝きを放ち続ける人たちがいる。この番組はそういった人物へのインタビューを通して、生きづらい時代を軽やかに生き抜く為のヒントを得ようと試みるものである。


記念すべき第1回目のゲストは世界の銀行マンが注目する噂の人物『どいなか銀行イノシシ係・只見 守(ただみまもる、52)』さん。聞き手はインタビュー界の第一人者、菊耳持之助でお送りします。


(菊耳)──銀行マンというと真面目でお堅い、眼鏡の奥がキラリと光るようなエリート的イメージがあったのですが、まさか野良着でお越しになるとは(笑)。しかも眼鏡なし。良い意味で期待を裏切られました。

只見『ハハハハ、エリートなんてとんでもない(笑)。世界の金融市場に影響力を持つ大銀行ならともなく、うちは地域密着型なので……服装も迷ったんですけど、普段職場でしている格好の方が良いかなって。ちなみに視力は両目とも2・0です』

(菊耳)──『えっ?……仕事中もその野良着なんですか?』

只見『実はそうなんです。と言いますのもウチはお客様に何時でも気軽にお越し頂けるよう、行員の服装も庶民的な服装で統一させて頂いているんです。野良着とかパジャマとかじゃーのとか。中にはバカボンのパパみたいな格好の人もいますよ。何せ周りは畑やら田んぼばかりで、農作業の合間にいらっしゃる方も多いので。うちで背広を着ているのは頭取だけですね。それも下はジャージですけど』

(菊耳)──はひぃ〜〜、それは親しみ易くて良いですね。公民館みたいな感じで特に用が無くともフラッと立ち寄れる訳だ。

只見『はい。もともと此の場所には農作業で使う共同の井戸があって、よく井戸端会議が行われていたんです。それがやがて寄合所になり、気がついたら何時の間にか銀行になっていた、という(笑)。[あなたの町の寄合所]。それが今も受け継がれる“どいなか銀行”の精神なんです』

(菊耳)──気がついたら銀行になっていた、という所が若干ホラーめいていて怖い気もしますが、お客様に寄り添うんだという精神は十分伝わって来ました。素晴らしい。ところで、その“どいなか銀行”について簡単にご説明頂けますか?

只見『はい。えーと、ですね……どいなか銀行と言うのは、土井仲(どいなか)市を中心に肩井仲(かたいなか)市と弥馬奧(やまおく)市に支店を持つ地方銀行となっております。ATMも無い本当に小さな銀行なので、恥ずかしながら、地域住民以外の知名度はほぼゼロかも知れません』

菊耳──いえいえ、ご謙遜を。と言うか、ATMが無いのは普通ではない気もしますが(笑)

只見『あ、いえいえ、以前はあったんですよ。でも、誰も使わない(笑)。やっぱり、人と人が面と向かって軽く世間話なんかしながら預けたり引き出したりしたいらしいんです。それで結局、ATMは全部取っ払っちゃいました。代わりに空いたスペースに掘り炬燵(ほりごたつ)と囲炉裏を設置したらこれが大人気で(笑)。まあ、そんな感じで、気取りのないカジュアル感覚のごく普通の銀行ですよ』

菊耳──なるほどなるほど、家のタンス預金に近い感じで気軽に利用出来る敷居の低い銀行という事ですね。

只見『そう言って頂けると嬉しいです。実際、うちの地下にある金庫室の床は畳で、大金庫は桐箪笥(きりだんす)をモチーフにしたデザインになっているんです』

菊耳──昭和の家電であった家具調の大金庫だ。家具調テレビとか家具調炬燵(こたつ)とか流行りましたもんね。

只見『そうなんです。その頃のデジタル製品は、畳とか床の間だとか仏壇だとかそういう和室にも上手く馴染むように作られていたんですよね』

菊耳──そうでした、そうでした。デジタルとアナログが仲良く付き合って行こうという空気みたいなものが時代にありました。それがどこかレトロモダンな空間を造成していた。

只見『その通りです。目指すはそこ。その第一歩が畳の金庫室であり家具調の大金庫であり、床の間の貸金庫であり、合掌造りの社屋な訳です』

菊耳──えっ、合掌造りなんですか?

只見『そうです。白川郷みたいで良いでしょう?』

菊耳──古民家カフェはよく聞くけれども、古民家バンクは初めてだ。 

只見『何せ周りは田んぼと畑ばかりで、その外側はぐるっと深い森や山に囲まれてますからね。都会的な建物だと景観にそぐわず浮いてしまうんです』

菊耳──なるほど。そこで本日のメインテーマである[いのしし係]についてです。今まで色々な銀行の方とお話しさせて頂いているんですけど、正直、[いのしし係]と言うのは初めて聞きました。これはいったいどういったお仕事なのでしょうか?

只見『はい。耳馴れない言葉ですよね。先ほど少しお話ししたように当行の周辺は自然に恵まれた環境な訳です。森や山などは手つかずのまま残っているところも多い。これは、もう、いつイノシシが出てもおかしくない環境な訳です』

菊耳──もしかして、そのイノシシを新たに顧客として取り込もうと。その対応係が[いのしし係]であるという事ですか?

只見『いや、まさか(笑)そうなれば最高ですけどね。残念ながらそうじゃないんです』

菊耳──とすると、金銭の代わりにイノシシを預けたり引き出したり出来る独自のシステムがあるとか?

只見『ハハハハ、いや、イノシシを預けられても困ってしまいます(笑)』

菊耳──降参です。教えて下さい(笑)。どういったお仕事なのでしょうか?

只見『えーと、ですね……どう言えばいいのかな……ほら、たま〜にニュースなんかで地方の店に突然イノシシが入ってくる映像が流れたりするじゃないですか』

菊耳──ああ、はいはい。「珍客来店」とか「〇〇店に珍入者」なんて見出しで。

只見『そうですそうです。さっきも言ったようにうちの銀行の周りは田畑と野山ばかりで、いつ何時イノシシが突入して来てもおかしくない』

菊耳──はい。先ほど伺いました。そう言えばつい先日も【世界の衝撃映像・九死に一生スペシャル】みたいな番組で、外国でしたけど、田舎の小さな雑貨屋にイノシシが突っ込んで来た動画がありました。かなり危険な映像でした。

只見『そうなんです。野生のイノシシは本当に危険。もし、うちのロビーに突進してお客様を撥ね飛ばしとりしたら……』

菊耳──命に関わる大問題だ。

只見『一大事です。彼らは本当に頭が良くて、突っ込んでもいい店と突っ込んではダメな店をしっかりと見極めて選んでいるんです』

菊耳──イノシシが店を選ぶんですか?

只見『はい。銀行で言えば、彼らが標的にするのは体力のない地方の弱小銀行か信用金庫ばかりで、み〇ほ銀行とか三菱東京U〇Jには先ず手を出さない。ちゃんと解ってるんです、大手の銀行を怒らせるとまずいというのを』

菊耳──つまり、イノシシは地方銀行とか信用金庫を馬鹿にしている、と。

只見『絶対そうです。確かにウチはいつ経営破綻しても不思議ではない弱小銀行ですけど、イノシシに馬鹿にされたまま黙っている訳にはいきません。何よりお客様の安全だけは絶対に確保しなければならない。そこで生まれたのが【いのしし係】なのです』

菊耳──なるほど、そういう事か。店に乱入してきたイノシシからお客様を守る、そういうお仕事なのですね。

只見『ええ、まぁ……最終的にはそういう事に……なりますかね』

菊耳──いや、危険なお仕事だ。

只見『いえ、そうでもないです』

菊耳──突進するイノシシから身を呈して客様を守ったりするんでしょう? 

只見『いや……それは、しないですね』

菊耳──暴れるイノシシを捕まえたり追い出したりするんですよね?

只見『まさか(笑)』

菊耳──えっ、ではいったい何を?

只見『はい。うちのロビーは天井が吹き抜けになっていて、その2階テラスに特設ブースがあるんですけど、私の仕事はそのブースの中から侵入してきたイノシシを観察する事なんです』

菊耳──観察。つまり、ただ見ているだけ?

只見『いえ。見ているだけ、というのはちょっと違っていて……イノシシがどの場所からどのようなタイミングでどういう形で侵入してくるのか、店に入った後はどういう動きを見せるのか、そういった、言わばイノシシの動線をしっかり掴むべく観察をする訳です』
 
菊耳──なるほど、単なる見物ではない訳だ。

只見『ええ。イノシシの動きだけではなく、お客様の動きも同時に見ておく必要があります』

菊耳──イノシシとお客様たち、幾つもの動線を同時に追う訳ですか。
 
只見『そうです。更に言えば、イノシシと客の動線を追いながらそれぞれの表情や反応、パニックの際の集団心理と行動などもしっかり記憶しておかなければならないんです』 

菊耳──はひぃ〜〜それは超人的な集中力が必要だ!

只見『はい。しかし、そこをしっかりと押さえておく事で次にイノシシが乱入した時に慌てず対処出来るようになる訳です』

菊耳──なるほどー。すべては未来の為にあるのですね。

只見『そうです。ですので、もしも今、イノシシが突入してきたとしても、私は決してロビーには降りません。安全な2階のブース席から彼らを観察するだけです。すべては未来のお客様たちの安心と安全の為に』

菊耳──恐れ入谷の鬼子母神です。まさか、ここまでハードなお仕事だとは夢にも思いませんでした。

只見『はい、毎日が緊張の連続です。でも、責任の重さはやりがいにも繋がるので充実感はありますね』

菊耳──実際、イノシシが店に入ってきた事はあるんですか?

只見『いえ、私が入行してから今年で30年になりますけど、その間にイノシシが店に入ってきた事はないですね』

菊耳──一度も?

只見『はい、一度もありません。と言うか……様々な文献や報告を検証したところ、土井仲(どいなか)市では、ここ4 00年ほどイノシシの目撃例はないとの事です』 

菊耳──えっ、それって、もしかして生息……

只見『いや、本当にいつイノシシが出没してもおかしくない雰囲気なんです』

菊耳──しかし、過去400年間は出現していないんですよね。

只見『はい。でも、400年出ていなかったからと言って明日も出ないという保証はない。ですよね?』

菊耳──確かに確かに。逆に考えれば、そろそろ出て来てもおかしくない頃合いだとも言えます。

只見『その通りです。ですので、入り口の自動ドアが開くたび稲妻のような緊張感が背中に走る、そんな毎日を送っている訳です』

菊耳──いやいや、これは想像以上に厳しいお仕事です。でも、そのお蔭で銀行の未来は守られている訳だ。

只見『そう言って頂けると励みになります。心身共にキツい仕事ですけど、また明日から頑張れそうです。ありがとうございます』

菊耳──いえ、こちらこそ貴重な話を聞かせて頂き有り難うございます。では、最後に今後の展望などありましたらお聞かせ願えますか?

只見『はい。いざという時に最大限の集中力を発揮する為には、平時にはなるたけリラックスした状態で過ごす事が大切だと思うんです。その為にはブースの中の快適性が必要不可欠です。先ずは本場イタリアからエスプレッソマシンを取り寄せて何時でも美味しい珈琲が飲める状態にしたいです。あとはマッサージチェアを置いたり、漫画本も充実させたいところですね』

菊耳──緊張と緩和。メリハリが大切だという事ですね。さて、もっと色々なお話を伺いたいところですが、残念ながらお時間が来てしまいました。という事で、本日は【どいなか銀行いのしし係】只見 守さんにお話を伺いました。それでは皆様また次回お会い致しましょう。



☆☆☆☆☆

─対談を終えて─

世界の銀行マンが注視する【いのしし係】は我々の予想を遥かに超える激務であった。対談中は笑みを絶やす事のなかった只見氏であるが、その目の奥には常に危険と隣り合わせにいる人間の持つ厳しさが確かに宿っていた。奇しくも只見 守(ただみまもる)という名前が、偶然にも“ただ見守るだけ“の仕事に通じているところに、科学では説明のつかないこの世の不思議を見た気がした。

 
[本日のピックアップセンテンス]

『気がついたら何時の間にか銀行になっていた、という(笑)』


〜おしまひ〜。


【応援の形は】これが本当の侍ジャパンでござる【人それぞれ】


話題:妄想を語ろう

 残すは準決勝、決勝と佳境を迎え、ますます大盛り上がり(特に日本では)のWBC。その日本代表チームの通称は云わずと知れた【侍ジャパン】ですが、もしも、本物の侍(武士)で代表チームを組んだらどうなるのか。それを考えてみました。特に日本史に詳しい訳ではないので、選んだのは一般的で有名な人達となり、マニアックな要素はあまりありませんが、その辺りはご容赦下さい。なお、織田信長とか武田信玄、伊達政宗といった戦国武将、或いは戦国大名は基本的に外し、いわゆる剣豪、剣士と呼ばれる人達から選んでおります。


【リアル侍ジャパン】 

☆1番センター【佐々木小次郎】

宮本武蔵との巌流島の決闘でお馴染みの剣士。秘技〈燕返し〉が有名。飛んでいる燕を捉えるぐらいなのでミート力は確か。選球眼もある筈なので四球での出塁も見込め、一番打者として最適だろう。 


☆2番セカンド【坂本龍馬】

云わずと知れた幕末の志士。くせ者。色々と小技も使えそうなので、このポジションと打順が良いだろう。隠し球などトリックプレーにも期待したい。


☆3番サード【柳生十兵衛三厳】(じゅうべいみつよし)

隻眼に黒の眼帯。時代劇や侍に全く興味がない人でも一度はこの名前を聞いた事があるだろう。それぐらい有名な人物である。なお、日本ではこの名前を聞くと自動的に千葉真一の顔が思い浮かぶシステムとなっている。


☆4番ピッチャー【宮本武蔵】

恐らく日本で最も有名な剣豪にして元祖・二刀流。この人が居なければ二刀流という言葉は存在せず、そうなると、〈二刀流・大谷翔平〉は〈二足のわらじ・大谷翔平〉となり、かなりカッコ悪くなっていた可能性もある。特別ルールとして宮本武蔵に限りバットを二本持って打席に入る事を許して欲しい。


☆5番ライト【柳生但馬守宗矩】(たじまのかみむねのり)

柳生十兵衛の父親。その腕は十兵衛以上だと云う人もいる。柳生親子で宮本武蔵を挟む夢のようなクリーンナップ。5番にこの人がいれば4番の武蔵を簡単に敬遠する事は出来ないだろう。映画[魔界転生]での若山富三郎の怪演が思い出される。


☆6番ファースト【?原卜伝】(ぼくでん)

様々な伝説を持つ達人の中の達人。ザ・達人。この人物を史上最強に推す向も多い。この人が6番打者で登場すれば相手チームは震え上がる事間違いなし。


☆7番レフト【伊藤一刀斎】

生没年不明など謎のヴェールに包まれた伝説の剣士。実在していないという説もある。6番の達人で震え上がった所にこの人が7番で登場すれば相手は完全に戦意を喪失するだろう。


☆8番ショート【千葉周作】

坂本龍馬など数多くの剣客の流派である〈北辰一刀流〉の始祖。千葉道場の道場主。この人の確かなプレーは西武の源田のように安心して見ていられる事だろう。


☆9番キャッチャー【近藤勇】

云わずと知れた新撰組局長。あれだけ癖の強い猛者たちを束ねたのだから求心力と懐の広さは相当なものに違いない。名うての剣豪揃いのチームにおける扇の要としてピッタリだろう。



☆代打の切り札【沖田総司】

新撰組。美貌の剣士として圧倒的な人気を誇る。剣の腕前も超一流らしく本来なはスタメンに名を連ねるべき所だが、病弱なのでスタメンフル出場はとても無理。球数制限ならぬスイング回数制限を設けたい。ここぞと云う場面における代打での一振りに賭けたい。


☆監督【上泉信綱(かみいずみのぶつな)】

監督は剣聖と呼ばれるこの人で決まり。柳生十兵衛の祖父にして柳生但馬守の父、柳生新陰流の始祖である柳生宗厳の更にそのまた師匠というとんでもない人物。この人が監督なら恐らくは誰も逆らえないだろう。



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実力はいずれも折り紙付きながら、皆、自分が一番だと思っている“俺が俺が”という面々ばかりなのでチームワークには不安が残る。特に佐々木小次郎と宮本武蔵が(以前テレビ中継されてしまった中日の高木守道監督と権藤ピッチングコーチのように)ベンチの中で大喧嘩しないかが心配。それさえクリア出来れば大丈夫だろう。



〜おしまひ〜。 


☆〈おまけ〉☆


【時代劇実写ドラマにおけるフィクションの侍ジャパン】


☆一番サード【眠狂四郎】(眠狂四郎─田村正和)

美貌の剣士。クールさにかけてはイチロー以上。円月殺法ならぬ円月打法で相手チームを夢幻の世界へ誘う。


☆二番ショート【木枯し紋次郎】(木枯し紋次郎─中村敦夫)

眠狂四郎がクールなら、こちらはニヒル。監督やコーチから送りバントや盗塁の指示が出ても「あっしには関わりのねぇ事でござんす」と全く取り合わない。長すぎる楊枝をくわえながらの守備や打席は危険極まりないがカッコ良い。ただ一つ問題なのは、恐らくこの人は侍(武士)ではなく単なる渡世人なので侍ジャパンに入る資格がない上、大して強くない事だが、アマチュア枠と考えれば良いだろう。


☆三番セカンド【遊び人の金さん(遠山金四郎)】(遠山の金さん─杉良太郎)

時代劇ファンでなくても知っているであろう有名な人。「この桜吹雪に見覚えがねぇとは云わせねぇぞ!」が決め台詞。打席でもろ肌脱いで桜吹雪の入れ墨を披露して欲しい。打席時も守備時も常にカメラ目線で流し目を送れば世のオバさま方は大喜び。


*四番センター【徳田新之助(徳川吉宗)】(暴れん坊将軍─松平健)

決め台詞は「よの顔を見忘れたか?」。水戸黄門と遠山の金さんを足したような豪華なドラマ。将軍に出て来られたら誰も勝てない、勝てる訳がない。


☆五番レフト【大岡忠相(ただすけ)】(大岡越前─加藤剛)

四番の将軍を三番と五番の町奉行が挟む豪華なクリーンナップ。乱闘が起これば仲裁せずにはいられない。リプレイ検証にも口を出さずにはいられない。出るか伝説の大岡裁き!


☆六番ライト【赤胴鈴之助】(赤胴鈴 之助─尾上松助)

ここに来てまさかのお子ちゃま登場!リトルリーグから侍ジャパンへの大抜擢である。背が低い為ストライクゾーンも狭くなり相手投手は投げづらいかも知れない。必殺・真空斬りは大人顔負けの威力を持つ。ちなみに、尾上松助さんは尾上松也さんのお父様。


☆七番ファースト【桃太郎侍】(桃太郎侍─高橋英樹)

とても下位打線とは思えない“派手さ”で登場。うっかり般若の面を付けたまま打席に入ってしまい球審に注意される場面も。移動は飛行機を使わずに必ず背広姿で列車に。見掛けた際には「桃太郎侍さん」ではなく「十津川警部さん」(西村京太郎トラベルミステリー)と声を掛けてあげたい。


☆八番キャッチャー【鬼の平蔵(長谷川平蔵)】(鬼平犯科帳─中村吉右衛門)

八番打者とは思えない威厳に相手は震え上がる事必至。捕手での守備時にも打者の後ろから圧をかけて存分にビビらせたい。


☆九番ピッチャー【銭形平次】(銭形平次─大川橋蔵)

あの小さな銭を確実に賊に当てるのだからコントロールはある筈。球威よりも制球重視で打たせて取るピッチングを目指して欲しい。


☆代打の切り札【中村主水(もんど)】(必殺仕事人─藤田まこと)

居合いの達人なのでミート力、コンタクト力は期待出来そうだが、どう考えてもスタミナとやる気は無さそうなので代打での一瞬の輝きに期待したい。出番の無さそうな時はベンチで居眠りしていたり球場内のフードコートで蕎麦をすすっている姿が見られる事だろう。


☆監督【水戸光國】(水戸黄門─東野英次郎)

最近は若い監督が増えているが、昭和の時代、プロ野球チームの監督と云えばお爺ちゃんが定番だった。そんな風情を甦らせるのがこの監督。意外と短気なので怠慢プレーをした選手を杖で打ったりしそうでコンプライアンス的にやや不安が残る。


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重量打線。攻撃力は申し分無いが機動力にはかなりの不安を感じざるを得ない。加えて守備範囲も狭そうなので、ある程度の失点は気にせず打ち勝つ野球を目指すべきだろう。基本的に身分の高いエリートが多いので逆境には慣れていない可能性があるので、先ずは先取点を取って自分たちのペース、上から目線での試合展開にしたい。


〜おしまひ〜。

 

                       

プチ考察クイズ『四人のアレ』(読者への挑戦状つき)。


話題:懐かしの、アレ


A『そういえば、アレって今どうなってるんだろうね?』

B『ああ』

C『はいはいはい』

D『ふむふむ』

A『いや……結局、アレは今どうなってんだ?とか、ふと思っちゃってさ』

B『アレねー……全然話聴かないって事は進展してないんだろうね 」

C『うん。もう諦めちゃったのかも知れないな』

D『いや、諦めてはいないだろ。何せ国家の威信が掛かってるからね』

A『国家の威信は大袈裟でしょ(笑)』

B『大袈裟大袈裟(笑)まあ、日本を代表するような大会社だから、かなり気合いは入っていたのかも知れないけど』

C『そうだよ。結構なプロジェクトだったと思うぞ。あれだけ話題になったんだ、簡単には諦められないだろう』

D『その通り。諦める可能性はない。それは断言出来る。ただ、下手すると外交問題に発展する恐れがあるから、動くとしても水面下だと思う。色々と根回しも必要になるだろうし』

A『外交問題って冗談は顔だけにしてくれ(笑)。奴らにそんな影響力ないわ。まあ、本家の方は間違いなく世界的な影響力あるけどさ』

B『Aの言う通りだよ。江戸時代なら兎も角、今は徳川幕府もないし、社会に対する影響力なんてほぼ0でしょ』

C『何で徳川幕府?あ、もしかして、江戸時代から密かにずっと研究してたのか?』

D『研究って何の?紀伊国屋文左衛門とか越後屋とか、その辺の商い?あっ、ひょっとして、江戸時代から経営再建の手段として大規模なリストラがあって、それを参考にしたとか?』

A『何で紀伊国屋文左衛門が出て来るのか判らんけど、少なくともリストラではないだろ。ビジネスとかよく知らんどさ』

B『確かにリストラではないわな。単なるチームの解散』

C『そうだね。責任取る形で自主的に辞めた訳でしょ』

D『待て待て、どこが自主的なんだよ。責任取りたくないから逃げたんだろ、引田天功ばりの脱出で』

A『いや、誰も逃げてないし。少なくとも一人は毎週日曜の夕方にテレビで観られるよな』

B『提供するスポンサーの名前として観られるって事?』

C『わかめスープ?』

D『あのさ、悪いんだけど、わかめスープ飲んでるイメージ全く無いわ(笑)。と言うか、テレビって何処の?中東?』

A『何で中東なんだよ。日本に決まってるだろ』

B『うん、日本限定と思う。ただ、欧米で流したら意外と人気が出るかも知れない。忍者とか怪獣とか好きそうじゃない欧米人』

C『怪獣とか忍者は知らんけど、イメージとしては日本的かな。割烹着とか印象的だったし』

D『そんな印象まるでないわ。割烹着なんか絶対着ないだろ。テレビだって最後にリアルタイム映像で観たのって5年以上前だぞ。それからは出てないだろ』

A『いや、2年か3年前に[クイズ脳ベルSHOW・脳ベル歌謡SHOW]に特別ゲストで出てるの観たよ』

B『アニメのキャラとして?』

C『いや、そっちじゃなくて本家のノーベル賞関係の会合か何かじゃないの』

D『カー・オブ・ザ・イヤーと間違えてないか?まあ、確かにデフォルメしやすい人だから、アニメキャラにしやすいのかも知れないけど。Mr.ビーンみたいな感じでさ』

A『誰もMr.ビーンには似てないと思うぞ。ワイルドワンズとオフコースにはMr.ビーンっぽい人いたような気もするけど』

B『そもそも失礼だって。かつてドラマで主役はった人に対してMr.ビーンはないでしょ』

C『ドラマ出てた記憶はないけどなあ。と言うかMr.ビーンだって主役はってるけど』

D『レバノンじゃ出てたのかも知らんけど、日本でドラマは出てないと思うなあ』

……少しの沈黙……

A『……何か先刻からちょっとおかしくないか?』

B『おかしいおかしい』

C『話が全く噛み合ってない感じ?』

D『ここで一回皆にちゃんと確認した方が良いんじゃないか?』


──読者への挑戦状──

さて、賢明なる読者さまにおかれては既にお察しかと存じますが、この四人は“同じ一つのアレ”について話しているようで、実は全く異なる別々の四つの事柄の話をしております。

そこで、「ABCDの四人がそれぞれ何の話をしているのか、それを推理して頂きたい」というのがこの読者への挑戦状の趣旨であります。フェアプレー精神に則り、ヒントは随所に散りばめられているので決して不可能ではないでしょう。

とは言え、AとBの二つの関しては難易度が高く、そもそも知らない可能性もありますので、この二つについては「当てた方がむしろ異常」とします。逆にCとDは当たって当然なので、四つのうち二つ正解すれば合格点と致しましょう。では、解答編へどうぞ。


───────────

 −解答編−


A『うん、確認してみよう。……という事で言い出しっぺのDさん、君は先刻からいったい何の話をしているんだい?』

D『何をって、【カルロス・ゴーンは今どうしてるのか】って話だろ?』

B『ああ、リストラって日産の話だったのか』

C『それで脱出とか中東とかレバノンとか言ってたのね』

A『Mr.ビーンな』

D『だろ?【脱出王カルロス】、皆その話してたんだよな?』

ABC『違うよ!』

A『……取り敢えず、一つ片付いたな。さて、お次はC君、君は何について語っていたんだい?』

C『もちろん【結局、スタップ細胞はあるのか無いのか】って話さ』

B『……スタップ細胞とかすっかり忘れてたよ。そう言えば割烹着で実験してたんだっけ。小保方博士』

D『旧姓・小保方な。なるほど、わかめスープが出て来るのは理研(理化学研究所)だからか』

A『確かに、本当に存在すれば本家の方のノーベル賞の可能性もあるな』

C『そうそう。アレと言えば【スタップ細胞の研究は今も続いているのか?】。皆もそうでしょ?』

ABD『違うよ!』

A『順調順調。二人片付いた。Bは?』

B『気になるアレと言えば、【幻の炭酸飲料サスケのCMの続編】以外ないっしょ』

C『サスケ。懐かしいな。いつ頃だっけ?1980年代だよね確か』

D『1984年だな。それで江戸時代とか言ってたんだな、忍者だから』

A『思い出した。忍者の冒険活劇みたいなストーリー仕立てのCMで、最後に[つづく]が出て終わるんだよな確か』

B『その通り。なんか忍者が怪獣投げ飛ばしたり、忍者だから江戸時代かと思うと制服姿の警官だか警備員だがが出て来たり、時代背景とか設定が意味不明なんだよね。でも、だからこそ逆に続きが気になるという。そういう人たくさんいると思うよ。ね、アレと言ったら、どう考えても【サスケのCMの続き】。でしょ?』

ACD『違うよ!』

A『最後は俺か。いや本当、皆どうかしてるぜ。俺がアレと言ったら当然、【ずうとるびの再結成はどうなったのか】に決まってるでしょうが』

B『まさかの【ずうとるび】……日曜の夕方ってのは[笑点]の山田くんの事だったのか』

C『本家ってのはビートルズか。なるほど、本家は間違いなく世界的な影響力あるな』

D『確かに、【ずうとるび】が再結成しようがしまいが外交問題には発展せんわな』

A『いや、再結成はしたのよ。2、3年前に[脳ベル歌謡SHOW]にゲスト出演したの観たから』

B『そいつは知らなかった』

C『観たかったなー江藤くんとか新井くん』

D『再結成って言っても期間限定っぽいから、もうグループとしての活動はしてないんだろうね』

A『ああ、多分な。で、考えたんだが、再再結成させる為には「ビートルズの未発表アルバムが発見された」というニュースを世界に流した後、「ずうとるびの未発表アルバムの間違いでした。ごめんちゃい」と言えば、世界中が「ずうとるびって誰?」ってなって人気沸騰するんじゃないかな。ほら、竹内まりやの【Plastic love】の非公式音源がYouTubeにアップされたのが海外で人気になって、それが逆輸入的に現在のシティポップスブームを引き起こしたみたいな感じでさ』

BCD『…………』

B『いや、そんな事よりもだね、【サスケのCMの続編】は思い切って【劇場版】として全世界の映画館で封切りするのはどうだろうか?それで人気に火がつけば再販売も有り得るし。ああいう忍者活劇みたいなのウケると思うけどね。主演は引き続き仙道敦子さんで。まあ、味はDr ペッパーと同じだから再販されても特に飲みたいとは思わないけど。ね、どうだろう?』

ACD『…………』

C『とにかく、僕の願いは一つ。【スタップ細胞】の代わりに【スタッフジャンパー】の存在を証明して欲しい。そして見事に証明された暁には是非、こう言って欲しい。「【スタッフジャンパー】はあります!」』

ABD『…………』

D『ここは一つ、【カルロス・ゴーン】には悪びれもせずに堂々と帰国して貰ってだな、バックバンドに【オメガトライブ】を迎えて【カルロス・ゴーン&オメガトライブ】で[君は1000パーセント]をカヴァーして欲しい』

ABC『…………』

A『……まあ、何はともあれ、もつれた糸が解けたみたいで良かった』



さて、皆さま、幾つ正解出来たでしょうか。なお、全問正解しても賞金や賞品はございませんので悪しからず。



〜めでたし、めでたし〜。



シュール掌編『ケンちゃんと私』第10夜【真冬の月とレモンスカッシュ】


話題:SS

通り道にある自動販売機が少し気になっている。何処にでもあるようなドリンクの自販機。[奥さまは魔女]ふうに言うならば、「ごく普通の町にあるごく普通の道のごく普通の自動販売機、でもただ一つ違っていたのは──たびたびレモンスカッシュが売り切れになる事だったのです──」

注目して欲しいのは、この“たびたび”という部分。売り切れのランプがずっと点灯したままなら「ああ、(人気がなくて売れないから)補充していないんだな」と納得出来るが、“たびたび売り切れ”になるのは、つまり、その都度補充はされている事になる。補充→売り切れ→補充→売り切れ。この繰り返しにより“たびたび売り切れる”状況が出来上がるという訳だ。

ここで疑問。

レモンスカッシュってそんなに人気あるのだろうか?

私の周りを見る限り、需要はあまり無いように思える。オレンジエードには勝てるとしても、せいぜいジンジャーエールといい勝負だろう。それでも、真夏ならば、百歩譲って、人気が高まるとしても、真冬はどうだろう。すぐ隣の[はちみつレモン]は売り切れにならないのも引っかかると言えば引っかかる。

……とは言え、レスカが好きで好きで仕方がないという人だっているだろうし、そういう人なら季節に関わらず飲むだろう。たまたま、そういう人がこの道をよく通るのかも知れない。

そんなふうに自分を納得させ過ごしていた或る晩。真冬らしい底冷えのする夜で、何気なく見上げた星空がとても綺麗だった。しばし冬の星座に心を奪われていた私であったが、ふと、月の色がやけに蒼白い事に気がついた。この顔色、ひょっとして具合が悪いのかも知れない。気を失った月が、このまま地球に落下してきたら大変な事になる。何か自分に出来る事はないのか?

沈思黙考、数分。不意に妙案が浮かぶ。奇しくも目の前には例の自販機の姿がある。幸いな事にレモンスカッシュは売り切れていない。よし、これならいけるかも知れない。私はレスカを1本買うと、缶をこれでもかというほど振った。そして缶の口を月に向け、気合いと共にプルトップを強くひいた。

プシューーー!!!

物凄い勢いで吹き出たレモンスカッシュの噴水が(私の視界の中で)月に吹き掛かる。すると……心なしか月が黄色味を帯びて来たように見えた。ならば、もう1本。プシューーー!!……やはり、うっすらとではあるが間違いなく黄色くなっている。もう1本。更に1本。おまけに1本。ついでに1本。駆けつけ3本。こうなるともう止まらない。体が勝手にレモンスカッシュを買い、振り、月に吹き掛ける。

気がつけば、実に18本のレモンスカッシュを月に吹き掛けていた。もはや月はすっかり元気を取り戻し、黄色を通り越して黄金色に輝いている。

もう大丈夫だろう。これで月が地球に落ちてくる心配はない。私は安堵の息を漏らした。汗をかいたので、何かさっぱりした物が飲みたくなった。コーラを買うつもりが、体が勝手にレモンスカッシュのボタンを押していた。そして、取り出し口に缶が落ちるのと同時にレモンスカッシュは売り切れとなった。

もしかして……此処に至り思う……この自販機のレモンスカッシュがたびたび売り切れになるのは、こういう事だったのではないか。月の色を心配した人間が私のようにルナティックになり何本ものレモンスカッシュを月に吹き掛け続ける。そして最後に自ら祝杯をあげ、売り切れとなる。ためしてガテン。これなら合点がゆく。隣の[はちみつレモン]が売り切れないのは、炭酸が入っていなくて月まで【黄色】を飛ばせないから。

日常のちょっとした謎が解けてご満悦の私。見上げれば、お月さまもご機嫌な顔で輝いていた……。


追記──長い間行方知れずだったケンちゃんから連絡があった。近々帰ってくるそうだ。戻って来たら、今まで何処で何をしていたのか、是非とも訊いてみなければいけない。


〜おしまひ〜。





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