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mktd*ImeGd*


「頑張ったな もういい、充分だ 痛かっただろう」
「さあ、一緒に行こう 大丈夫だよ、そう泣いてくれるな」
「ずっと一緒だ もう怖いものも傷付くものもない」
「守りきる、約束だ」


気持ち悪いだろうけれど
嘘でも 無理でも 有り得なくても
こんなふうに いってほしかったひとがいた
そうしてだきしめて頭をなでて手を繋いでほしかったひとがいた

救いに似た強引でやさしい浚われかたをされてみたかった
甘えてみたかった 泣いてみたかった 左胸に額をすりよせて音をきいてみたかった
あのひとに されてみたかった

たすけてほしかった
あのひとに


死体のようなこの冷たい身体を
自分ひとりであたためて無理矢理いきることに慣れる前に
生きようとおもうことを諦める前に
一瞬で充分だから
あのひとに あってみたかった


顔も声も知らない絵だけは愛してくれた文字を連ねるひと
面倒な顔で無視するのに結局構ってくれた世界一うつくしいデッサンのひと


嘔吐しそうな夢物語
この薄汚い血を吐く度ゆれる御伽噺



合計四時間の点滴や神経注射やCTの最中 必ず幻視する現実逃避





 

---



うまれたくない


ごめんなさい ごめんなさい
ごめんなさい


ga.1u@vydj/


自分に限り
母親、母、お母さん、ママ の 概念も崩壊してどれくらい経った
父親、父、お父さん、パパ が 全く解らずただの音か記号になってから
それ等これ等がなにか、なんなのか
もう殆ど理解も区別もなくなってから、一体
確かな酸素の把握の不能


また数時間、「お国の為に」とこの低い声で繰り返していたらしい
ママが泣く 毎年のことなのに
ごめんね、ごめんなさいとママが泣く
誰ですか、と問うと「ママ、ママよ」と悲しそうに泣く
そうか、このひとは今ママなのか
認識して確認して、ママ、と声にしたら掠れて上手くいかなかった
「お願いだから、しっかりして お願い、ママがいるから、ママがいるから大丈夫だから」と泣きながら抱きしめようとする
「はい、ママ ごめんなさい 大丈夫です」と言ってその腕を避ける
ママがもっと泣く
「空襲です 逃げてください」
もっと泣く
「電気を消して防災頭巾と非常食を、」
もうやめてごめんなさいママが悪いのごめんなさいごめんねごめんねゆるして、ともっともっともっと泣きながらの悲鳴に遮られる
意味がわからない
のばされた腕を、今度は避けずにおとなしく我慢する
抱きしめられたまま、ママの短い髪と肩の向こうで
お父さん、という男のヒトが なにかに絶望したような目でみている
誰ですか、と言いかけてやめた
代わりに、「さあ 防空壕へ」とママを促す

「お兄ちゃんの分まで生きなくてはいけません」
言った途端 ママは狂ったように泣き叫んだ


なんでそんなに泣くの
わたしはなにも、おかしな事は言っていないのに

わたしの8月は、いつも通りなのに

oDA*j



なにひとつ そだたない
花なんて、まさか
咲くはずないだろう

このなかに
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