だめだとても 置き去りにできるような過ちなんてひとつもない
あああまい あまいんだよ あまいんだってばもうやめてやめようか
でも どれもだめなんだ
ああ ああ ああ ああ そうだから だから
もう
腰に回された腕が、近付く顔面の表情が、セリフが、息遣いが雰囲気が、全てがあまりに生意気で
つい、引っ掻きひっぱたき鞄で殴りつけて蹴り飛ばした
縫い痕だらけのアスファルトに倒れ呻いて、鼻血を流し首筋に三本浅い爪痕をつけている異性は、確か小学校の同級生
夜道、細い道 名前を呼ばれ立ち止まった不覚のおかげで無駄な労力を売った
「なぁ、いいじゃねえか スッゲー久々に会ったんだしよ 頼むよ、話聞くだけでいいからさ」
「8と9と3に略されるニンゲンの話を聞く程元気じゃないからサヨウナラ。」
「おい、おい待てよ、■、いい女になったっつー事だぜ?なあ、頼むって 俺も困ってんだよ」
「それ以上、一歩でも近付いたら、わたしに触ったら殴るけど」
「は?■、お前度胸あんな いいぜ、やってみろよ どうせ出来ねーだろ」
「触るなって言ったよね」
そして冒頭
7pのヒール 腹部を三回踏みつける
反射的に背を丸めたことになんだか苛ついて爪先で蹴る
何か言っていたけれど鬱陶しいから聞かなかった
頭髪を掴んで無理矢理こちらに向かせる
投げ出された左腕をヒールで踏みつけたまま、靴の裏を顔面に擦り付ける
「サヨウナラ。」
なんて下らないんだろう