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せんせい せんせい せんせい
わたしはまだだいじょうぶですか
だいじょうぶ
だいじょうぶ
だいじょうぶですか


「女」の絵は恐ろしい
とてもとても 恐ろしいよ

絵が「女」
恐ろしい
摂理に反する
まるで絶無
これじゃあ、通らない
構築が犯される

有ってはならない


きもちわるい

気持ちが悪い

不愉快

きもちが
わるい


せんせい、ねえ、せんせい
停止の反対は 中身は 現存は
だいじょうぶですか
ねえ だいじょうぶだよ


せんせい
わたしは
汚らしく涎を啜り乱暴に泣いて見せたり意地汚く愛情を強奪する癖に被害者面で笑い狂う豚のような女というものに
どうしても成りたくないよ

代筆/h



「なんとかしなさいよ!」と、ぼくのシャツを掴み揺すり涙声で叫ぶ彼女は 感情をとてもストレートに表すことが出来る分、あのこの、ぼく等人格の中で一番と言える程に人間的だ


「落ち着きがないね」
「うるさい!」
「あのこが起きてしまう」
「あたしは起きてほしいのよ!」
「どうしてだい」
「ふざけてんの!?あたしの、あたしのかわいいベイビーをなんでまた孤独にさせようとすんのさ!!!」
「…きみのモノかどうかは判らないが、あのこが孤独を望んでいることは事実だ」
「あんな、昔みたいに冷たい目になっちまったっていうのに、なんでよ、なんでこれ以上そんなふうに、あたしは、」
「準備をしているんだよ」
「は…?」

「あのこが、どれ程の思いで最後の決断をしたのか 未だ、わからないのかい」



大きな目を見開いてから俯き黙り込んだ彼女は、一度ぼくの頬を叩いてから自室に向かった
吊り気味の大きな目は、常ならば不適で挑発的な雰囲気であるのに
ここ暫く、そんな雰囲気は失せている

扉を思い切り閉めた音が大きく響く


「ハルおにいさま」
幼い声 真後ろ 下の方から
「ごめんよ うるさかったかい、モモカ」
「いいえ レイおねえさまが、しんばいだったのですが モモカが、おはなしのじゃまをしてはならないから」
「出るに出られなかったんだね やさしいいいこだ、モモカ」
目線を合わせるべくしゃがみ、ちいさな頭を撫でる
「…ぬすみぎき、を、してしまいました ごめんなさい モモカはわるいこです」
「モモカはいいこだよ、安心しておいで 彼女…レイには今、少しだけ時間が要るだけさ だいじょうぶだよ」
抱きしめ背をさする ちいさなちいさな手は震えている
「はい…」
不安
「さあ、モモカも眠る時間だね おいで、お部屋までいっしょにいこう」
「…ハルおにいさま」
我慢
「なんだい」
判断

「モモカは、しあわせでした」
微笑


抱き上げた幼子は、それきり眠ってしまった 疲れているに決まっている、まだ五歳の女の子なんだ

理解をしようと 必死に




モモカを寝かせ、自室に行こうとすると彼に声をかけられた
「おい、」
「ルイがぼくに話し掛けるなんて珍しいな」
「うるせぇ アンタ、どこまで考えてんだよ」
「何を、だい」
「アンタ性格悪すぎだ」
「結構。」
「…どうしようもねぇんだな」


そうだ どうしようもない

「ああ 決定事項だよ」


最終手段に多少の犠牲は必須だ
寧ろ、多少で済むなら幸運だ

「そうかよ」
じゃあな、と彼が去る


彼のあんな情けない顔は初めて見たな、と無神経にも思うぼくは、恐らくもっと情けない顔をしているんだろう

B@a0rhjcE.Pm



記憶の管理は橙に晒され
いつまでも、微睡んだ鉄格子は視ていた


(「自己犠牲についての見解を」)


ひとりで暖まることは容易い
手足と背中はいつだって凍りついているけれど
それに今以上の惨めさを覚えたら
今度こそ、殺すだろう


(あなたは良いね、汚い温度に優越できて)


生活を棄てる選択





それで?さあ、言ってごらんよ
聞いてあげるよ、足りないんだろう
ほら、どうした そんなにこちらに言わせたい?

(さて、興味はとうに尽きている)
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