困るくらいに
風邪っぴきが2人 おわりの30
耳に与えられる、与えてもらえるやさしい声のいろ
きみ、汚れてない なんて 素晴らしいこと、だって
きみ 困るよ あんまりかわいいから
つい、目を綴じたくなるよ
ずっとずぅっと きみは纏わない大人
揺れる髪の毛まで細い
繊細な身体だ、それ本物なの?
美術的な芸術だよ
こころは、もしかして砂糖細工?
困る ああ、困った 参ったなあ
「」、「」、「」、■■、■■■、「」、『』、■■■■■、?
ねぇ今度はさ
いや、違う
そう、またさ
わらってよ
そうしたら
すこし、泣いてみて
いつまで いられるんだろう ここ に
無駄
劇薬
過剰
気遣い
横縞
閉鎖
気遣い
興味
冷透
過失
気遣い
遅死
願望
関係
連鎖
知悉
因果応報
あの日
買わせた化粧用品一式
ほんとうは総額は知らない
父親というヒトの発言を許せず
自己満足と言われようと
要らない、合わない、使えないと言われようと
謝罪と、だいぶ早い誕生日プレゼントの意味で
お店のスタッフさんと三時間かけて
相談させて貰いながら
あの子に合いそうな、好みそうな化粧用品を選んだ
けれどそれも間違いだった
気付けば全て、壊していた
割れたパレット、砕けたアイシャドー、垂れ流れたリキッドファンデーション、ラメ入りのフェイスパウダー、コームのへし折れたマスカラ、下地、コンシーラー、オレンジ系とピンク系のチーク、真っ二つに折れたペンシルタイプとリキッドタイプのアイライナー、引き裂いたリップグロス、握り潰した口紅、それから、それから
おもいだせない
でも 少しでも喜んでもらえたらいいな、と
どこかでおもっていた
それが浅はかだと気付きもせずに
ああ ねぇ うれしかったんだ
ぜんぶ それがうれしかったんだよ
演じきるわたしはもう どこにもいない
望んでくれたね きみたちは
わたしのしあわせなんかを さ
ゆるしをくれたのにね あのときも
あの日も
願わせてくれたね 望ませてくれたね
祈らせてくれたのにね
きみたちに限りのないしあわせを やさしいを こうふくを あたたかなゆめを あまやかな掌を
あのころ毎日 唱えさせてくれた
いっしょに いきられたなら
届いたのだろうか
叶ったのだろうか
陽射しの匂いは変わらなかったのだろうか
演じきる強さがあれば
まだいっしょにいきてくれた?
もうぜんぶ なくしてしまったけれど
せめてきみたちが
きみたちをこわさないようにと
おもわせて
わらったかおがかわいかった
なにもしらない、こどもだった
きみたちは きみたちは、どうか
きみたちで いきぬいて
ぜんぶ うれしかったんだ
それが、だいじだった
こわすばかりのわたしへ