daydream/peel-off(smash)

丸い目を、もっと丸くして
｢おにいちゃんは、だあれ？｣と
幼い女の子が、小首を傾げて言った

ぼくは咄嗟に 季節の所為もあるだろう
｢はじめまして ハルといいます｣と返事をした



それからの20年は 酷く重かった
｢ハル、ハル｣
｢ねぇねぇ、きいて、きょうね、｣



壊れてしまったね
わからなくなってしまったね

ぼくは何の為に居る
あのこの名前を呼び続けるしかない
あのことぼくしか知らない場所にも
あのこは居なかった


疲れてしまったんだね
眠っていたいんだね
大事なうさぎのぬいぐるみを抱いて
あのこはきっと 泣いている

カーテンの下だろうか
ベッドの下だろうか
螺旋階段で遊んでいるのだろうか
それともピアノを弾いているのか

わからない
ぼくでさえ拒む程
あのこは




オルゴールの音があのこの声に聴こえて
叫びながら目を覚ました



おいで


ぼくは あのこの名前を呼び続ける

いつかみんな 消える
｢君が強くならないと、―｣




｢被害者面してたら楽ですもんね｣
ころしてやろうか、不幸を量る？
知ったような面して 良い歳のおっさんが、わたしのパズルをころした
｢ぼくは孤独なんです…｣
300人以上のアドレス入っている癖に、のうのうと生きている、宣う、あの男
完璧すぎる程の生ゴミ


復讐
報復


人殺し、わたしのパズルを返せ

ころされたんだよパズルは
あのおとこに
ぼくはどうしたらいいの



ねえハル キューブはまたひとりぼっち
おねえちゃんもみえないよ
キューブはどうしたらいいの

・上履きに画鋲や蝉の脱け殻を入れられた
・サッカーボールで顔面を殴られた
・サッカーボールを入れるネットを被せられ引きずり回した後で首を絞められた
・ウンテイを登っている時に足を掴まれ落とされ、頭を打った
・ジャングルジムの一番上から背中を押され落下
・歩いている時に、物凄いスピードで走ってきた男子に後ろから体当たりされ、膝を５針縫った
・トイレに行かせてもらえず…
・ブランコを思い切り揺らされて飛ばされ、肋を打った
・粘土やクレヨンを食べさせられた
・虫の入った泥団子を食べさせられかけたり、顔と体に投げつけられたり
・幼稚園で飼っていたうさぎが死んだとき、あのこの所為にされた
・お遊戯の発表会で着る筈だった衣装をハサミで切られ、両親と先生に怒られた
・クラスで育てていたヒヤシンスの花の花瓶が倒れ、水がないまま枯れてしまったヒヤシンスを見た生徒全員に、｢まりえちゃんがやりました｣とやってもいないのにやったことにされた
・豚、デブ、死ね、殺すなどの言葉の暴力
・鳥の排泄物を食べさせられかけた
・四つん這いにさせられ、殴る蹴るの暴力
・男子にメロディオンを壊され、壊した男子のメロディオンと交換され｢まりえちゃんがぼくのを壊した｣と泣きながら先生に言い、両親を呼び出された
・肌が白く髪が茶色い為、仲間外れ
・無視
・ある男子が水道の床で滑り、頭を流血した時、｢まりえちゃんが、そこをお水で濡らしていました｣と生徒全員に言われ、両親を呼び出され、家に帰った途端両親からの暴力を受けた
・下着を無理矢理脱がされ１日過ごした


まだあるよ
因みにこれは幼稚園時代


悲劇のヒロインだよ わたしというイキモノは



この類がぼくの記憶
腕の中であのこが泣く
｢わたしがわるいからだよね｣
ぼくは何も いえない

いま、描いています
あなたを想って、重たいくらいのそうぞうをして
わたしは勝手に、あなたに絵を描いています


あなたが届かないというのなら
届いていないのかもしれない
わたしが届いているといえば
届いているのかもしれない


いっしょに墜ちる？
いっしょに生きる？



わたしの身体の80％くらいは
あなたをあいしているという水分で構成されています
想たいくらい
あいしているという真実


届かなくてもいいよ
無理に感じなくていいよ
わたしのヒトリアソビでも構わないんだ


あなたがいきて、居て、要るなら
わたしはそれで どうにかして心臓を働かせます



さて だれに宛てたことばでしょう