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天下への道標(前編・信長総受)

前書き



はい、続けてのEmpiresネタで御座ります。

今回は、子犬こと豊久が総大将です。

此のお話での勢力は東北、関東統一済みで、中国地方は隠岐(島根)、安芸(広島)までは自勢力にしております。

前の作品がギャグでしたので、今回はシリアスに致しました。



また、何時もの文字制限のせいで、続きますよ、もう、うきー!!!Σ( ̄皿 ̄;;

はい、本編へどーぞ。
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けいじ(信長総受)

前書き



はい、Empiresネタですが、ギャグです(笑)

色気もへったくれも御座いません。

少し、風来坊さんが若干可哀想な扱いですが、其所は笑って許してやって下さいませ。

総大将は信長様です。

ではでは、本編へどうぞ。
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闇と光の耀き(中編)

前書き




タイトル見て『え?!まだ続くのかよっ!?』ってツッコミ入れた方、挙手っ!!!(  ̄ー ̄)ノ

ごめんよ、ええ、続きますが、何か?!(開き直り)

ああ、恨むなら、文字制限を恨むがいい!!!

もう、長ぇよ・・・( ̄▽ ̄;)

でも、信長さん、美味しいポジションに居るから、マジ萌えますわ。

でも、此のゲーム、したいなぁ、という気持ちが全く起きないのだが・・・何故??(・・;)

取り敢えず、信長様が出るゲームは一回はplayするのだが、何故か此のゲームだけは別で、マジでplayしたい、という意欲が湧かん(ーー;)

不思議だ・・・・

まあ、無駄話は是くらいにして、本編へどーぞ。
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闇と光の耀き(前編)

前書き



はい、別の方・花梨様からのリクエストで御座います。

『命懸けの覚悟』の続きを書いて下さい、だそーです。

いや、だからね、確か前にも書いたよね?

私は、此のゲームplayした声がないって。

ちゃんと読んでました?



って、ま、いっか。

前にリクエストして下さった方に、更に資料を提供して下さったから、書きますけどね( ̄▽ ̄;)

ああ、Empiresネタが溢れ返ってんのに、また、アップし損ねた(´д`|||)

何時になったら、アップ出来るのか・・・orz

ま、取り敢えず、本編↓↓↓へスクロールして下さい。

長くなりましたんで、前編、後編に分けました。














勝ち負けなんて、関係なかった。

弱い強いなんて、関係なかった。

ただ、俺は口実が欲しかっただけだった。

アンタと俺を結ぶ『何か』が欲しかったんだーーーー・・・










「ふははははーっ!!!」

ゼビオン城の王室に、高らかな笑いが木霊する。

笑うは、ゼビオン王の双子の兄に成り済まし、此の世界に戦争を呼び込んだ張本人。

人では無く、千年前に滅んだと言い伝えられていた魔王。

「くくく・・・私の掌で踊らされているとは露知らず、私の言いなりに、世界中を旅した貴様等の姿は、実に滑稽だったわ。」

「く・・・っ」

「其所に倒れるゼビオン王も滑稽だったぞ。本当の兄ではないと知らずに『兄上』と慕う姿は、正に滑稽の極み。十分、楽しませてもらった。」

男は笑う。

愉しげに。

「そうよ!慕ってたのよ!喩え、成り済ましていると知らなかったとはいえ、慕っていたのよ!其れを殺す必要はないじゃないっ!」

少女・テレシアが叫ぶ。

「殺す必要はない?くくく・・・ふははははーっ!!!笑わせてくれるわっ!」

「なっ、何ですって!!」

「では、其所の男は何とする?」

男が指差す先には、漆黒の美丈夫。

「其所の男は、親兄弟であろうとも、自らに敵対する者は容赦なく殺しているではないか。家臣ですら、裏切れば根絶やしにしたではないか。其の男こそ、討伐すべき極悪者ではないか?」

「・・・・・」

「殺す必要は無い、と戯れ言をほざくのならば、其の男にも言えるのではないか?自らの野望を満たす為ならば、手段は選ばぬ其の男こそ、成敗されるべく輩ではないか?まあ、現に成敗されたがな、信頼すべく家臣に。」

男は、好き放題に美丈夫を罵る。

だが、美丈夫は何も言わない。





其の様子を、傍らに居る剣士が見つめる。



何故、何も言わない?

自分が侮辱されているんだぞ?

何故、反論しない?



剣士の旨に去来する様々な疑問。

仲間にした当初から、美丈夫は多くを語らなかった。

口数が少なく、何を考えているのか分からない事が沢山あった。

何時だったか、仲間の一人である狼少年・ガボが美丈夫に『言わなきゃ、思いを口にしなきゃ、伝わんねぇ事が沢山あるぞ』と指摘していた。

其の時に見せた美丈夫の表情は、困った様な、少し泣きそう(実際は泣かなかったが)な、そんな複雑なものだった。

にも関わらず、美丈夫の口数が増えた傾向は皆無だった。



一体、何が信長を此処まで寡黙にさせたのか?

一体、何が此処まで信長を変えたのか?



剣士は、知りたい、と思った。

ミネアが言っていた。

信長は、本当は心優しき人なのだ、と。

そして、真に優しいから『魔王』という異名が付いたのだ、とも。

魔王でありながら、優しさを持ち合わせた人間。

其れが此の美丈夫・織田信長の姿。

剣士は、此の男が『魔王』という異名が付いた理由を戦場で知った。

普段は、穏やかな空気を身に纏い、皆と他愛無い会話を愉しだり、意外にも甘いもの好き、という無防備な姿を曝す。

だが、一度、戦場に身を置けば、信長は其の空気を一変させる。

纏う障壁は闇。

冷たく鋭い氷の様な眼差しで、敵を見据えれば、相手は凍り付いた様に立ち竦む。

立ち竦んでしまえば最後、相手はもう動けない。

迷いなく狙うは、一瞬で命の灯が消えてしまう急所。

迷いのない剣撃。



剣士は、震えた。

凄い、の一言で済ますには足りない程の強さ。

目が離せなかった。

気付けば、剣士は信長を目で追っていた。

どんな時も、戦っていない時でも、視線の先に信長が居ないと落ち着かなくなってしまっていた。



『彼が生きていた世界。其の世界は彼には優しくはなかった。彼を真に理解する者が存在しない、幾ら、信頼を寄せる家臣が周りに居ても、彼にとっては生き辛い世界。彼は此の世界では孤独だったんです。そう・・・『孤独』という言葉すら知らないぐらいに孤独だったんです。』

ミネアが嘗て語った言葉。

ミネアは、表情に悲しみを滲ませながら、そう語っていた。

其の言葉に、剣士は憤りを感じた。



神が確かに存在するならば、何故、あの世界に信長を誕生させた?

自らの志を真に理解する者が何処にも居ないあの世界に。

どうして、彼を孤独にさせる世界に誕生させた?



『世界を変える為に、彼が必要だったからです。あの世界に生きる者は、自分が支配する領地が平和で平穏であれば、他国に興味を示さない者が多く存在していました。外の国との交流すらにも関心しない者が沢山。だからこそ『神』は世界の変革を望み、あの世界に信長さんを、誕生させたんです。』

剣士の疑問に、ミネアはそう答えた。

其れでも、と剣士は考える。





「信長さんを貴方と一緒にしないで下さいっ!」

ミネアの叫びに剣士は我に返る。

「信長さんは貴方と違いますっ!」

「くくく、何処が違う?」

男は更に嘲笑う。

「焼き討ちに皆殺し。親殺しに盟友殺し。本来、守るべき存在である平民ですら、斬殺する残酷極まり無い遣り口。さあ、私と似ていない等とどの口がほざく?」

男は、再び高らかに笑う。

剣士は、唇を噛み締める。





信長の過去は、ミネアから一通り聞いていた。

親兄弟、盟友すらも殺した。

最初にそう聞いた時、剣士は確かに怒りを覚えた。

血を分ける家族や志を同じにする盟友を迷う事無く殺した事に。

だが・・・

『信長さんは、謀反を起こした家臣達や裏切った家臣達も、そして、自らに逆らった親兄弟を『許している』んです。其れも二度も。家臣達には帰参を許し、家族には裏切りを咎めは一切しなかったんです。』

剣士は初めて知る信長の一面に驚いた。

『許しているのか?』

『はい、二度も。』

『二度・・・』

『テリーさん、仏の顔も三度まで、ですよ。』

『ああ、だから、二度。』

剣士・テリーは納得した。

二度までは許してやるが三度目はないぞ、の意味を含む二度。

然し、そんな信長を嘲笑い、謀反を起こし、皆は裏切りや謀反を繰り返した。

だから、信長は其の者等を断罪した。

『そして、盟友ですらも、三度は戦いはしましたが、三度共、信長さんは盟友を深追いはしなかったんです。逆らった者は深追いをし、容赦ない断罪を降す信長さんでしたが、盟友には其れをしなかったんです。』

『何故?』

『信長さん自身、自分の事は語りはしませんから、是は私自身の解釈ですが・・・恐らく『義弟』だったからだと思います。』

ミネアは悲しげに笑む。

『信長さんは、妹が嫁ぎ、義弟となった盟友を、本当の弟の様に可愛がっていた、とババ様から聞きました。妹が盟友の子を身籠り、無事生まれたと知れば、我が事の様に喜びもしたそうです。正月には挨拶に欠かさず訪問さえもしていたそうです。』

『だから、情けを掛けた・・・?』

テリーの呟きに、ミネアは小さく首を左右に振った。

『いいえ、情けではありません。『家族』だからですよ。家族だからこそ、敵対する立場になってはしまいましたが、殺したくはない、傷付けたくはないと。恐らく、信長さんは『待っていた』のではないでしょうか。盟友が自らの下に姿を表し、再び自らに帰参を許しに乞いに来る事を。』

『だが、盟友は最後まで信長に逆らい続けた。妹ですらも。』

『はい・・・最後、信長さんは城を包囲し、盟友を追い詰めましたが、此の時も、包囲するだけで攻めはしなかったそうです。』

『最後の最後で、盟友を信じ続けたのか。』

テリーの言葉に、ミネアは頷く。

『ですが・・・盟友はそんな信長さんの信頼、そして、強き想いすらも裏切りました。』

『まさか・・・』

『残念ながら、信長さんの切なる想いは盟友には届く事は無く、盟友は自害致しました・・・』

『ーーーーっ!?』

テリーは息を詰めた。

ぎゅっと掌を握り締める。



裏切りと謀反。

其の連鎖の人生。



何て苛酷な人生なのだ、とテリーは思った。

そんな人生の中で信長が唯一抱いた自害するギリギリまで信じ続けた盟友への強き信頼心。

其の信頼すらも無残にも裏切られたのだと知ると、テリーは居たたまれない想いに駆られた。



どんな気持ちを抱いていたのだろう。

盟友はもう二度と戻ってはこない、と知った信長はどう思ったのだろう。

今となっては信長の心境を知る術はない。

然しーーーー・・・



『ほう、卯ぬには姉が居るのか?・・・何が遭っても離すでないぞ。唯一の姉弟ぞ。常に卯ぬだけは姉の味方であれ。・・・大事に致せよ。』

嘗て自分には、姉が居るのだ、と語った時に、信長が自分に言った言葉。

恐らく、あの言葉に、義弟を亡くした信長の真の想いが込められているのだろう。

此の時、テリーは決意したのだ。

どんな時でも、自分だけは信長の傍らに居よう、と。

もう二度と、彼が孤独を感じない様にーーーー





そう決意したからこそ、テリーははっきりと言い切れる。

「・・・貴様と信長の何処が似ている?兄弟を殺したからか?残酷極まり無い断罪をしたからか?其れだけの理由で、信長は貴様と一緒件(くた)にされたのか?其れこそ、片腹痛いぜ。」

テリーは、そう語りながら、鼻で笑った。

信長を庇う様に立ち、テリーは男を見据える。

「一緒にするな、下衆野郎。信長は貴様の様に人を虫けらの様には扱わない。寧ろ、誰もが持つ人柄を尊重していた。貴様とは、似ても似付かない。」

「下衆野郎・・・だと?」

「ああ、貴様には誂え向きの異名だろ。」

テリーは、男を挑発する。

「貴様っ!私を愚弄するかっ!!」

「何、言ってやがる。最初に愚弄したのは貴様だろうが。」

男の激昂に、テリーは気にするでもなく、更に男を煽る。

「許さん・・・許さんぞっっ、虫けら共がぁぁぁっっっ!!!」

男はそう叫ぶと、手にした聖杯を高々と掲げた。

瞬間、聖杯からは、闇が溢れ出し、王室を黒く染めていく。

大地が揺れ、テリー達がバランスを崩す。

「私に逆らった事、あの世で悔やむがよいわぁぁぁっっっ!!!」

「!!?」

爆発的に闇が溢れ出した。

瞬間、テリーの横を素早く駆け出す影があった。

影は迷わず、男に駆け寄り、手にした聖杯を掴んだ。

「無駄よ、たかが人間ごときに聖杯から溢れ出した闇の制御等・・・」

そう言い掛けた時、溢れ出た闇が収縮されつつある事に男は気付いた。

「なっ!?何だとっ!!そんな筈は・・・っ!」

男は聖杯を握る影・信長を見た。

信長は黙ったまま、男を見据えた。

流れ出る闇は王室ではなく、信長へと流れ込んでいた。

「・・・っ!?そうか、貴様、内に闇を抱きし者か。」

「・・・・・」

信長は黙っていた。

「信長っ!!」

「信長さんっ!!」

「来るでないっ!!!」

「!!?」

皆が信長に駆け寄ろうとした瞬間、信長は皆を一喝した。

力強い一喝に、皆は足を止めた。

「今来れば、内に闇を抱かぬ卯ぬ等は、闇に呑まれてしまう。」

「でも・・・っ!!」

「道を違えるな。今、卯ぬ等がすべき事は此処に止まり、共倒れする事か?違うであろう?」

「・・・・・」

信長の言葉に、皆は言葉を失う。

此の城を脱するなら、聖杯の闇の力を信長が抑えている今の内だろう。

然し、皆、信長を見捨てて逃げるなんて事は出来ずにいた。





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命懸けの覚悟

前書き



リクエスト作品です。

優梨華様リクエストです。

ヒーローズ2ネタです。

ぶっちゃけ、ヒーローズ2はした事無いです。

そう伝えましたら、美味しいネタがあるんで、教えますんで、書いて下さい、と頼まれまして(^_^;)

で、実際に送られてきました。

動画メールで。

見る事、10分。

物の見事にノックダウンでした(^_^;)

確かに美味しいネタだ。

是は書かずして何とするっ!!!ってな事で書かせて頂きました。



元ネタは『ミネアが、朽ち果てた寺院にて、信長を目覚めさせる』です。

実際、ゲームでは、ミネア一人で行かなさるんですが、本編ではわんさか(笑)居りまする。

で、御約束、信長さん皆さんにモテております(笑)

では、本編(下へスクロール)へどうぞ。














冷たい風が吹き荒ぶ。

太陽は、眩しいばかりに輝いているのに、此の場所だけ、別世界の様に薄暗く、流れる空気も冷たい。

「な、何か不気味な所ね・・・」

周りを見渡しながら、フードパーカーを身に纏った少女が恐る恐る声を掛ける。

そんな言葉すら、聞いていないかの様に、一人の占い師は、足を進める。

そして、暫く進むと景色は一変する。



焼き爛れた木々。

焼き崩れた寺院。



最早、其の寺院は在りし日の面影は留めて等いなかった。

激しく燃え盛ったのだろう所々土がどす黒く染まっていた。

「一体、此処で何が遭ったんだ・・・?」

まるで、何者かの襲撃を受け、全てを破壊尽くされた様な場景に、剣士が訝しげに呟く。

其の呟きに、少女もまた小さく頷く。

「ねぇ、ミネア、本当に此処で合ってるの?」

最初に呟いた少女とは別の薄桃色の髪の少女がそう占い師・ミネアに問い掛ける。

「ええ、此処で合っているわ。ババ様の占いの場所は間違いなく此処よ。」

「って、何もないじゃない。燃えて崩れた建物以外・・・」

「おい、彼処にうっすら光っている場所があるぞ。」

少女の言葉を遮り、剣士が指を指す。

ミネアは、ゆっくりと顔を上げ、剣士が指を差した方向に自ら手にした水晶玉を掲げる。

すると、其の光が水晶玉の淡い光に反応して、輝きを強くする。

「間違いないわ。此処に古の傑者(けんじゃ)は眠っているわ。」

ミネアは、其の光にゆっくりと近付く。

そして、其の光と向き合い、水晶玉を高く掲げる。

「私達に力を貸してくれるかしら。」

少女が不安そうに呟く。

「さあ、どうだろうな・・・あの占い師の言葉だと『生半可な覚悟』で向き合えば、此の傑者は目覚める事すらしない、と言っていたが・・・」

剣士は、ミネアの目覚めの儀式を見つめながら、そう呟く。





『破壊尽くされ、廃墟と化した寺院にて、『人』でありながら『魔王』で在った一人の英傑が眠る。』

そう占ったのは、ミネアの恩師でもある年老いた占い師。

世界を救う戦いを挑むべき、一人でも多くの力在る者を求めるミネア達。

未だ、此の広き世界には、ミネア達が出会った事のない力在る者達が眠っていると知った。

其の者達を仲間にすべく、ミネア達は探索を始めた。

何処を探せばいいか分からず、占い師に占って貰えば、返って来た答えが此の一言であった。

『英傑』と聞き、少女と少年は旨を踊らせた。

どんな武勇伝を持つ英傑なのか。

眠りに付く前は、どんな活躍を見せたのか。

期待に旨を膨らませた。

だが、そんな二人とは裏腹に占い師は険しく厳しい表情で言葉を続けた。

『目覚めさせるつもりあらば、生半可な覚悟で相対する事、罷り成らぬ。』

『ババ様、其れはどういう意味でしょうか。』

ミネアが訝しげに問えば、小さく首を左右に振る。

『済まぬが、是以上は詳しくは視えぬ。』

占い師はそう告げた。

『・・・理屈はどうあれ、力在る者ならば、目覚めさせるに濾した事はない。』

大剣を背負った少年が腕を組み、そう告げた。

『そうね、取り敢えず、其の寺院に行ってみましょう。世界に平和を取り戻したい、少なくとも此の思いは生半可なものではないもの。』

『そうだな。』

少年の言葉に、少女も頷く。

皆は、少し戸惑いを見せた。が、

『兎に角、行ってみよう。』

別の少年の言葉に、皆は不安はあるものの行ってみない事には始まらない、と思い、少年の言葉に頷き、其の少年に同意した。





(『生半可な覚悟』・・・意味は分からないけど、世界を救いたいという気持ちは皆同じ。此の思いの強さは真実。だから、きっと、大丈夫。)

ミネアは、ぎゅっ、と水晶玉を握り締め、自分にそう言い聞かせる。

「古の時代より眠りし英傑よ、我の声に応えよ。汝、此の光見えしならば呼応せよ。我は汝を目覚め示し者なり。今こそ、其の力を解放し、我の前に姿現さしめたまえ。」

ミネアが言霊を発する。

水晶玉の光が強くなり共鳴が生まれる。



誰もが目覚める、と信じて疑わなかった。

此の強き光が収まれば、目の前には誰かが立っている。



そう思っていた。

だが、ミネアが言霊を唱え終わり、光が消え去った後、目の前には誰も立ってはおらず、ただ、一部が淡い光を放つばかりだった。

「どうして・・・っ!」

少女が苦痛な叫びを放つ。

「どうしてっ、応えてはくれないのっ!!皆も、私も、ツェザールも、生半可な気持ちで此処には居ないわっ!!何が・・・っ、何が足りないのよっ!!!」

「テレシア・・・」

少女・テレシアの叫びに皆は沈黙する。

古の英傑は、目覚めようとはしない。

何が『生半可な覚悟』なのかが分からない。

そんな苛立ちがテレシアの中に生まれる。

「フ・・・所詮は闇に堕ちた英傑、って事か。」

「ツェザール?」

「目覚めないのは、そういう事だろ?闇に堕ち、魔族の王と成り下がった人間が、今更、人に力を貸す理由はない、って事だろ。」

「・・・・」

ツェザールは、鼻で笑い、目覚める気配のない英傑を嘲笑う。

「・・・果たしてそうだろうか。」

ツェザールの言葉に異を唱えたのは、背中に盾を背負った少年・テリーだった。

「・・・?」

そんなテリーをツェザールは訝しげに見た。

テリーは淡く光を放つ箇所へと近付きながら、言葉を続けた。

「闇に堕ちたのならば、何故、此の者は『英傑』と讃えられる?実際に、闇に堕ち、魔族の王と成り果てただけならば、人は『英傑』として讃えはしないだろう?逆に、此の者を罵り、軽蔑し、『英傑』ではなく、『悪』として伝承するだろう。違うか?」

「そ、其れは・・・」

「其れに占い師が言っていただろう?『人で在りながら』と。」

「あ・・・」

テリーの言葉にテレシアが声を上げた。

「傑者の言う『生半可な覚悟』。其れが何を指すのか、何を意味するのか、其れが分かれば、目覚めてくれる筈・・・」

ミネアは、再び光に向き合った。

「『生半可な覚悟』。其れを対象にしている人物なら、俺は分かったぜ。」

ミネアに、テリーがそう告げる。

「え?」

「其れって誰なのよ。」

テレシアの後ろに控えていたもう一人の少女がテリーに食って掛かる。

「ラゼル、テレシア、ツェザールの三人だ。」

「え?」

「俺達・・・?」

テリーの言葉に、三人は顔を見合せる。

「そうだ。元々、此の世界は、アンタ等が住む世界で、俺達は、別世界からやってきた余所者だ。此の世界が滅びようと知った事ではないし、此の世界を救う為に、命を懸ける義理もない。俺達が住む世界じゃないからな。だとすれば、当て嵌まるのは、此の世界に住む住人、アンタ等って事さ。」

テリーは、そう説明する。

「覚悟なら当の昔に出来ている!」

「私だってっ!」

「俺だって!」

三人が興奮して、テリーに叫ぶ。

「なら、何で目覚めないんだ?覚悟が出来ているなら、目覚める筈だろ?目覚めないって事は、アンタ等三人の覚悟が『生半可』なものって事だろ?」

「俺は、戦いで沢山の人が死んでいくのを見た!苦しみ、哀しんでいる者も!だから、もう二度とこんな奴等が現れない様に、此の世界に平穏を取り戻す為に戦うと誓った!」

「俺もツェザールと同じ気持ちだ!」

「私だってそうよ!」

「是の何処が『生半可』だって言うんだ!!!」

ツェザールは、光に向かってそう叫んだ。

だが、そんなツェザールの言葉に答える事は無く、光は淡い輝きを称えるばかりだった。

「くそっ!!」

ツェザールは苛立ちで地を蹴った。

「・・・・ツェザールさん、一つ聞いても宜しいでしょうか。」

じっと淡い光を見つめていたミネアが不意にそう声を掛けてきた。

「何だ?」

「貴方方三人は曾て敵対していた、と話で伺いましたが、其の時、抱いた『覚悟』は何だったのですか?」

ミネアの言葉に、テレシアは首を傾げる。

「覚悟?覚悟なんてしてないわよ。」

「していない?どうしてでしょうか。」

「どうしてって・・・する必要なんてないでしょ?あの時は、ツェザールの勘違いだったんだし、其れに、幼馴染だし、話をすれば分かってくれるって信じてたもの。ね、ラゼル。」

「ああ。」

テレシアの言葉に、ラゼルは頷く。

其の言葉を聞いて、ミネアは真剣な表情をした。

「テレシアさんの言葉を聞いて、傑者が目覚めない理由が分かりました。」

「え・・・?」

「テレシアさん、『其の事』自体が『生半可』なのです。」

「ど、どういう事?!」

ミネアの言葉に、少女が驚く。

「ああ、成る程、そういう事か。」

ミネアの言葉を理解したテリーが納得した様に頷いた。

「つまりは、ツェザールが大軍を率いてやってきたにも関わらず、幼馴染だから、という理由だけで街を、其の街に住む民達を『命懸け』で守らなかったのが『生半可』だって事だ。」

「『命懸け』なんて大袈裟な・・・ツェザールは勘違いしていただけなのよ?」

「実際には、勘違いだったかも知れない。けどな、あの時の事を思い出してみろ。あの時、ツェザールはどんな『感情』を抱いて、攻めて来た?」

「・・・あの時は、父を殺したオレンカ王が憎くて、憎くて、殺してやりたい、国を滅ぼし、父以上の苦しみを味合わせてやりたい、と思っていた。」

テリーの言葉にツェザールは言葉を紡ぐ。

「そんな『感情』を持って攻めて来た相手に、コイツ等は『親友だから、話せば分かる』『勘違いをしている』という呑気な事を考えながら、剣を取った。街が滅ぶかも知れない、多くの平民の命が失われるかも知れない、という『危機感』等持たずにな。」

「其れの何がいけないって言うのっ!!親友なのよっ!!幼い頃から一緒に居たのよっ!!そんな親友を殺すなんて出来る筈ないじゃないっ!!」

テレシアは、テリーに悲痛な叫びを上げる。

「・・・此処に眠る傑者は、曾て、親兄弟をも手に掛けたと、ババ様から聞きました。そして、妹が嫁いだ国を攻め込み、其の国を滅ぼしたとも・・・」

「なっ・・・っ?!」

ミネアの言葉に、ツェザールは言葉を失う。

「酷い・・・血も涙もないのね。兄弟や親、そして、妹が嫁いだ国まで攻めて・・・何とも思わなかったのかしら。」

「何とも思わなかったんじゃねーの?実際に殺してんだから。・・・ああ、だから『魔王』か。」

テレシアの言葉に返事を返し、ラゼルが納得した様に頷いた。

「成る程な・・・」

ツェザールも納得した様にラゼルと同じく頷いた。

「勝手に解釈して、勝手に納得するな、馬鹿者共。俺が最初に言っただろうが。親兄弟達を手に掛け、妹が嫁いだ国を攻め滅ぼした事が、『魔王』と称される切欠だったとしても、其れでも、『英傑』と讃えられる事は可笑しいだろうが。」

テリーが呆れた声でそう諭す。

「何とも思わなかったなんて、そんな事なかったと思います。だって、血を分けた兄弟や妹ですよ?平気な筈はありません。」

「なら、何で・・・っ!」

「だから、『覚悟』を持っているか、いないか、の違いだろ?」

テリーの言葉にミネアが頷く。

「はい、そうです。『覚悟』です。此の傑者が身内と相対した時、此の者が抱いた『覚悟』です。此の者には、強い志がありました。戦いを無くし、戦いの苦しみ、悲しみから民を救う、という・・・」

「其れが何故、親兄弟を殺すという非道な行いに繋がるんだ?」

「そうよ、そう思っていたのなら、殺す必要なんてないじゃない。逆に、普通なら共に手を携えて歩もうって考えるんじゃない?」

二人の言葉にミネアは目を伏せる。

「人間誰しも、同じ考えを持ってる訳じゃねぇ。皆、全く異なる考えを持ってる。全く異なる考えを持つ者同士がぶつかり合うから、争いが起きる。恐らく、英傑の考えと、兄弟達の考えが異なってしまい、何らかの形で争いが起こってしまった、という事だ。」





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