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独占欲(信之×信長)

※Empires4ネタ。





初めて会ったのは、戦場。

貴方は私の敵で、私は貴方の敵で。

だが、惹かれてしまった。

剣を奮う度に翻る外套が黒曜の様に耀き、まるで舞を舞っている様で、私の目には貴方の姿が眩しく映った。



――――此の方と共に在りたい。



瞬間、そんな想いが過った。

此の方の側で、此の方のお役に立ちたい。

そんな想いが沸々と沸き上がった。

思い立ったが吉日、と言う訳では無かったが、戦いが終わった後の私は素早かった。

直ぐ様、彼の方の居られる本陣へと赴き、貴方に仕えたい旨を伝えると、彼の方は目を見開き、私を見つめた。



――――美しい。



そう、感じた。

黄金に輝く瞳が私だけを映していた。

私の心は歓喜に震えた。



もっと…‥

もっと、私だけを見つめて欲しい。

他の誰でも無い私だけを映し続けて欲しい。



初めて会ったばかりだと言うのに、私の心の中は溢れんばかりの沢山の欲望が支配した。



御近づきになるだけでは足りない。

家臣になるだけでは足りない。

もっと

もっと

もっとだ――――…‥



もっと彼の方の心の奥深くまで入り込みたい。

彼の方を私一色に染め上げたい。

私は、もう、止められなかった――――…‥










「私の望みは、貴方と何時までも共に在り続ける事で御座います。」

突然の私の言葉に、貴方の目が開かれる。

「四天王に命じられた事は嬉しく思ってはおります。」

私は無礼を承知で、上座に座れる貴方の近くに寄る。

手を伸ばし、未だに何が起こっているのか、理解していないとでも言う様な表情をしている貴方の頬に触れる。

「…‥貴方を身近に感じ、貴方を御守り出来る。其れは其れで確かに喜ばしい事ではありますが、ですが、其れでは足りないのです。」

そう告げると、貴方の頬を両の手で挟む様に触れ、貴方の呼吸が感じられる程に距離を詰める。

「私は、貴方の特別になりたいのです。私だけが貴方だけの特別になりたいのです。どうか…‥」

私は、貴方の手を取る。

「私を受け入れて下さい。」

「…‥っ、待て…‥っ、信…之…‥っ!」

そう告げると共に、何かを告げようと小さく開かれる唇を素早く塞ぐ。

「待ちませぬ。貴方は、貴方が自覚無しとも、男女問わず、貴方に自然と惹かれる輩が多い。我が弟・幸村とて然り。今、此方で貴方を私だけのものにせねば、貴方は軈て誰かのものとなります。其れは…‥其れだけは、許し難い事なのです。」

「…‥っ、ふ…‥」

少し開かれた唇に素早く舌先を滑り込ませる。

貴方の息が少し上がり、熱を持つ。



――――もう、止まらない。

止めるつもりは毛頭ない。

貴方を、我が手中に。



「信長公…‥どうか、私だけを其の瞳に映して下さい。」

唇から少し潤んだ貴方の瞼に口付け。

「其の御声で私の名だけをお呼び下さい。」

再び唇へ口付け。

「其の御耳で私だけの御声を聞いて下さい。」

耳朶へ甘咬みを。

「其の御手で私だけに触れて下さい。」

掌に口付け。

優しく触れる度に僅かに震える貴方の身体。

戦場での冷酷さや気丈さは、今は此処には無く、私の行動に対して困惑と動揺が混然した視線を向ける貴方に、可愛さと愛しさが溢れ出す。



誰にも渡さない。

貴方は、私だけのもの。



そんな独占欲に駈られて、私は貴方を抱き締める。

「信長公…‥」

私の声に、ぴくり、と反応を返す。

(本当に可愛いらしい御方だ。)

「私は、本気です。私は本気で貴方をものに致します。嫌悪されるのであらば、抵抗してお逃げ下さいませ。」

どんな事をしても貴方を手に入れるつもりでいるから、逃げたところで無駄な足掻きだが、此処は敢えて逃げ道を作ってやる。

「…………‥」

だが、そう言ったにも関わらず、貴方は逃げようとはしない。

私は、首を傾げ、貴方の顔を見ようと身を屈めた。

すると、其れを咎める様に貴方の手が私の目を覆う。

「見るでない。見ては…‥ならぬ。」

貴方の声が震えている。

微かに覗く赤く染まる貴方の頬。

そんな貴方にもしかして、という僅かな望みが私の中で膨らむ。

「信長公、僅かに染まる貴方の頬に私は自惚れてもよいのでしょうか?」

そう告げると、貴方の頬は更に赤く染まる。

「信長公、貴方を手に入れます。」

私はそう告げると、静かに貴方の身体を優しく押し倒した。

「此のまま、貴方を抱いても?」

そう問い質すと、貴方は僅かに小さく頷いた。

其の頷きに私は満足し、其のまま、貴方の身体に覆い被さった――――…‥










私は、今、貴方を確実に手に入れた――――…‥










――end
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