京都行った二日めの
話をします

9:00
某所

おきる

10:00
母に自転車を借りる


まる一年と半年ほど自転車乗ってないのでたいへん不安でしたが普通に駆け乗りできました。よかった。立ち漕ぎが好きでよくするんですがよくよく考えるとけっこう恥ずかしいのだろうか。

10:30
丸太町御前通

どこ!?
という感じですが昔住んでいたとこの近くですね
ぐいぐい北上するぜそして西へゆくぜ
北北西に進路をとって私がどこへゆきたいかというとずばり立命館大学です。
京都はだいたい方角がわかると適当に道を選べるのでよいですね。

10:50ごろ(あいまい)
花園大学周辺

このへんけっこう曖昧なので確証はできませんがたぶんそのへんでした。
花園大学には一度だけ行ったことがあります。東川篤也先生の講演会でした。

あのときサインしてもらったあの本……


11:00くらい
仁和寺

時刻はだいぶてきとーです!
しかし確かに仁和寺へはゆきましたよ。
ああお蕎麦が食べたい
(仁和寺の向かいにはお蕎麦屋さんがある)

というか来すぎたんですよね。
立命館に行きたかったんだ僕は……

このみちはーーいつかきたーみちーー
(きぬかけの路)

ここを越えると陽明文庫か……
陽明文庫、授業でお邪魔したことがあるんですがいま考えるととてつもなく贅沢な時間だった。今後あんな機会はもう二度とないと思う。あるいはゼミ飲み会をひらくとまたあるのかな?

陽明文庫への思いもちりぢりに南へ進んでリッツを探します


11:30
金閣寺周辺

こうきゅうじゅうたくがいとはこういうことかーと感じつつリッツを


探しま


したが


たどり着けませんでした。
なんでやねん。



さよなら冬のオペラ……

なんでリッツに行きたかったかと言うと懐かしかったからです。
昔何度か足を運んだことがあって、自転車でも行ったことがあって、ちょっと寄ってみたくなった。寄れなかったけど。

12:00ごろ
二条駅周辺

ここは前に住んでいたところです!
住宅のなかにひっそりと、森林食堂というカレー屋さんがあって、そこの横をどうしても通りたくて、さらっと通過しました。あーこんどはカレー食べたい!
あと、ムーランというパン屋さんとか雨林舎とか……意外と隠れ名店が多いな。

森林食堂が最終目的地点だったのでサイクリングはここでクリアという感じです。


13:00
四条大宮

かねてより私には、京都に来たらどうしても行きたい書店がありました。
アスタルテ書房さんです。

アスタルテ書房は、学生のころに一度行こうという話があったにも関わらず何かの事情で行けなくて、そのあとすぐ店主の方が体調を崩されて休業状態になってしまい京都にいるうちはついに行くことが叶いませんでした。
そして、つい先日。その店主さんの訃報が飛び込んできて、ああもう二度とそのお店には入ることができないし、お店の雰囲気も店主さんの人柄も何も知ることがこれから絶対できないんだと悲しみに打ちひしがれていました。
私はこの夜たまたま寺町にある三月書房さんのブログを見ていたのですが、そこの記事によれば蔵書整理のためにアスタルテ書房が二十三日から一時的に復活しているとのこと。


この機を逃すまい、と父を連れてバスへ乗りました。


13:30
四条西洞院
父「ちょっと寄っていこう。降りて」

父に連れられて謎の路地裏へ
たぶん松原通のあたりを歩く歩く
陽射しが強くてこの日はめちゃんこ日焼けしました。腕が真っ赤!

14:00
五条天神〜新玉津島神社

学生時代の課題で、松原通周辺の旧所名跡を友人とずーーっと歩いてレポートを書いたことがあります。講義はすべて終了して、夏休みに帰省する直前のころでそのときもめちゃんこ暑かったのを覚えています。何が言いたいかというとそのときは五条天神がゴール地点でした。今回は五条天神から烏丸方面へ逆行するように歩いたので、当時のことを懐かしく思い出したということです。
今回も前回もいろいろ見たんですが今ぱっと名前が思い出せるのはこの二ヵ所です。
なお前回見て一番印象深かったのは鉄輪の井戸でございます。今回は暑さに負けてそこまで行けませんでした。


14:30くらい
錦市場

なにをどう歩いたのかあまり覚えていないけどとりあえず日陰に入りたくて錦市場。あわよくばおいしいジュースが飲みたかったけど人が多くてさっと抜けるだけになってしまいました。
途中で父に「結婚の予定はあるんですか?」って急に聞かれて焦りました。

学生のころこのへんで髪を切っていました。内装だけ見るとすごくセレブリティなお店だったけど施術代はわりとリーズナブルなところで、店長さんがたいへん料理に「こる」人だった……ほんとにそんなことばかりよく覚えています。そこに行くといつもアパレル関係のドキュメントがモニターから流れていて、ちょっとした映画のようなお洒落さがあって観ているのが好きでした。(ここまで言うのにお店の名前は出さない)
よくボブにしてもらってました。たんに黒髪の乙女に憧れていたからでした。(マジです)



いまは髪を伸ばしているのですが、またざくっと切りたい気持ちもあります。
あと、祇園祭の帰りはよくこの通りを抜けて帰っていた気がします。一面ステンドグラスのような、ちょっと不思議な通りですよね。

14:45
三条御幸町……?

また迷子になってたんですがようやくアスタルテ書房のすぐ近くまで来ました。
しかし肝心のお店がどのビルに入っているのかまったく分からない。ぐるぐる行ったり来たりしてあっもしかして……

ふつうのアパートのような建物の、郵便受けのひとつに「アスタルテ書房」の文字を発見。
ここだーー

階段を登ると学生くらいの年頃と思われるおにーさんが数人、踊り場やドアの前で立っていました。たぶんこの人たちも同じ目的なのかな……それにしても何か様子がおかしいな、と思ってドアの前に立つと……

「都合により24日は休業」


あっ……
…………あああ。

「今日休業です」とだけ父に告げてすぐに階段を降りました。そうか。どこまでも縁がなかったんだ。最後まで。

悲しみのあまり半分拗ねる私。いや駄々こねたりはしないけど。
「ちょっと喫茶にでも入ろう」と父に連れられて西へ進むものの、喫茶の場所が分からなくなったらしく父、諦める。

暗澹たる思いで通を上がり、御池通に出る私たち。ほんとはね、アスタルテ〜三月書房という流れを計画していたんです。でも仕方ないよね……。
「すぐそこだから」と疲れた父を無理矢理つれ回して寺町を北上します。三月書房が開いていることを願って!


15:15
三月書房

私がここを好きな理由は御主人がいつも楽しそうに本を読んでいるから……わりと本当です。

ここにくるといつも梶井基次郎の『檸檬』を思い出してしまう。



初めて三月書房に連れてきてもらったときに買った本が『檸檬』だったということもあるけれど、主人公が檸檬を買った八百屋がこの界隈にあったそう。
あの店があるあのへんです、と教えてくれたのは三月書房の奥様でした。

丸善が復活したということで、今度京都に行ったときはきっと丸善にゆきます。檸檬をしのばせ……るかどうかはわからないけど。




二冊買いました。『針がとぶ』はもともと違うところで見かけて気になっていたもの。
すごく「月夜」の香りがする本です。どちらも。
読んでいて惹かれるフレーズが多くて嬉しい。


三月書房を出たあと、所用を終えた母と合流。

16:00
熊野神社

ここで突然電話がかかってきます。
その電話がきっかけでもうそろそろ香川に戻らなくてはならなくなったので、最後にお茶だけしていくことにしました。
ちなみにからふね屋です。
コーヒーゼリーたべたよ。

本当は(本当が多いけど)岡崎もぐるぐるしてルーヴル展を観る予定だったんですがそれはまた今度に持ち越しです。
もうすぐマグリット展も始まるから次に回してよかったのかも。

17:30
京都駅

色々あって、駅につくまでずっと母に励まされていました。主に作家活動の件で……いやあの、私そんな目標があるとは露ほども話したことないんですけど……。
そういえば京都にきた目的の一番小さなもので、親のところに預けっぱなしだったサークルの会誌を持って帰るというものがありました。持って帰ったよ。それから久々にじっくり読んだよ。

母は私が京都に来たくせに誰とも会わないで過ごすことを本気で心配していましたが別に私が決めたことだからそれでいいんだよ……


というわけでそんな紀行でした。
個人的には走馬灯に映るものを追いかけているような不思議な二日間でした。でも生きてる。