京都に行ってきたんだよの話を
します

去る六月二十三・二十四日の二日間で京都小旅行(キョートショートトリップ)に行ってきました。


気持ちが外に向いたから急に出掛けて、
今回は個人でのらりとしたかったから京都に住む知人たちには誰にも言いませんでした。

家族であれ他人であれ私がそういう奴だということはわかってくれるだろうなと思って、まったく幸せな奴だと思いながら電車に乗りました。

本当はどかんと東京に出掛けてサブカルめぐりをしたかったのですが、起きるのが遅かったため今回は見送りました。
でもこの二日間は関東で大雨が降っていたらしくかえってラッキーだったんでしょう。


6/23 15:00ぐらい
高松〜瀬戸大橋〜岡山〜京都

行きの電車ではこれを読みました。
カドカワ今年の夏の文庫の一冊!


青春18キップで旅に出るも全然旅が出来ない男の子の話が面白かった。「ささくれ紀行」ですね。ささくれてるモラトリアムの皆はぜひ読もう。


16:15くらい
京都〜東福寺

JRでそのまま東福寺まで乗っちゃうぞ
ボタン押すドアが最初よくわからなくてしかも閉めなかった気がする。
さっきの続きで今度は修学旅行で京都にきた先生とぼっち女子高生が岡崎のカフェでコーヒーを飲んで絵を見に行く話を読みました。これもよかった。
いまルーヴル展してるからそれを見に行きたいなあ。マグリットはまだだもんね。
この本はけっきょくこの二編しか読めてないのです。でも郵便少年は前に違う形態で読んでいるよ。

さて東福寺でおけいはんに乗り換えるぞ!
と意気込んでいたら外国人の女の子ふたりに声をかけられる。

女の子「私たち京都駅に行きたいんだけどここからいくらかかるかわかりますか?(英語)」

私「ここは京阪線の改札だから上の階にあがってJR線に乗り換えてください(日本語)」

ぜんぶ日本語で喋ったけどきっと彼女たちは京都駅に行けたよね。うん。



だいたい16:30
東福寺〜伏見稲荷(駅)

さて!伏見稲荷です。
なぜ伏見稲荷?

とりあえずもう電話の充電が切れかけているためここで今夜のお宿に連絡を入れることにします。

「もしもし」
「もしもしお暇ですか?」
「暇よ」
「あの、突然なんやけど今京都にきてて……」
「は?」

母です。

「どういうこと? いまどこ?」
「伏見稲荷」
「は? 何でまた? え、もう帰るとこってこと?」
「いや、今きたところ、で、今日泊まりたいんですけど……」
「うん、晩ごはんお好み焼きでいい?」

母、切り替えが早い。

くしくも今日は祖父の命日でした。
(祖父はむかし京都に出稼ぎに来ていた)


さて母もいうように何故伏見稲荷なのか。
でも今回京都に来たらとりあえず伏見稲荷には行こうと決めていました。
それは最近こちらの本を買ったからです。

森見登美彦『きつねのはなし』


読んだのはもうだいぶ前ですがつい最近文庫を購入しました。そして行きしの電車の中でちらりと再読していました。
はじめの話とシルクロード先輩の話がぼくは好き。
というかこれって吉田神社では……いやいや、伏見稲荷も出てくるよ。

そもそも伏見稲荷には随分と訪れていませんでした。懐かしくなったのもあって今回足を運んでみることに。したっ

修学旅行生や観光客でごった返していて、清水の参道みたいだなあーとのんきに思う。
厚い雲がどんどん近づいてきていてもうすぐ夕立がきそうです。傘持ってきていないのになあ、でも雰囲気はでるよなあ。とか。

17:00ぐらい
伏見稲荷神社

お賽銭をなげて、いざ千本鳥居へ。
溌剌とした海外からの観光客、レベッカ(仮名)の自撮りのなかに白いブラウスの私が写りこんでいる、はず。

千本鳥居すごく怖いイメージがあったけどそんなに怖くなかった。人が多かったからかも。一人だったらもっと足がすくんでしまうだろう。
ずーーーっと続いていく回廊のようなこの感じ、どこか他のところでも味わったぞ……と考えていてあてはまったのが、マリンライナーの客席から眺める瀬戸大橋の中。

瀬戸大橋の中、の意味が分からない人はマリンライナーに乗って昼間に瀬戸大橋を渡ってみてほしい。先頭の車両でね。

この先、山ですというところでだいぶ空模様が怪しくなっていたし時間も押していたため引き返す。おみくじをひくと大吉だったけれど旅立ちは「よくない」らしい。ありゃ。

近くに学校があるのか部活動らしき掛け声がずっと聞こえている。



17:30ごろ
伏見稲荷〜深草

道が不安でおけいはんに乗ったものの乗る必要なかったよね……(距離)

なんで深草に南下してんの?という感じでしょうが私には第二の目的地があった!
それは、龍谷大学深草キャンパス

……の前にある喫茶店です。

高校三年生の夏に龍大のオープンキャンパスに行った(遅い)のが私の学生生活のはじまりでした。けっきょく龍大には行けなかったけど、当時は土地勘もないし深草がどんなところかもわからないしでも大学でかいし……とかごちゃごちゃ思うその前に、大学前にある喫茶店でモーニングを食べながら時間をつぶしていたのです。当時そこでジャンプを読んだら銀魂がちょうど六角篇をスタートさせたところでした。そんなことはよく覚えています。

記憶の中の景色をたよりに道を進んで、たぶんこっちたぶんあっち……で、たぶんこれなお店に到着。
看板には『マーチブラウン』の文字。

中をのぞいて、ここでした。
勢いで入店したものの……

(私、喫茶店でコーヒーを注文したことが数えるほどしかない……)

こんな歳になって何を言っとんだねキミはみたいな内容ですが私は真剣です。
どきどきしながらカウンターに座って、とりあえずブレンドを頼みます。ブレンドがホットコーヒーを指すことすらここ最近で知ったくらいです。

出されたコーヒーをおそるおそる飲む……(熱いコーヒーを飲むと胃が痛くなる)

………おいしい。

美味しい!
飲める、飲めるぞ!(このもとネタなんだっけ……)

というかこの日何も食べてなくて空きっ腹にようやくコーヒー、という危険な一杯でしたが、ほんとに飲みやすかったです。おいしかった。

喫茶店には相変わらずジャンプが置いてあって、それとなぜか『剣道時代』が並んでいる。さりげなく龍谷大学発行の文芸誌も。
剣道時代読んだらちょうど京都の武徳殿という道場であった「京都大会」の特集でした。全国から先生方が集って演舞や試合をする大会です。一流じゃないと出られない。
なぜそこに詳しいかというと学生時代に見に行ったからです。
でもあそこ、駐車場が有料になって大きなゲートができてしまったから景観が変わっちゃってるんだろうな……

喫茶店の後ろでは学生らしきひとが学生っぽい話をしていました。
ここでモーニングを食べた夏から……年かあ。と感慨にふけりつつお勘定。さよなら焦茶色の三月。

せっかくなので深草キャンパスの中もこそっと通り抜けました。
学生と近いのに、とても遠い。
気分は『冬のオペラ』という感じです。
あれは立命館だけども。


学生のあいだにもっと出来たことがあったかもしれないし、でもあれで精一杯だとも思うし、しかしすべての可能性は今の私がつくる幻想にすぎないのです。ああっこの言い方いやだ。

さあ時間がないぞ!


18:00から19:00あたり
深草〜出町柳〜一乗寺

おけいはんで北へ走れ!
そして叡電だ!
叡電のローカルさ好きです。
乗り降りやや戸惑うけど。


関係ないようなあるような……

なぜ一乗寺に来たのか。
これはわかる人もいるのでは。

恵文社一乗寺店にゆきたかったからです。

この本は面白かったですよ。お店持ちたくなる。


京都に来た目的はいくつかあって、本屋めぐりがしたいというのもそのひとつでした。とはいっても私の知りうる範囲内のため狭いエリアで、ですが。
ほんとはガケ書房も立ち寄りたかったけど時間がないので今回はパスで!

恵文社一乗寺店は大学三回生のときにサークルで訪れたのが最後ですからかれこれ……年ぶり!

しかしここで!予期していたトラブルが私を襲う!

〜迷子〜

(駅から見えるところにあると思い込んでいた)


実際は直線で五分くらいの場所にあるんですが方向感覚を超然と無視した結果四十分ほど周辺をさ迷いました。(携帯は電池切れ)

迷子になったおかげで荻書房に寄ることができたからいんじゃないかな。
荻書房、ミステリ系のいい本が揃っていたけど私が手に取るのはおそれ多くて眺めて終わりました。でもけっこう好きだあそこ。

19:40
恵文社一乗寺店

着いたものの雑貨屋のほうの入り口から入って、(しかも恵文社と気づかないで)急に本がわーっと並んでいて焦りました。
アアーーーほむらさんの初期歌集があるよーー欲しいーーー(買わなかった)

買ったものは
・ポン菓子(プレーン)
・ポン菓子(伊予柑)
・図書カード風ポストカード
・貝のスプーン

あと小川未明の童話の一文をプリントしている鉛筆がとても欲しかったけどそれは買わなかったんだ
……本は?

買いました。なにとなく決めました。
長田弘『私の好きな孤独』

なかなか好きな感じなので、また読みきったら詳細書きます。ちなみに文中のにゃんこ率たかい。長田さんの本を読むのはおそらく初めて。

20:15
一乗寺〜祇園四条

電車に乗ると、よく色んな妄想をして、たとえばここにいる誰も知らない人ばかりだけどこの電車に乗り合わせたことを契機に同じ経験をしたことで繋がりが生まれたとしたら、とか考えます。わかりにくいですかね。
電車を降りたらさようならだけど、乗り合わせたそのときだけ特別になっているというか。

でももちろん誰と知り合うわけもなく降りました。
ああ鴨川のこの空気なつかしい。


そして私は夜の河原町に消えていった……




二日めにつづく!