スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

早希


今日は本屋さんに行ってもほしい本がありませんでした。
人間の心のなかには必ず欠けたところがあって、それを埋めるものが物語だよって教えてくれたのは大学の先生です。
でも本棚を何度まわっても、今日はいっこうにほしいと思う本が見つからない。
めくってもめくっても、どの本も物足りない。
くやしくて別の本屋さんに行ってもだめ。

いつもと違うことは、心のなかの埋めたい部分がなんなのか、今回はわかっているんです。
願いが具体的になればなるほど、本で心を満たすのって難しくなるんだなって思いました。だって何を読んでも結局、欠けているところのかたちはハッキリしていて、本そのものがそこにはまるわけがないから。
本のなかに近い答えがあってもそれでは安心できない。でも本が見つからないとこれまた安心できない。

今日は雨でした。朝から頭もおなかも痛かった。
土曜日に、完璧にシミュレートしていたはずの飾りつけはまったくよい感じにならなくて、まとまりのないちぐはぐなものができてしまった。
職場での会話もあんまり心が通わない。
気の重い仕事を終えたごほうびに行こうと思っていたお店は臨時休業。そして本屋に行ったところで本も見つからない。

こういう日なんだね。
明日からだんだん噛み合ってくるよ。

そういえばシャンプーをさくらの香りのものに変えました。好きなのに春しか手に入れられない(当たり前だけど)。
あるところでは「早春」「希望」と並べられた文字を見ました。

もうすぐ春ですね。


さて、この日記もやっと三百頁目になりました。
こんなにも時間がかかってしまった。



〈うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。〉
(川上未映子「アイスクリーム熱」より)

川上未映子『愛の夢とか』

短編集。
最初に収められている「アイスクリーム熱」は、アイスクリーム屋さんで働く女の子と、アイスクリームを買いにくる男の人のお話。
これは〈埋めようとして埋められなかった〉物語かなと私は感じました。
短いけど、ひとつの気持ちがだめになる瞬間がわかる。読んでいて、この子たちの気持ちはきっとだめになる。っていうのを進行形で感じることができる、すぐれた短編だと思います。
どこへも行けないお話の「日曜日はどこへ」も好きです。思い描いて願うほど、何も叶わなくなるよね。


スケートの本田真凜ちゃんが、負けたあとのインタビューで
「自分が描いていたスケート人生とは今日から変わっていく」
と泣いていましたが、いいコメントするなあと思いました。
昨日は大会がありました。
負けたから、自分の描いていた競技人生とはこれからどんどんかけ離れていくんだろうなあ。
こうなりたい、っていう姿があって、そこにたどり着けない自分であることを知るのはこわいことですね。予感として知ってはいても、実感するとすぱっと痛い。


〈単純にいかない未来がときめきの住処〉
ねごと『シンクロマニカ』

じつはシングル版よりも、Mizuki Masuda Remix版のほうが好きです。
サビの〈君は彼方〉をずっと〈君は変わった〉だと勘違いしてました。君は変わったって、なんてせつない歌なのかと。

前の記事へ 次の記事へ