〈菫の病鬱の匂ひがする〉
萩原朔太郎「顔」
(新潮文庫『萩原朔太郎詩集』より)
いま髪の毛がショートなのですがふと鏡に映ってきちんとショートになっているのを見ると、疲れていてもまあがんばるか、と思うことができます。ありがとう美容師さん。
先日、お仕事の電話がかかってきて、なんと相手は偶然にも後輩さんでした。今は本を作る仕事をしているようです。すごいなあと思います。
そして『寿命図鑑』という本を買いました。
買ってから知ったのですがなんと、また別の後輩さんが製作に携わっていました。なんてこった……すごいね!?
寿命図鑑は、その名の通りこの世の万物の寿命に焦点をあてた図鑑です。名前と寿命と、どうしてその寿命なのか、と一言コピーが記載されています。天使が持ってそうですね。
生き物だけではなく鉛筆とか、学校(校舎)とか本当に色々載っています。命は色々なところに宿るのだ。
命ないものに命をみるのが好きなので楽しかったです。
寿命図鑑よろしく、イラストには必ず天使の輪が付けられています。そしていくつかの死んでしまうものたちのなかには涙を落としている子もいます。楽しくて儚くてメランコリーな一冊です。
あとがきは神様から一言。素敵です。
天国でまた逢いましょうというスタンスが好きです。
これを買ったことを知った私の知人から一言、
死ぬの?と尋ねられてやんわり止められました。まあ冗談なのでしょうが死なないよ。
この前友人とご飯を食べていたときに、
「ふいに死にそうだけど死なないでね」というようなことをオブラートに言われたのを思い出しました。わりと付き合いの長い子から言われたのでドキドキしました。
死ぬ前に飛び降りような、とは別の人から言われました。(つまり死ぬなよってことだと思う)
……おそらく私の性格から言うと自分では死なないはずなので大丈夫です、大丈夫です。
そうだこれも買いました。
宇多田ヒカル「Fantom」
感想はまだ自分のなかで組みあがっていませんが、こう言うのも失礼なような不思議なような気がしますが、聴きながら、生きてほしいなあと思うアルバムでした。
レクイエムを歌っていると思うんだけど、歌っている本人がとても死に近いところに立っている感じ。死なないってわかっているけど、ふいに飛び越えてしまいそうな感じ。
こちら側にいてほしいなあと思います。もう二、三歩でいいから帰ってきてほしい。
〈じつさいのところを言へば、/わたくしは健康すぎるぐらゐなものです、/それだのに、なんだつて君は、そこで私をみつめてゐる。/なんだつてそんなに薄気味わるく笑つてゐる。〉
萩原朔太郎『月に吠える』
「内部に居る人が畸形な病人に見える理由」
(新潮文庫『萩原朔太郎詩集』より)
これはこの記事に合わせたわけではべつになく、
文庫本には裏表紙に紹介があるじゃないですか。この本がたまたま部屋で裏を向いて置かれていて、そこに
〈青春の悩ましさが病的なエロティシズムをともなって沈潜する……〉
(紹介文より)
とあって、え……そんな本持ってたっけ私……そんな……と思って裏返したら萩原朔太郎でした。萩原朔太郎がセクシーなのはわりと公的な認識だったのかとも思いました。
おそらく『青猫』だったはずですが、学生時代、夜道で二宮金次郎みたくなりながら読んで帰ったことがあります。危ないね!
じっさいのところ私も健康すぎるぐらいなのですが……
〈私はひとつの憂ひを知る/生涯(らいふ)の薄暗い隅を通つて/ふたたび永遠にかへつて来ない。〉
(同「顔」より)
そう、私も本をつくる人になってみたかったと思ったの、と言いたかったの。忘れてたけど。忘れるくらいの気持ちだけど。