〈ものすごいことのようにも思えるし、なんてことないことのようにも思えた。奇跡のようにも思えるし、あたりまえにも思えた。〉
よしもとばなな/キッチン
夢は見ていなかったように思う。
私は自分の声を聞いた。自覚はその時までなかったのだが、うなされながら私は必死に現実へ意識を戻そうとしているらしかった。
枕元でもうひとつ別の音が鳴った。痺れた左手を伸ばすと、携帯電話への通知を知らせるランプが瞬いている。トーク機能のあるアプリケーションに、友人がメッセージを送ってきたことを知らせる光だった。
画面に映された送信時刻は午前四時。それがたった一分前であることに気づき、私はようやく今の時刻を知る。単純に引き算をすると三時間ほどしか寝ていないが、それにしてはやたらとすっきりした気分だった。
まだ暗い未明の空を確認してから、私は送られてきた文面を確認した。寝ぼけた頭で反応を返すと、複数人でやりとりしているそのトーク画面に、あるだけの「既読」の数字がついた。
つまりこの画面を見ることのできる全員が今この時間に、起きているということになる。まだ夜も明けていない眠りの時刻に、こぞって同じ画面を見つめているらしい。
ずっと起きていたという子もいたが、少し前に目を覚ました子も今しがた起きたであろう子もいた。生活習慣も環境もばらばらなのに、よく似た時間に偶然みんなが揃って目を覚ましたのだ。
強引な偶然かもしれないが、私にとっては不思議な、同時に嬉しい出来事だった。
あらたまって書くの疲れました。
ようは偶発的に、誰かと同じタイミングで目を覚ますのってよしもとばななの『キッチン』みたいでちょっと良くない? ということが言いたかった。
〈なんにせよ、言葉にしようすると消えてしまう淡い感動を私は胸にしまう。〉(同)
しまう。たまにはこんな朝もあるのだ。
今日は
・クリスマスカードを作った。
……あまりに可愛くできたので作りながら私って天才では……と思った。
・「私だって我慢できないときがあったんですよ」という美少女の熱弁を聞いた。
……でもそこで負けるのはいやだったから頑張ったということを聞いて、天は二物を与えるねえとしみじみ思う夜だった。そういうことはお酒を飲んで話さない? と誘うと軽くかわされたのでちょっと傷心ものだった。
直面する苦しみが、他人の手によるものならばそこから逃げることは負けではないという教育を私は受けてきたので、私ならたぶんそこまで頑張れないのかもなあと考えたりした。
でも外的要因であっても、結果としては未来の自分に影響してくる課題というか、自分自身の課題となり得ること、つまり自分がこれから前に進むための問題だとも言えて、そう考えると美少女の言っていたことも分かるような気がしました。作文。
けれど三つ子の魂百まで、三つ子のときにもう手遅れなのにそれより年を重ねた者はかんたんにギャフンなんか言わない。
手の施しようがないものに挑み続けることや、苦しさを勝敗に置き換えて考えることは必ずしも正しくはないと思う。
話が重なるけど、勝ち負けではなく自分のなかである目標を決めてそこを乗り越えるまでがんばってみる、そういう視点ならいいのでは。
でも美少女が頑張ってくれて、その強さがあるからこそ助けられてる人が私含めてたくさんいるなと思うと強い人がいてくれるから世界はまわっているんだね。
・クリスマスはディズニーの古い映画をテレビで延々たれながしながら、クラッカーなどをつまみだらだらと過ごし、夕方から緑と赤のテーブルクロスをゆっくり引き初めてのんびりパーティーの準備をする、ゲストの席にそっとカードを置いておく。プレゼントは部屋のどこかに隠しておく。
そんな一日の過ごし方がいいと思った。
……年末年始に九連休があるらしいのですがそんなのはパラレルワールドです。
今日作ったカードは仕事でつかうものです。理想はいつも遠きにあり。
今日は題名を長くしようかなと思って…思った結果、きもちわるいですねこれ。かなりきそう。あとから。