偖、祖父母の家にはコンコンさんの他にも戸に悪戯をする奴が居る。
これには特に呼び名は無いが、立てる音からバタバタさんとでもしておこうか。
建て替えでコンコン出来る戸が無くなりコンコンさんは祖父母の家から遠ざかってしまったが、代わりに戸をバタバタと開け閉めする何かが現れた。
これは大体夜の七時過ぎ頃に現れ、夜中まで気まぐれに戸を開け閉めする。勿論、鍵が掛かっていようがドアチェーンを付けていようがお構い無しに。
此処で祖父母の家のドアの造りを説明するが、ちょっと変わった造り(今では珍しくも無いかも知れない)になっており、ドアを手前に引く取っ手の上にレバーがある。そのレバーを親指で押しながら取っ手を手前に引いて開け閉めするのだが、それを音にすると『カチャッ』『キィィィイ』『バターン』となる。
そんな音がきっちり施錠しているドアから聞こえてくるのだ。
最初に気付いた時は誰かの悪戯かと思ったが、音が聞こえてすぐに外を見ても誰も居ない。
インターホンのカメラを起動して外を見張っていても、音はするが音を出す誰かがカメラの前に現れる事も無い。
挙句、玄関で見張っていると絶対に音は聞こえず、ちょっと目を離した隙に開閉する音がする。
そんな訳で未だに開け閉めする犯人は分からないままなのだが、当時祖父母の家の周辺は墓地だったので其処の元住人か、或いは裏の山に棲む何かがドアの構造の珍しさに悪戯しに来ているんじゃないかと勝手に思っている。
2012-6-26 18:43