話題:今日見た夢




電車に乗っていたら、居眠りでもしていたのか降りたかった駅を思い切り通り過ぎていたのに気付いた。
下りに乗り換えなければと慌てて電車を降りると、其処は聞いた事も無い駅だった。
読みは忘れたが『10月9日』っという名前で、周りに居た人の中には変わった服を着ている人がちらほら居た。

駅のホームから外の様子が見えるのだが、どうやら変わった服の人達は駅のすぐ側にある妙に古めかしい造りの学校の生徒らしい。
他に見える駅の外の様子はやたらに生えている樹木と、ごちゃごちゃした古い建物の並び。
それと日が暮れ掛けた薄暗い空をバックにして、遠くにシルエットになった山と、行きたかった街の光が見えた。

その景色の遠さに大分、乗り過ごしたんだなと思いながら下り電車を待った。
だが、いつまで経っても電車が来ない。
上りの電車は何本も来ているのにも関わらずだ。
何だか変だなと思いつつ、ホームの電光掲示板を見たが

『縺ゅ>縺?∴?撰シ』

文字化けしていて読めなかった。

この時点で気持ち悪くなり、取り敢えず駅員に聞いてみようと窓口に行った。
事情を話すと駅員が困った顔をして『あの街まで行く下り電車はない』と答えた。
それじゃあ、どうやったら行けるかと訊ねると、この町にはタクシーは来ないのでタクシーが来る所まで歩いて行くか、或いは近くまで家族に迎えに来てもらうしかないと云う。

だが親に電話を掛けたものの繋がらない。
親は電話に出たようだが、幾ら呼び掛けても聞こえないらしく暫く呼び掛けの応酬をしてたが、結局切られた。
それは誰に掛けても一緒だったし、メールも意味のある言葉が互いに一方通行になるらしく無駄だった。
仕方無いので歩いて行く事にした。

駅を出ると、駅舎が小高い位置にあるらしく下に続く細い道が見えた。
タクシーが来ないというのも納得だ。
周りはやたら自然が多く、すっかり日が暮れて辺りは暗い。木々の隙間から外灯やら周りの建物から見える光やらが点々と見えた。
駅員が好意でくれたライトを携えて、教えてもらった道を遠くに見える街の光を目指して歩いた。

駅前の細い道を抜けると三、四階建てくらいの古いビルが密集している通りに出た。
教えられたビルを見付けると、言われた通り中に入る。
この町はこういった小さなビルが繋がって建っているらしく、Aビル→Bビル。Bビル→Cビルのように抜けないと、町を抜けられないらしい。

最初に入ったビルはTシャツの店だった。
変わった模様のシャツを眺めながら、次のビルに入る。
次に入ったのは1フロアが六畳程の狭いビルで、畳が敷かれた薄暗い室内に何故か布団が一組だけ敷いてあった。
そんな感じで、何棟かのビルを抜けると山道のような場所に出た。

遠くには街の光が見え、駅員が言うには距離はあるが道なりに行けば辿り着くそうだ。
これは一晩中歩かないといけないだろう…覚悟を決めて先へ進む。
道は車が一台通れるくらいの幅で、一応、コンクリートで舗装されていたが劣化していてボロボロ。
月明かり以外に辺りを照らす光は無く、貰ったライトが無いとろくに進めそうにない。
音は自分の足音と呼吸音しかなく、時々脇の木々の奥から聞こえてくる物音に不安を感じた。

ダラダラと続く緩やかな傾斜を暫く歩いていき、ふと空を見上げると朝が近いのかいつの間にか白んでいた。
遠くに見えていた街の光は大分近くなっている。
だが、目の前に続く道を見るに、まだまだ先はありそうだ。
全身から力が抜ける。

早く帰りたいな…そんな事を思いながら、その場に崩れ落ちた。









結局、行きたかった場所に辿り着けないまま目が覚めた。
焦燥感と不安が半端無い夢だったし、妙にリアルで本当に聞いた事もない知らない町に来たんじゃないかと酷く焦った。
あんまり良い夢じゃないな。