お待ちかねの英子さん登場!
そして先に謝っておきます。
申し訳けございません…。
◆◇◆
「っ!!!!」
俺はテツを抱き上げて全力で走った。そりゃもう走った。死ぬ気で走った。
だが…
「青峰くん、大変です。僕を抱えてるにしろ、全力で走る青峰くんに着いてきています。むしろ少しづつ距離を縮めています」
「マジかよ…」
「…青峰くん。下ろしてください」
「はあ?んなことしたらアイツに追いつかれちまうだろうが!」
「さすがの青峰くんも部活後でさらに僕を抱えて走るには限界があります。元々は僕が蒔いた種です。ここは責任を持ってどうにかしますので青峰くんは先に行ってください」
「…テツ。俺をなめんなよ!お前抱えててもフルマラソンぐらいヨユーだっつーの!むしろ1位とってやんよ!!」
「お気持ちは嬉しいです。でも下ろしてください」
「無理」
「意地張らなくていいんです」
「はってねー」
「疲れてるでしょうに」
「疲れてなんかねー。むしろこっからだ!!」
「青峰くん!!」
「ごちゃごちゃうっせーぞテツ。もうしゃべんな」
「………分かりました。今回は僕の負けです」
「分かりゃーいいんだよ。分かりゃー」
テツとの根競べで勝った!と思った時に気がゆるんだのか足がもつれてしまった。
「「あっ!」」
どちらともなく間抜けな声が出て転んでしまった。
つかさずテツが体勢を整えて俺の腕を引っ張り立ち上がらそうとするが…あいつがすぐそばまで迫ってきているのを肌で感じた。
けれど分かっていても俺の足は動かない。いや、動けない。
そんな俺に気づいたのかテツは俺の腕を放し、あいつと俺の間に立ちふさがった。
そして、あいつがテツに触れ………ようとしたその時だった。ふっとんだ。
何が?ってあいつだよあいつ!!血まみれヤロウだよ!!
「「えぇぇぇえええ!?」」
ぶっとんでったあいつの代わりに青い金属バットを片手に持った姉貴がいた。
「ちょっと大輝!いつまでほっつき歩いてんのよ!!今何時だと思ってんのよ!!」
「あ、姉貴ぃぃぃいい!?なんでここにいんだよっ!?」
「なんでって、母さんがあんた帰ってきたら晩御飯にするって言うもんだから待ってたのに…なのにあんたは待てど暮らせど帰ってこない!だから早くご飯にありつく為に迎えにきてやったのよ!!」
「えー…っと、その初めまして。青峰くんと同じバスケ部に所属しています、黒子テツヤといいます」
「あっ、どうも初めまして。大輝の姉の英子と言います。ごめんねーこんな遅くまで大輝が引っ張り回しちゃって」
「なにのんきに自己紹介してんだよ!!てか、これ俺のせいじゃねーし!!テツのせいだし!!」
「ちょっと大輝、友達のせいにしてんじゃないわよ。男らしくないわ「あ、姉貴!ううううしろ!!」
いつのまに近づいたのか姉貴の後ろにはさっきの血まみれヤロウが迫っていた。
だが姉貴は「ふんっ!」という掛け声とともに金属バットで血まみれヤロウを殴りつけた…。
そしてそのままバットを振りかぶり何度も何度も殴り続ける…。
ふとバットに何か書かれているにの気づく。
『政宗さんLOVE(ハートマーク)』
なんのこっちゃ…。
それにしてもエグい…エグすぎる…。今日は肉料理食いたくねーな…。
「ところで原因のぬいぐるみは?」
「なんでそのこと知ってんだよ!?」
ちなみに姉貴は殴り続けながらしゃべっている。
「私の親友という名のバカ女が黒子くんが立てたスレを見てたみたいで連絡が来たのよ。で、その時にだいたいの状況を聞いたのよ」
「そうでしたか」
「そうでしたかじゃねーし!!友達に言われてむかえにこれるもんじゃねーだろここって!!」
「ふっ、愚問ね。妖バット『政宗』に切れない物なんてないのよ!空間ぐらいぶった斬ってやったわ!!さすが政宗さんよね!!」
「意味分かんねーよ!!」
「そんなことはさておき、ぬいぐるみはどこって聞いてんのよ!!」
「ぬいぐるみは青峰くんが全力でどこかに投げてしまいました」
「なにやってんのよ大輝!」
「ええ!!俺が悪いのかよ!!」
「いいからさっさとぬいぐるみ回収してきなさい!!」
「はい。分かりました。行きますよ青峰くん」
テツに腕を引っ張られながら、さっきからなんか俺、理不尽な目にあってね?と思いつつ今来た道を引き返すとほどなくぬいぐるみを見つけることができた。
ぬいぐるみを拾って姉貴のいる所に戻る。
「あった?」
「ありました」
「じゃあ、これをぬいぐるみにぶっかけて燃やしちゃって」
姉貴は殴るのを止めることなくポケットからライターオイルとライターを取り出して俺達の足元に放り投げた。
テツはそれを拾ってぬいぐるみにこれでもかと言うほどオイルをぶっかけてライターで火をつけた。
ぬいぐるみが燃え出すと、それに連動して血まみれヤロウも燃え出した。
そしてぬいぐるみと共に血まみれヤロウは燃え消えていった。
「上手に焼けました(ドヤァ)」
「おいテツやめろ。マジやめろ」
「さぁ、上手に焼けたことだし帰るわよ」
「姉貴もやめろ。マジやめろ」
気づくと俺達はいつものコンビにの前に立っていた。
終