姉さん事件です。
って私に姉さんはいませんけどね(笑)
って笑ってる場合じゃないから!!
現在、屋上にてお嬢さん四人による所謂「お呼び出し」中なのです!!
帰ろうしたらね、下駄箱にね、なんかメモ用紙が入ってたんですよ。
可愛らしい字体で「放課後屋上に来てください。」ってね。
ちょ、これ、もしかして秘密の花園的な感じな!?
えっ、なにこれ、甘っ酸っぱい女の子同士のアレ的な!?
………ムフ。
と思ってスキップしながら屋上に行ってみたら……うん。
人生ってそんなに甘くないよね…。
…うん。知ってた!めっちゃ知ってた!!
「跡部様に付きまとわないで!」
「あなたと跡部様じゃ釣り合わないのよ!!」
「跡部様お優しいから口に出せないお方なの!察しなさいよ!!」
あー…うん。
跡部さん家の坊ちゃん絡みで私はお呼び出しくらったわけね……モテル男は辛いねー…なーんて思うかバカヤロウ!!
後で八つ当たりしてやる!!
大人気ない?
知ったことか!
「ちょっと聞いてるのあなた!!」
「あー…うん。聞いてるよ」
右から左に聞き流してるけどね。
つーかさ…
これ、どうやって収拾つけたらいいんですか!?
ねえ、ほんとマジで!!
「何をやっているのかしら?」
とテンパっていたらまた新たに女の子が現れちゃったよ!!
これ、本気で私はどうしたらいいんですか!?
「え…嘘…」
「か、会長…」
「会長がなんでここに…」
私をお呼び出しした女の子達が目に見えてうろたえ始める。
え、ちょっ、貴女はいったい何者ですか!?
会長って…生徒「会長」ではないよね…だって生徒会長は跡部だし…。
「あなた達はいったいここで何をやっているのかしら?」
キツメな口調で女の子達に問いかける美少女。
「あの…」
「それは…」
「答えられないということは言えないことをやっていたととるわよ」
黙り込む女の子達。
「あなた達はファンクラブの規則を破りました。よって今をもってファンクラブから除名させてもらいます」
凛とした態度でそう女の子達に告げた。
うん。タイプです。
なぜ、私は男に産まれなかったんだ!
男だったら絶対口説いてたね!
「そんな!」
「なんで!」
「それはあなた達が一番分かっていることでしょう」
また女の子達は黙りこみ、美少女に言い返すこともなくパタパタと屋上を後にした。
え?終わり?
もうお呼び出しは終わりってこと?
……よし!ここはもう終わりってことで!
「ごめんなさいね」
うお!美少女にしゃべりかけられたよ!
「え?なんで君が謝るの?」
「あの子達は跡部様ファンクラブの会員なの。だからファンクラブの会長である私があの子達の代わりに謝罪するのが筋でしょ?」
ああ、なるほど!
ファンクラブの「会長」ね。
しかし、あの坊ちゃんめ!
こんな美少女がファンクラブの会長だなんて、なんて羨ましい!!
やっぱ後で八つ当たりだな。
「そうかなー?それとこれとは別だと思うけど」
「いいえ。会長をやらせてもらってる以上、それに伴う責任はとるわ」
気持ちのいい子だねー。
好きだな、こういう子。
そんな子がなんで跡部のファンクラブなんて入ってんの!
しかも会長って!!
「それが条件だからな」
「跡部様!」
何様俺様跡部様のご登場です。
「おい、英子。お前失礼なこと考えてんじゃねーよ!」
「わお!跡部ってばエスパー?」
「はん!お前が考えてることぐらい分からない俺様じゃねーよ」
「まあ、跡部がエスパーだろうがなかろうがどーでもいいけど。つーかさ、ヒーローは遅れてやってくるのがセオリーだとしてもちょっとばかし遅すぎないか?」
「俺様がヒーローならお前はヒロインか?ありえねーな」
「確かに」
私達のやり取りに美少女がクスクスと笑った。
「さっきの凛とした態度も素敵だけど、笑ってる方がもっと素敵だよ」
「えっ!あのっ、その…」
「そこの変態!何口説いてやがる!!」
「変態?褒め言葉だな!」
私達のやり取りにまた美少女がクスクスと笑った。
その後、美少女とアドレス交換することに成功した。
ヤッホイ!
その際に跡部が「悪いことは言わない。やめとけ。妊娠するぞ」と言って邪魔しようとしたので「させたくてもさせるモノがねーよ、バーカ」と言い返したら殴られたのは余談だ。