習い事に行くと昔お世話になっていた県の偉い人(またの名を友達のお父さん)が来ていて、つまり六年ぶりくらいに再会した。

握手しよう、と手を差しのべられてどぎまぎしながら手を握った。
久しぶりに「握手」なんてものをきちんとした。
帰るときひっそりと、「会えて良かった。またね」と声をかけてくれた。またね、っていうところに小さな希望があったように思う。

この日は特別事業も兼ねていていつもよりたくさん人がいて、終わった後におぜんざいまで振る舞われた。

この日は同級生の子も来ていて嬉しくなった私は、その子に随分つっかかって先生に呆れられてしまった。
生意気な口もたくさんきいて、普段の五倍くらいは子どもっぽかったと思う。
同い年の子がいるとこうなってしまうのか。

その子がたくさん話していたから
「今日はよく喋るね」って思うままに言ったら苦笑されて、その後に全く同じ言葉を返された。私こそよく喋っていると言うのだ。いつもはいないその子がいるから。
思わずしばいて笑い飛ばすけど言葉では上手く返せない。
まぁそれも一理あるんだろうなあと息を吐いた。

同級生の子が今後もここで練習したいなと言うけど、私は無理して来なくてもいいよと答えた。
その子は春から県外に就職することが決まっている。新しい生活に向けてがんばってね、と続けて答えれば、そっか……とだけその子は言っていた。

帰り際、車に乗ろうとした私にその子が手を振っているのが見えた。
嬉しくて思いきり振り返して帰ったけど、後から考えるたびに寂しくなってしまう。

もうこれで長い間あなたに会えなくなる。
永遠の別れではないけどまたお互いに遠くなってしまうのならもっとたくさん喋ってもよかった。


どうしてあのとき無理して来なくてもいいと答えてしまったのだろう。
何度やり直してもきっとそれしか言わないだろうとは思うんだけど。



〈もうきっとあなたとしばらく会えないのに〉

っていう歌詞があるSeptemberという歌が好きです
ささやかな終わりの予感みたいな雰囲気がこのアルバムの中には詰まっている。