〈夏ゆけばいつさい棄てよ忘れよといきなり花になる曼珠沙華〉
(今野寿美)

『短歌タイムカプセル』


ばっと開いたらこの歌があった。
これだよ。この気持ちなの。
曼珠沙華の花言葉は〈また会う日を楽しみに〉らしいですよ。毒があるからね。

〈いつまで生きる 曼珠沙華が咲きだした〉
〈なかなか死ねない 彼岸花さく〉
(種田山頭火)


雨の降る中を走って、追い抜かれた。遅いよと言われながら。他のみんなも走っているがそれを追い抜く気力が私にはない。
途中から帰りたかった。
あと、本当のあなたがわからない。本当のあなたはたくさんいそうだと言われた。本当の私も偽物の私もなくてただつまらない人間がいるだけだと思う。私は自分のことが好きではない。
大きな声で話している人もお酒に身を任せて自制が効かなくなっている人も、他人を評価することでコミュニケーションを取ろうとしている人もみんなつまらない。そんなことを思って黙ってしまう私が最もつまらない。
「"お酒を飲んでも変わらない"をどう言い換えるかわかりますか?」
「わかりません」
「それは"お酒に強い"わけではなく、"飲みが足りない"と言う」

大学生でもないのに。







湯川秀樹『詩と科学』

自分のなかにいる自分がよいものかわるいものかどんなものかはわからないものだ、

執着はそれを捨てられないで抱えていることが、自分をつくる原動力になっていることもある。

というようなことを書いていて(原文ママではないですよ)なるほどなあと思った。京極夏彦の作品のなかで、人間関係は鞄のようなもので重くても古くても捨てるのをためらうと書いていたのを思い出した。



〈けっきょくのところ君はさ/どうしたいの?/まじで僕に愛される気あんの?〉

あいみょん
『愛を伝えたいだとか』


つまらないと思っていたところに流れてきた歌。