夜の新幹線に乗って京都に行く。
海にも座席にも感じることはなくて、地下鉄のホームでわずかに思い出がよみがえる。この電車で同志社に遊びに行っていたなあとか(同志社の学生ではありません)あの横顔があの人に似ているとか、四条駅の階段をのぼるとき、そこから阪急に乗り換えるためにまた階段を降りるとき、わずかに緊張するくせがとれないとか。昔、四条でバイトしていたときからずっと。
よく行くヴィレバンは閉店していた。京都の夜はやっぱり香川よりずっと明るいし、寝間着でもあか抜けた人が多い。

次の日は三宮で友達と待ち合わせをする。とても怖かった。会うのは一年ぶりで、どう話せばいいのかつかめない。うしろから見つかって、皆でバスに乗り、ご飯を食べた。外見は変わっても、たがいの距離感は学生のときから何も変わっていない。

そんなふうに、手放した(ような気になっていた)ものたちがまた手元に戻ってくる、そんな週明け。
ずっと顔を見せない女の子が髪を切って目の前にあらわれたり、会いたかった少年が会いたいと思った数分後にやってきたり。しばらく聴けなかった音楽を再生したり、連絡のない人から連絡がきたり。
欲しがるときには何も訪れず、視線をはずすと戻ってくる。
タイムトラベルをしていたのに気づけば東京きみの手のなかという歌詞の曲があるけれどそんな感じ。
戻ってくるものたちが、離れきれないものたちが心苦しい。私はいつまでも子どものままだ。いいかげんに大きくなりたい。
「いつのまに戻ってきたんですか?」とすれ違った人に尋ねられる。そうだ、職場に「旅に出ます」と貼り紙をしていたんだ。
戻ってきたのは、離れていたのは彼らではなく私なのかもしれない。

そういえば最近また短歌をつくっている。庭先で花火をする子どもたちを見た日から。過去の歌を読むと、そのときした会話まで思い出せる。言葉ってすごい。

Base Ball Bear
『抱きしめたい』




ぜんぜん脈絡はないのだけど
最近見かけた言葉を書いていきます

〈やわらかいロボット〉
……これは近代のオープンキャンパスのちらしにあった、体験授業の講座名です。
星新一っぽい。

〈終わらないノスタルジー〉
……これはJRのポスターにあった。正しくは、終わらないノスタルジー山陰。

〈待っててくれたの?〉
……あなたが言うから許されるけど、あなたもそれを知ってるんだろうなあと私は思いました。すごい自信だ。


〈崩壊する(何が)/(自分が)崩壊する/何もかも(そんな)〉
〈一体(何を)/考えるな(考えろ)/崩れる(死ね)〉

(『陽炎日記』より)

木尾士目『陽炎日記』


木尾士目『四年生』



どちらもヒリヒリというかバチバチする大傑作。学生じゃないとこんなん描けないよなあ。
上にあげてる「陽炎日記」の、( )が多用されるモノローグとか、めちゃくちゃくさいけどめちゃくちゃエモいの。
「点の領域」が一番好きかなあ。

沙村広明『波よ聞いてくれ(5)』

一巻のわくわくを返してくれ


ヤマシタトモコ
『さんかく窓の外側は夜』

ちがうねん
もっとこうどろどろして簡単に許し合えなくて怖くて三角くんをめぐる三角関係みたいなのが僕は読みたかったねん
信じて一緒に戦わんでええねん