ペンギンのおなかは白。
あとはどっちかな?

今度着ていく服の色。表紙をはずした下の色。好きだった車の色。むかし持っていた電話の色。カフェモカの入っていたカップの色。残っていたブローチの色。今朝の窓の外の色。きのう見つけたチョコレートの箱。学校。乱暴に書きつけた便箋の色。


今日着ていた服の色。この前買えなかった本の色。さっきまでつけていたイヤリングの色。探してもなかったブローチの色。この前飲んだラテの色。今朝食べたチョコレートの色。ほどいたリボン。出せていない封筒の色。

雪で行事が中止になってしまった。
けれど週に一度くらいは、のんびりと、ペンギンのおなかを撮るような時間が必要なんだ。だからいい。

街中で〈keep it real〉という文字を見つける。どういう意味だろう?……本当のままでいて?

(あとで調べたら「自分に正直に」という意味なんだって。)


〈誰かに連絡したい。なのに連絡しない。ひらいている今だからこそ、ひとりで思考したい。大量のコーヒーを淹れて、机に向かって目を閉じる。〉
三角みづ紀『とりとめなく庭が』

詩人の日記。よく人を好きになる、切手を持ち歩き、手紙を書く。雪のなかで詩をつくる。想いがやぶれたら、髪を赤く染める。
指針がほしいけれどひとりで考えたい。そんな今の気分に合っていた。日記のなかに、思いがけず安房直子さんの名前があってうれしい。

くしくも、〈庭〉という名前をもつ場所でおなじく〈庭〉と名づけられたこの本を読んだ。