「……何やってるんですか」

山崎の見つめる先には、妙と妙の膝の上に頭を乗せて寝転がっている沖田。
風通りのよい縁側で、とても気持ち良さそうである。

「何って、昼寝だろィ」
「いやそれは分かってるっていうかそもそも昼寝してんのもダメなんですけど、この状態は…」
「膝枕です」

にっこりと笑って妙が答えた。

「膝枕ですね…」
「膝枕でさァ」
「…あーもう!分かってるんですよそれは!」

山崎は未だに妙の膝で寛いでいる沖田をびしっと指差して声を張り上げた。

「なんで隊長がお妙さんに膝枕してもらってるんですか!おかしいでしょ!だいたい局長に知れたらっ」
「いいんですよ山崎さん」

荒立った山崎を宥めるように柔らかい声で話した。

「賭けをしたんです。そしてそれに私は負けたんです。だからこれでいいの」
「賭けって…」
「オセロでさァ」

沖田は寝転んだまま、床の上に広げてある、見事に黒に占領されたオセロ盤を指差した。

「沖田さん強いのよ。どんどん返されてしまうの」
「そりゃァこういう相手を攻め立てるゲームは得意中の得意ですからねィ」
「確かに隊長が負けてるのは見たことないですね。――ってそうじゃなくて!土方さんにバレたらまた怒鳴られますよ!」
「土方さんより姐さんでさァ」
「まあ、嬉しいわ」
「そりゃ俺だってそうですよ!でもっ」
「そうカリカリするんじゃねェや。急ぎの用もねェってのに。第一、こんな晴れた日にゃ縁側で昼寝が一番だぜィ。なァ姐さん?」
「ええそうね。あ、山崎さんもオセロします?」
「……」


「総悟ォ!っつかやぁまぁざぁきィィィ!テメェまで何遊んでんだコラァァァ!」