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what is called...

「送ってくれてありがと」
「ああ」

振られた手。向けられた笑顔。
すべてがまぶしかった。
ああ、きっと夕日のせいだ。
夕日が綺麗だから、胸が高鳴っているんだ。
いつの間に自分はそんなロマンチストになったのか。
自分のことながら違和感を覚える。
でも夕日のせいにしないと、この鼓動がこんなに早く脈打つ理由を見つけられない。

「じゃあ、な」
「うん、じゃあ」

このまま見つめてちゃあ惚けて溶けてしまいそうだ。
急いで彼女に背を向けた。
夕日がまぶしい。
やはり夕日だったのか。

「土方君!」

後ろで声がした。
何か言い忘れたのだろうか。
彼女の駆け寄る足音が聞こえる。
振り返った。
が。

ちゅ。

時間が止まった気がした。
頬に柔らかいものが触れた。
何だ今のは。
何が起こった。
彼女は何をした。
そして、今この胸に込み上げている感情はなんだ。
わからない。
頭の中がぐるぐるして倒れそうだ。

「また明日ね」
「…また明日」

二度目の笑顔。
またまぶしかった。
そして分かってしまった。
夕日のせいなんかじゃない。
夕日のせいなんかじゃなかった。
この感情が意味するものに、気づいてしまったのだ。
彼女の唇が触れた頬から全身に広がる痺れが、胸の高鳴りの理由証明していた。



この感情を人は恋と呼ぶのだろうか。

正論者の動揺

「無理なことは無理だから、諦めた方がいいって先生は思いますか」

「いや、僕はそうは思わないな。一九世紀の科学者達は不可能を可能とする革命的な発明をしてきた。こんなものがあればいいという想像を形にしたんだ。幾度となる実験を重ねてね。当時では無理と思われたが実は無理ではなかった。つまり、無理の範囲は定かではないんだよ。もっとも、明らかな不可能はあるんだけどね」

「私の無理は本当の無理かしら」

「さあ、物理的なものでない答えの不明確なものなら、挑戦してみたらどうかな」

「そうね、何事も挑戦て言いますもんね。私頑張ります」

「うん、応援するよ。ところで、志村さんは何に挑戦してみるんだい?」

「伊東先生の彼女になること」

「――え?」


にっこり笑う少女に、正論者は赤面した。
少女の無理は全く無理ではなかったのだ。
なぜなら――。

君だけに甘えん坊

「山崎、高杉は?」
「志村が迎えに来ねェなら行かねェ、だそうです」
「何志村に甘えてんだあのアホ」
「えらく幼稚化したもんですねィ」
「新ちゃん、どうしてわざわざ迎えに行かなきゃならないの甘えんな鬼太郎が、って言ってきてちょうだい」
「なんで僕なんですか!姉上が直接言えばいいじゃないですか」
「それだと結局迎えに行ったことになるじゃない」
「そうだ、新八が行きゃいんだ。お前も志村だし間違っちゃいねェよ」
「僕が行ったところで絶対動かないでしょあの人!」



「どうしてわざわざ迎えに行かなきゃならないの甘えんな鬼太郎が」
「…なんでヅラなんだよ」
「ヅラじゃないシムカツラだ。ご希望通り迎えに参上した」
「帰れ」
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