「うわ、新ちゃん!(タイミング悪!)」
「あれ、タカチン!久しぶり!」
「か、買い物帰り?」
「うん。そういうタカチンも買い物帰り…にしては随分そわそわしてるけど」
「べっ別にそわそわなんかしてねーし!買い物行って帰る途中なだけだし!」
「いやそこまで必死にならなくても…で、家に何か用?」
「え?」
「え?って…ここ僕ん家の前だし。タカチンの家全然違う方向でしょ?何か用があったんじゃないの?」
「(しまったー!)いや、ハハ…ちょっと散歩でもと思って…」
「散歩?アイス買って?」
「うわ!みみ見るなよ!」
「ごめん、見えちゃったんだよ。それにしてもタカチンがバーゲンダッシュなんて珍しいね。――あ、もしかしてタカチン」
「ぎくっ」
「姉上にこれ持ってきたんじゃないの?」
「ち、ちげーよ!俺のだよ!」
「今思いっきりぎくって言ったよね。やっぱり。でも、なんで姉上に?」
「…チッ、新ちゃんには何でもお見通しか。…ほら、お前の姉ちゃんにはずっとお世話になってるだろ。だから、ちょっとお礼しようと思って」
「そうだったの。ちょうど姉上今家にいると思うよ。どうぞ上がって」
「いいいいやいい!新ちゃんが渡してくれ!」
「え、せっかく家まで来てくれたのに直接渡しなよ!」
「いいいいやいいんだ!…お前の姉ちゃんと話すの、緊張するし」
「緊張って。小さい仲良かったじゃん。今更緊張なんて」
「とにかく!いいんだ!これ姉ちゃんに渡しといてくれ!じゃ!」
「あ、タカチン!――行っちゃった」



(あいつの姉ちゃんに会うと、なんかドキドキしちまう)