貴族の領地を通過するというのはそれなりの許可が必要だったり、通行税がかかったりと様々だ。
騎兵隊の遠征の為に貴族の領地を通る場合、事前の許可が必要となる。
それは貴族であり隊長であるレイリが直接相手の屋敷に出向き、通過する理由や夜間を過ごす場合のキャンプ地の場所などの確認をし、承諾を得る。
騎兵隊の遠征には国が関わっていることも多く、各国の国王達からも騎兵隊に協力するようにと、騎兵隊が発足した初代の時代からの習わしがあるため断られることはまずない。
前隊長は多忙を窮めていたため手紙でのやり取りで済ませていたが、レイリは最年少で隊長職に就いた為、直接出向いて誠意を見せるやり方を選んだ。
その方が現地の暮らしを直接見れてレイリにも都合が良かったからだ。
領地の通行許可を貰いに来たレイリは、遠征に先んじて挨拶がてら貴族の屋敷に来ていた。
護衛として、噂に名高い絶世の美男である副隊長を連れて。
流石に若い頃とは違い、重責を課せられて命に重みが出た分、おいそれと隙を見せるはずがなかった。
しかしながら、何故かシュノは屋敷には入らずに屋敷前でレイリと別れ、別行動することに。
「それじゃあシュノ、後で宿屋で落ち合おうね。
頼んだ件についての報告はそっちで聞くから」
「ああ、わかった」
シュノはレイリに顔を近づけると触れるだけのキスをして名残惜しげに離れた。
貴族の話し合いに、護衛とはいえ平民が出しゃばること余り得策ではないと考えたのか、圧倒的強者のオーラに相手が萎縮せず、これは対等な話し合いだったとする為か。
強すぎる力は時に抑止以上の成果をもたらすと様々な失敗から学んだレイリはシュノに周辺の下見を頼んでいた。
いざとなればレイリは何時でもシュノを呼べるのだという事も含めて単身で貴族の屋敷を訪れた。
「クライン伯爵。ようこそ、この様な辺境の地へ。
お疲れでしょう?こちらにお茶の用意ができてますので」
案内された応接間に紅茶の甘い香りが漂う。
「お気遣い痛み入ります。
とてもいい香りですね」
「クライン伯爵は紅茶がお好きと伺いまして。
知り合いから良い茶葉を分けてもらいました、お口に合えばいいのですが」
進められるがままにレイリが紅茶に口をつける。
花と茶葉の香りに混じり、人工的な甘い香りが鼻をくすぐる。
この甘い香りに、レイリは覚えがあった。
自分がシュノを抱こうとして酒に盛った薬と恐らく同じだろう。
しかしながら、シュノ用にとヒスイに頼み込んで効果を何十倍にも増幅させた薬を飲まされた時に意識がトんでしまった。
ただ、この薬は恐らく通常か倍くらいだろうとあたりを付けて紅茶を飲み込んだ。
「とても香りが良くて美味しいですね」
「それは良かった!クライン伯爵は紅茶にお詳しいからお口に合うか心配してました。
こちらは我が領地の特産のストロベリージャムです。
紅茶にもよく合うので宜しければ」
「ありがとうございます、ストロベリージャムは大好きなんです。
お言葉に甘えてご馳走になりますね」
おかわりを注がれた後にジャムを差し出され、ジャムを紅茶に垂らす。
紅茶を混ぜながらこれにも媚薬が入っていると気付いたが相手を警戒させない様にたっぷりと紅茶にジャムを垂らして口をつける。
「甘くて美味しいですね。
僕もよくイチゴを使ってお菓子を作りますが、このジャムの舌触りの良さはお菓子作りの幅が広がりそうです」
「なんと、菓子を自ら作られるとは!
お若いのに多才でいらっしゃる」
「いえ、下手の横好きと言うやつです」
他愛のない会話が続き、相手がこちらの様子をちらちらと伺うような仕草を見せ始めた時、レイリの体には媚薬がゆっくりと回り始めていたが、持ち前のポーカーフェイスでにっこり微笑んでみせた。
簡単にその手に乗りはしない。
レイリはその後もすました顔で紅茶を飲みながら遠征の主旨を伝えて通行許可をもらい、中継地点としてキャンプする場所の相談を終えると、その日の目的を達した。
結局レイリは相手に一切の隙を見せずにコートを掴んで立ち上がった。
「お時間を取らせてしまいすいません。
それでは明後日、遠征部隊がこちらを通過させて頂きますが、その節はよろしくお願いします」
レイリはにこりと微笑みかけ、始終こちらの様子を伺う相手に会釈をすると屋敷から出ていった。
思い通りに行かない相手が実力行使に出たらシュノを呼ぶつもりだったが、そんな気概も無かったようでほっと安心した。
「はぁ……思ったより周りが早いな……」
屋敷から大分離れてから色を帯びたため息を吐き出して木にもたれ掛かる。
先程から身体が熱くて腹の奥がぐるぐるする。
じんわりと身体を巡る媚薬に頭がフラフラしてきて、宿に向かう足取りが重い。
本当は余裕なんかなかった。
にこにこ微笑む裏側で、このまま身体を暴かれたい衝動と戦っていた。
それでも、耐え抜いたのは……
「しゅの………だいて」
部屋の戸を開けると先に宿屋に戻っていたシュノがベットに腰掛けて刀の手入れをしていた。
そんなシュノの手元も気にせずに倒れ込むように抱きついて、ベットに押し倒す。
「危ないだろ、バカ」
咄嗟に刀を持ち替えて横に置いた事で傷は負わなかったけれど、レイリにはそんなのどうでもよかった。
傷はすぐ治るし痛みも今は快感に変わる。
何か文句を言われる前に口を塞ぐ。
「んっ、こら、がっつくな」
「ちゅ、ぷあ、くすりっ、もられ……
しゅのおねがい、がまんできないっ」
「は?薬盛られたって?」
シュノが訝しげにこちらを見る。
レイリの頬は赤く染まり、瞳も潤んで呼吸も色を帯びている。
するり、とシュノの着物の中に手を滑らせてその鍛え上げられた身体に唇を寄せる。
幾度となくシュノに薬を盛ろうとしては返り討ちに会い、意識がトンだレイリを抱いてきた。
今は意識がしっかりとしている状態で積極的にシュノに身体を擦り付けて強請るように見上げてくる。
「しゅのぉ……おねがい」
舌足らずな声が物欲しそうにシュノを呼ぶ。
「全く…一人でノコノコとあんな場所に行くからだ。
大体この辺で少年の誘拐が多いのは知ってだだろ。
次からはレシュオムか鶴丸を連れてけ」
「ぼくっ、しょうねんじゃ、ないもんっ」
余裕なんか無いくせに口答えするレイリをキスで封殺して、キツく、身動きが出来ないほど強く抱きしめる。
キスの合間に漏れる息は熱く、それだけでレイリは蕩けてしまう。
少年のような愛らしい顔付きからは想像も出来ない色気を纏うレイリに、そんなんだから狙われるんだという言葉を飲み込んだシュノはレイリの衣服に手をかけてゆっくりと脱がす。
ブーツも脱ぎ捨て、レイリがシュノに跨ったままうっとりと笑いかけてくる。
「もう、いいよね?
がまんできないっ、しゅの、おくまで、ほしいの…」
切なそうな声と共にレイリがシュノの服に手をかける。
袴とズボンを上手くぬがせて勃ちたがってきたシュノ自身をゆっくりと後孔に押し込んでいく。
「っ、キツ…お前、慣らしてないのにいきなりは痛いだろ」
「んあっ、は、ぁんっ……へぃき、いたいの、きもちぃ…しゅのと、つながってる、わかるから」
レイリは完全にシュノのメスとして身体が認識しているのか、一般的に大きい部類に入るシュノの性器をその小さく華奢な身体にすっぽり収めてしまう。
しかしそこは慣らしていなく乾いていて収まるには収まるが滑りが悪い。
どうしたものかと思考をめぐらせると、先程まで手入れをしていた際に使用していた油の容器がシュノの目に飛び込んだ。
このまま無理に擦れば快感よりも内壁が傷付いてしまい、レイリが苦しむ。
「レイリ、待て。滑りが悪いからこれを潤滑剤にする。
お互い気持ちよくなりたいだろ?」
「……うん」
レイリがしぶしぶ腰を上げて収まりかけていた先端をゆっくり引き抜いた。
指に油を掬い、後孔に塗り込めていくと時おりレイリが痛そうに身体をぴくっと震わせた。
「ほら見ろ。痛いんだろやっぱり」
「もー……うるさいっ」
シュノを組み敷いてる状態なのをいいことにキスで唇を塞いで反論を許さない。
そのままキスを交わしながら、指で中をほぐしながら擦りあげる。
レイリの身体等知り尽くしていると言わんばかりにあちこちを刺激すれば薬で感じやすくなっているレイリの身体はそれだけで身体をビクビクと震わせながら反応している。
「ふぁ、あんっ、しゅ、そこ、やぁっ」
くたりとシュノに覆い被さるように力なく倒れ込むレイリをぎゅっと抱き締めて耳元で甘く囁く。
「そんなに俺が欲しいのか?」
「んっ、あ…ほしいっ、しゅの、ほしっ、おねがい、がまん、もうむりぃ」
切なそうに腰を押し付けてくるレイリに、シュノはキツくレイリを抱き締めて腕に閉じ込めたまま、身体を起こして対面座位の体勢でレイリの腹の最奥目掛けて一気に自身を突き刺した。
「ひっ、あんっ、っ、んああッあああああっ!!!」
敏感な体に一気に強烈な快感を与えられ、レイリは挿入の勢いに耐えきれずに果てた。
密着していた互いの腹をレイリの精がよごす。
「入れただけでイッたのか?
随分仕上がってんな、よく襲われないで帰って来れたな」
「しゅのじゃなきゃ……イけない…からっ、しゅのしか、いらない」
ぎゅっと足を腰に絡めて離さないと言わんばかりに抱きついて腰を揺らす。
「そうか、ならしっかり責任とらねぇとな」
シュノが笑うと同時にレイリの腹を抉るように突き上げ、抱き締められたまま身動きが取れないレイリは快感に打ち震え、悲鳴の様な喘ぎ声を上げながら口の端から唾液を零しながら快楽に酔いしれた。
媚薬を盛られ、その場を涼しい顔でやり過ごしてまで耐えて帰ってきたのだから大した効果ではないと勘ぐっていたシュノは嬉しい誤算に思わず口元を緩めた。
どうやら遅効性だったのか、帰ってきた時よりずっと、トロトロに蕩けたレイリの顔を見ると多幸感と共にもっと自分だけに溺れさせたい独占欲が出てきた。
欲望のまま、腕の中の小さな体を無遠慮に激しく突き上げた。
「ひゃぁ、あああッ!!
ぁんっあんっあ゛ぁ゛っ、あんッ、はひぃっ、むりっ、むりむりしゅの、きもちぃ!!きもちよすぎて、おかしくなっちゃう!!!」
深く繋がったまま抱きしめられて身動きが取れないレイリは、顔をぐちゃぐちゃにしながら泣き叫び、全身を駆け巡る強い快感の波に思考を奪われ、為す術なく愛欲のままに揺さぶられるばかりだった。
「おかしくなれよ、もっと俺だけに溺れとけ」
そう言って微笑むシュノが愛しくて、レイリはぎゅっと抱きついたままキスをして限界を迎えてそのまま果てた。
その時の締め付けでシュノの暖かな欲が腹いっぱいに注がるのを感じで嬉しくなった。
「しゅの…」
甘えるようにねだればそのままベッドに押し倒されて、繋がったままの腰をグイッと持ち上げられた。
「ひぁっ、んんっ……ぁ」
仰向けのまま、太腿に手を添えられて固定されれば、自分がシュノを受け入れているのがありありと見えて顔が熱くなる。
感覚的に理解していても視覚として認識するのは何だか恥ずかしくて顔を逸らす。
そうすればシュノがぬるっとゆっくり根元まで突き刺さっていたそれを引き抜こうとして、慌ててシュノを見上げると、にやっと意地悪く微笑んだかと思うとギリギリまで引き抜いたそれを一気に突き刺す。
「ああああああああぁぁぁ!!!!」
見開いた瞳から涙が溢れ、ぎゅっとシーツを握って身体をビクビクと痙攣させた。
挿入と同時に自分の腹に射精しながら、きゅんきゅんと後孔を締め付ける。
「今日は随分グチャグチャだな。
可愛い、レイリ。もっと声聞かせろ」
「ふぁ、んんっ、しゅの、しゅのっ
きもちい、ひゃう!んっあ、あっあ」
声を抑えることも出来ず、レイリは襲い来る快感にどんどん麻痺していく。
内壁を遠慮なくゴリゴリと突き上げるシュノのそれをぎゅうっと締めつけながら腸口を押し開いていく。
「やぁっ、らめ…おなか、おくっ、とんとんしないれ、おかしっ、ひゃうん!
おかひくなりゅ、あああっ!!」
「ははっ、すげぇ締め付け。
お前が俺に盛った薬より効果薄いからか、意識ありながらグチャグチャのドロドロなの気分がいいな」
「あぁんっ、しゅの、きもちい、すきっ、もう、もうイきたいっ、しゅの、なか、だして!」
顔中グチャグチャにしたレイリがシュノの腰を足で固定して、両手を広げる。
抱っこをせがむ子供みたいなレイリにシュノは微笑んでレイリを抱き締めて頭を撫でながらキスを与えた。
「んっ、んう、しゅのっ、ぷはっ、んむっ、ちゅぶ、ちゅく、んんぅ」
必死にすがりついてキスに夢中になるレイリが愛しくて、腰を激しく振りながら、レイリの手をぎゅっと握って一際激しく最奥を突くとレイリの身体がビクッビクッと震え、シュノも最奥に射精した。
「んぅ、ぷあ……ああ……しゅの…」
「少し落ち着いたか?」
優しく頬を撫でれば甘える様に擦り寄ってくる。
「うん……まだ少し、ぼんやりするけたど……いっぱいイッたから……疲れたけど、心地いい感じ」
うっとりと夢心地なレイリがシュノに甘えてくる。
「これに懲りたら次は護衛を連れて行け」
「……えー。だって、シュノ以外には薬効いちゃうし、ドラックの類だったらまずいでしょ?
今回は香りで直ぐに気がついたけど……
まぁ、飲んじゃってもその後はこうやって君がお清めえっちを……」
「レイリ、お前まさか媚薬を判ってて飲んだのか?」
はっとしたまま固まったレイリは気まずそうに顔を逸らした。
「レイリ」
「………」
あくまで黙りを決め込むレイリに、シュノは繋がったままの腰を激しく振った。
「ひぁ!あっああっ、ずるっ、ひぃん!」
「吐かないと一番いい所で止めるぞ」
「わかっ、わかった、言う、言うからっ!そんなに、おなかズポズポしないで、きもち、まだ、イッたばかり、ああんっ、ひぐうっっ!!」
シュノが早く言えと言わんばかりにレイリを見下ろしている。
軽く呼吸を整えると、きゅんきゅんとシュノを締め付けてしまう後孔を落ち着かせるために腹を抑えた。
「着いてすぐ紅茶を……においで、前にシュノに使ったやつって、判って……」
「それで?」
先を促すように腰を揺らして奥を一突き。
「ひゃあん、い、言うからっ……
最近、シュノが抱いてくれなくて……そのっ……溜まってた、っていうか……」
だんだん声が尻すぼみになり、かぁっと顔が熱くなる。
「マンネリ化して……飽きちゃったのかな……とか、思って、違う刺激をと……
あそこで飲んで来たら、寝盗られ物っぽくて、刺激になるかなって………あの……怒ってる?」
今にも泣き出しそうなレイリを冷めた目で見つめていたシュノは盛大にため息をついた。
「最近お前を抱かなかったのは、お前が俺が遠征に行ってる間仕事詰めで殆ど寝てなかったからだ」
「……そう、なの?」
「まったく、俺が気を使って我慢してやってたのにお前と来たら……」
「我慢より、一回でもいいから抱いてくれた方が安心するし疲れも取れるよ?
ほら、我慢しないで全部僕に頂戴?
その為にわざわざお膳立てして帰ってきたんだよ?」
レイリがにやりと笑ってぎゅっと後孔を締め付ける。
「そうだな。
可愛い恋人が俺とヤりたくて薬飲んで誘って来たんだ、満足するまで付き合ってやるさ」
ぐちゅり、と中のが肥大化してレイリの細い腰をがっちり掴んだ。
「気絶するまでやめねぇからな」
「ひぃう、あはっ、手前で、おねがいっ」
ふにゃりと笑ったレイリにキスをして、愛欲のままに溺れて行った。
「あー……腰が痛い背中が痛い喉が痛い」
ベットに突っ伏して文句を垂れるレイリの恨み言に耳も貸さずに、中に出したものを掻き出している。
「しゅのー……」
枕に顔を埋めたままレイリがシュノを呼ぶ。
「なんだよ」
「………その……気持ち、良かった?」
もごもごと口篭りながら枕に顔を埋め、耳を赤く染めたレイリが聞いてきた。
「当然だろ。
俺はレイリしか知らないし、知りたくない。
お前しか要らない、お前だけでいい」
「……君が一緒に居てくれるだけで僕は幸せ。
だけど……遠征から帰ったら、あの……出来れば、シュノが疲れて無ければ……抱いて欲しい。
君が居ないと、落ち着かなくて、寂しいから……抱いて、愛して欲しい。
体も、心も、全部、全部愛して」
泣いてるのかと思って、レイリの隣に横になって抱きしめる。
シュノが副隊長を引き継いでからというもの、貴族連中から風当たりは強くなるばかり。
シュノが居ない間に耐えきれない事があったのかもしれない。
ポーカーフェイスが得意なレイリの事だ、シュノの前でも無意識に抑制していたのかもしれない。
想いが通じて付き合い始め、身体を重ね合わせるようになって、ようやく身体が慣れてきた頃だった。
レイリが襲われそうになって、泣きながら帰ってきたことがあった。
名家の当主としてその場は毅然とした態度で場を収めてきて、シュノの顔を見た途端泣き崩れるレイリを悲しませたくないと思ったのを思い出した。
「辛いなら辛いってちゃんと言え。
言わなきゃ判らないこともある」
「うん……辛いって言うよりは、寂しかった…んだと思う。
ただ、自分から抱いて欲しいって言うのは……そのぉ……ちょっと、恥ずかしくて……
僕ばかり君が欲しいみたいで……媚薬盛られたって言われたら、言い訳にはちょうどいいかなって」
「だったらそう言え。
別にそう思ってるのはお前だけじゃない。
俺もお前が欲しいと思ってる」
腕に抱きしめたレイリが恥ずかしそうにシュノの肩に顔を押し付ける。
「好き…シュノ、好きだよ。大好き」
「知ってる。俺もレイリが好きだ。
このくだらない世界でレイリだけが大切で愛しい」
レイリはモゾモゾと顔を上げて照れたように笑った。
「じゃあこれからはもっと構って!
シュノが居ないと寂しい…寂しいんだよ……」
「分かった分かった。
今度から遠征から帰ったらお前が気絶する迄たっぷり愛してやるから、今日は寝るぞ。
薬でトンでたとはいえ身体にだいぶ負担がかかってるはずだから明日は一日良い子にしてろ」
「ふふ、はーい。
有能な副隊長が居ると楽できていいね?」
「能天気なお花畑隊長の尻拭をしてやってんだろ、早く寝ろ」
「酷いなぁ。僕の事大好きなくせに。
おやすみ、シュノ…愛してるよ」
頭を撫でればだんだん瞳がとろんと眠そうに船を漕ぎ出し、やがてシュノの腕の中で小さな寝息を立て始めた。
「おやすみレイリ、愛してる」
眠るレイリの瞼にキスをして、明日の周辺調査のついでになにか甘いものでも買ってきてやろうと考えながら、レイリの小さな体を抱き締めてシュノも瞳を閉じた。