カカサス50音SSS 『の』


「カカシ先生は俺たちみたいにサスケを追わないのかってばよ」

今回の任務で病室待機だった俺に、その病室で一人会いに来たナルトが問う。
俺がこんな状態じゃなくとも、今はサスケに会いに行かないだろう事をナルトなりに察していたのだろう。

「サスケに向かう事だけが全てじゃないからね」

笑顔でそう返した俺に、ナルトは不思議そうな顔をした。
サスケと正面に向き合うのは、ナルトだから出来る事で、ナルトにとって最善の方法だ。
素直に向き合えない俺は、俺なりのサスケへの想いの向け方を模索している最中だった。

「カカシ先生は心配じゃねぇのかってばよ‥‥?」
「‥‥信じてるよ」

心配が全くないと言えば嘘になるだろうけれど、それ以上に信じてる。信じたい。

「俺は俺の出来る事をするだけだよ」

今の俺に出来る事は、多分、信じる事なのだろう。
それ以上の事が出来るようになるためには、俺がもっと強くならなければいけないのだ。

「カカシ、先生‥‥?」
「ナルト、お前はそのままのお前でサスケと向き合ってくれたらいいと思ってるよ」

ナルトのように、サスケと正面からぶつかれるほどの心の強さと決意が俺には必要なのだ。
だから、今はサスケを信じて、己を強くする時なのだと思う。


『のんびり過ごせる時のために、今は‥‥』

――まだ誰も知らない不明確な未来だとしても俺はそれを信じてる

Fin.『の』
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