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『も』  (カカサス50音SSS)

カカサス50音SSS 『も』

ぎゅう。
今のカカシの行動を音にするなら、まさにそんな所だろう。
サスケの身体を抱きしめると落ち着く。
もっと一緒にいたい。
こんな甘ったるい感情が、自分にあったなんて知らなかった。

そんな、曇が広がる昼下がり。

一方のサスケはというと、夕飯の買い出しが心配らしい。

「雨が降って出掛けられないかも」
「そしたら、二人で傘を差していこうか」
「もし売り切れてたらどうすんだよ」
「大丈夫。隣里まででも買いに行ってあげる」

心配を盾に、腕の中で甘えることを拒んだサスケも、ここまでくると観念したかのように、ため息を一つ。

「‥‥アンタには負けるよ」

ふわりと、サスケが身体を預けてくる。
それが幸せで、幸せで。
今をかみしめるように、力強く抱きしめた。


『もしもの世界を考えるより、今を大切にしていきたい』


――君がいるのは、まぎれもないこの世界なのだから。


Fin.『も』
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