カカサス50音SSS 『つ』
夕日が西に沈みかけ、東の空にはすでに星が浮かんでいる。
そんな時間の森は暗く、通常の修業は困難になる。
故に、今日もまた、終わりを告げようとしていた。
「ま、こんなもんで今日は終わりにしよう」
「まだやれる」
「無理するな。程々にしないと身体壊すよ」
こんなやりとりはいつもの事といっても過言では無かった。
「でも‥‥ッ」
「また次、見てやるから」
だからいつものように、宥めて気を静めてやればいいだろうとさえカカシは思っていたのだが。
それがどんなに浅はかな事か、気付けていなかった。
「‥‥んだよ、それ」
「サスケ?」
サスケは俯き、拳には力が入る。
様子を伺うようにカカシが肩に手を置こうとしたが、それをサスケは手で払った。
「アンタ、全然分かってねぇよ‥‥!」
「サスケ‥‥ッ」
カカシに叫んで走り去った。
名を呼ばれたが振り返ることもせずに、ただ、走った。
こんな風になりたかった訳じゃないのに。
ただ、今を大切に、アンタと居たいんだよ。
『次なんて、簡単に言うなよ』
――見えない未来に期待して、失うのは嫌なんだ。
Fin.『つ』
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