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※スケベ習作/桐仁×アルトゥール

好みか好みでないかの二択なら間違いなく前者だ。そうじゃなかったらわざわざ労力を使って、時間を割いてセックスしたりしなかった。だが、好みだと思う箇所を挙げろと言われると正直答えに困った。顔か。釣り上がった太眉とまあまあ整った容姿は間違いなく美形と呼ばれる類だろうが、別に性的興奮は覚えない。中身か。いや、小姑ほど口煩くはないが案外年上に対して物言いが多いこいつの性格が好きだとは断言出来ない。と、なると。
「…金か?」
対面座位のまま腰を上下に動かしていたアルトゥールが、一旦動きを止めた。外から田舎特有の虫が鳴く声が響く中、汗をかいた眼前の男は立派な眉毛を怪訝そうに顰めた。
「何の話だ」
「いや別に」
こっちの話だ、そう言って動かすように促す。形の良い締まった尻を揉み解し、下から揺さぶるように突き上げてやると、アルトゥールは小さく呻いた。若さというのはその時にしか存在し得ない、有限の美徳だ。健康的、感度良好、自分よりも一回り以上年下の男は、快楽をありのまま受け入れている。
柔らかく溶けている肛門は、収縮を繰り返して俺の陰茎を飲み込んでいる。首元で縋り付いてくる腕がひどく熱く、奴の体温が測れそうだった。良さそうだな、とせせら笑って腰を突き上げる。
「気持ちが良いか」
「、っ、は、…ああ…、ん、」
「だろうな。さっきからぼたぼた零してるしな」
完全に勃起しているアルトゥールのペニスは、腹で擦れる度に先走りを漏らしていた。早々にいくなよと先に言い付けた通り、しっかり守って我慢している辺り忠犬気質が垣間見えた。甲斐甲斐しいと言うか何と言うか、可愛げはあると思えた。両手で支えていたアルトゥールの尻から左手を離し、ぐずぐずになった大きなブツを握る。
「っ、桐仁、…ぅ、…」
「弄ってやろうと思っただけだ、ほらしっかり締めろガキ」
でもまだだぞ、と汗だくの首筋に歯を立てて陰茎を摩る。射精の我慢も出来ないような馬鹿たれに育てた覚えはない。水音を立てて精液を絡め、昂りを更に熱くさせる。
「あ、ぁ、っ、ぁ、くっ、ぅ、」
「、そうだ、良いぞ、もっと締めろ」
ぎゅっと締め付けがきつくなる。アルトゥールの身体から垂れてきた汗が肌に染み込み、俺自身も絶頂が近付いてきた。尻から腰に手を回して抱き抱え、突き上げを激しくする。獣にも似た低い呻き声が喉から漏れ出る。いく、とアルトゥールは掠れた声で鳴いた。頃合いだった。いけ、と首筋に噛み付くと、肛門の中が途端熱くなった。身体を震わせ、窄まりが更に狭くなり、視界が白くなる瞬間に合わせて射精した。アルトゥールの陰茎からも、粘り気のある体液が勢い良く出てくる。腹が濡れたが、別に良いどうせシーツも服も全部洗濯行きだった。
肩で息をしているアルトゥールが、体重を寄せてきた。骨太の身体は随分と重たかった。俺は長く息を吐き出すと、自身をずるりと抜いた。
「良かっただろ」
にたりと笑う。まだ膝の上で息を整えているアルトゥールは、素直に頷いただけだった。
成程、こいつが好ましいと思う一番の理由は、セックスの相性の良さだと、一人納得した。ぐしゃぐしゃになったアルトゥールの髪を乱暴にかき混ぜて、ベッドサイドに置いてある黒い煙草のパッケージに手を伸ばした。

a ※毛の話/アルトゥールと桐仁

男の胯座に顔を埋めている状況を苦痛と思わないのは自らが同性愛者であるからだろうか。そう問うたら鼻で笑われたのが最早人生の半分より前の事だ。咥え込んだ逸物は汗と体液の匂いを帯びて、乱雑な律動が喉の奥を抉っては絞め上げさせる。それでも彼が意図しない限りは吐瀉物をぶちまけることもなくなり、経験に因って大多数の人間よりも嘔吐反射が鈍っているのかもしれなかった。
気が付けば永らく口を開けたまま俯いていたせいで、水のように唾液が滴っていた。舌の根と軟口蓋で亀頭を絞りながら浅く咥え直し、浮き出た血管を唇でなぞる。歳と直前のアルコール摂取量の割に、有り余っている血液で満たされた海綿体の熱さと硬さは相変わらず申し分なく、気の抜けた溜息のような笑いが漏れた。なんだ、と頭上から声が降ってくる。背凭れに腕を掛け、ほぼ大の字でソファに沈んでいる桐仁が、フローリングに直に座った俺の肩に左膝裏を引っ掛けて頭ごと引き寄せて、俺の顔は恥骨と太股の間に埋まる形になる。右頬に勃起した陰茎が密着し、彼が先の質問の答えを聞くまでもないことを理解した。
尻から臍の辺りまで、それなりの範囲で皮膚を守る縒れたテグスのような陰毛が目に入りそうで思わず僅かに身を引くと、桐仁の左足に力が篭る。今度剃らせてくれ。そう言うと桐仁は決まってエッチだの助平だのと妙な声色と底意地の悪い顔で笑うのだ。冗談でなく真っ当に不便なのだ。陰嚢の表皮を緩く啄みながら、その根本から肛門の手前までじんわりと中指と薬指の腹で撫でる。
「おい、今日は立ち入り禁止だぞ」
「そうか」
制止されたことへの承諾の言葉を口にしながらそのまま指を滑らせた。孔の周りの毛先が意識に残る。やはりこの男は陰部の毛が硬い。


(飽きた)

※昔の話のその後(未完)/桐哉×桐仁

理想と現実は大概大きく違うものだ。夢を見過ぎると痛い目に遭う、それを実感しながら青年期を過ごしたものだった。夢、と言っても小さな理想にしか過ぎなかったのだが、それでも「ナイーヴ」という形容詞が当てはまったであろう自身には理想像が脆く崩れたときは――どんな感傷を抱いたのだろうか。…今やその感傷ですら鬱陶しく、なすがままに、なされるままに動くだけなのだ。
低く唸るような声が断続的に続く。世間一般的な喘ぎ声とは程遠い、手負いの獣の声でしかなかったのだが、男の身体はよく出来たもので、たとえ相手が筋骨隆々の大男だったとしても簡単に勃起してしまうものだった。無論俺がこの男に教え込まれたから、という事実があるからというのも一因だろうが、いざケツ穴に陰茎を入れるという段階になると勃たざるを得ないのだ。勃たないと何故勃たないのかと糾弾される可能性を少しでも潰したいのか、可哀想な防衛本能である。畳に寝転がる叔父は、少しだけ額に汗を浮かばせながら律動に揺れている。は、は、と吐息が真っ昼間の和室で飽和していく。俺は腰を前後に揺らしながら、叔父の剥き出しになった胸を揉みしだく。大きな胸板は女のそれとは違い、厚みだけしかない。別段代わり映えのない見栄えながら、感度は良いらしく、揺れる度に乳首が大きく膨らんでいった。乳頭を押し潰しこねくると、眼前の端正な叔父の顔がにたりと意地の悪い笑みを浮かべた。
「この間の腹いせか?」

※昔の話/桐仁×桐哉

何もかもが彼によってもたらされたものだと、頭で否定していても肉体は覚えているものだった。竹刀の振り方から防具の付け方、相手を誘い出し打突する方法、隙の見方、剣道のありとあらゆる部分を教わった。高校に進学し全国大会で相手の片腕をへし折ったときには、彼からーー叔父から貰った言葉は賞賛の他ならなかった。「よくやったな桐哉」と、相手を戦闘不能にしたことへの賛辞には何と言葉を返せばいいか実際のところ分からなかった。ただ叔父は、俺が強くなり勝ち進むことや色々な物事に対して興味を抱き自ら研鑽に励むことについて、助力を惜しまない人物だった。風変わりだ、風見家の恥曝しと言われ続けていたが、少なくとも俺にとっては「自分より強い」という点において理想的な男だった。渡米する一ヶ月前までは。
剣道以外に教え込むことがまだ沢山あるんだ、お前には。そう言われ布団に押し倒されたときは、頭での理解が追いつくことが出来ず、真顔のまま叔父を蹴り飛ばした。だが所詮十八歳の子供の力で屈強な成人を押しのけることなど出来ず、そのまま「寝台上の格闘技」へと持ち込まれた。何故男の逸物をくわえなければならないのか、何故排泄器官を使ってセックスせねばならないのか、俺は男だ、と、悲鳴を上げつつ俺が問いただしても、叔父はいつもの軽薄な笑みを浮かべて「理由ばかり求めるな」と口にしたものだ。今思えばどう考えても異常だった上にとち狂った行為の他ならないのだが、こうして「出来る幅が広がった」と考えればプラスになるのかもしれない。ふう、と白い煙が襖に遮られるのを視界の端に捉えた。叔父が吐き出す煙草の煙は、知り合いの喫煙者のそれに比べると格段に濃い。肺活量が化け物のようにあるからか、それとも吸うときの癖なのかは定かではないが、数十年振りに見るその姿はどこか哀愁漂うものだった。
「甘い匂いがする」
そう一人呟くと、俺の頭上から聞こえた叔父の声はそうだろうな、と肯定の言葉を口にした。甘いリトルシガーを好んで吸っているから仕方がないのだ。顔に対して煙草があまりにも合っていないと前々から思っていたのだが、それを言葉にすると拳骨が降ってきそうだったため黙っておいた。おしゃべりはそこまでにしておけ、と叔父の硬い手のひらが俺の頭を押さえた。久しぶりに奉仕しろ餓鬼、と言われて剥き出しの逸物を愛撫し、唇で舐め始めたのが何分前なのか、もう覚えていない。叔父にセックスの仕方を学んでから随分月日が経ったが、未だにフェラチオは慣れない。でかいペニスを受け入れるには、生物的に無理な構造をしているのが喉だ、こんなに奥まで突き入れられて嗚咽を催す。ここで嫌だと突きはねたところで、どうせ俺のケツが痛い目に遭うだけならば、ここはおとなしく従っていた方が得策だと思ったのだ。先走りの体液を舌先に感じつつ、太いカリをやわく食んでは揉みほぐす。血管が浮き出た叔父の逸物は、驚きたくなるほど固くなっている。溜まっていたのかもしれない。同居人の男にさせたらいいものの、と思うが、何か理由があってのこの行為なのだろうか。
「…巧くなったな」
何が、とは言わない。多くを語らない叔父の言葉を耳に受け止めながら、上目で彼へと視線を移す。子供にするような手つきで俺の短い髪を梳いている叔父は、鋭い目つきを幾分和らげているようにも見えた。ーーが、次の瞬間には髪を鷲掴みにされ、ぐ、と喉奥へとペニスが突き刺さった。
「、ぅ、ぐ、っ」
「誉めてる側から下手くそになるな、桐哉。ほらしっかり舐めろ。涎こぼすな」
「――、う、ぐ、ぅ」
激しく揺さぶられ、呼吸が出来なくなる。軟口蓋の奥まで入ったペニスのせいで、嘔吐しそうになる。やめろと言葉にならない声が出るが、知ったことではない、と更に突かれる。生理的に出てきた涙が鬱陶しい。は、は、と叔父の息が荒ぎ、ずるりとペニスが抜かれた瞬間にぱたぱたと精液が飛散した。瞼にべたりとついたそれが、鼻先から唇へとどろどろと流れていく。
「う、おぇ、っ、く、ぅ…」
「おいおい、お前がしっかり咥えておかないからこういうことになるんだぞ」
ぱしん、と頬を打たれる。粗相をしたわけではないし、あれが叔父が抜いたせいなのは間違いないのだが。朦朧としながら俺は唇を手の甲で拭い、息を整えた。
「…俺は間違ったことをしていない」
「言うと思ったぜ。だったらほら、名誉挽回しろ。渡米していた時間で、まさかやり方を忘れたわけじゃねえだろう?」
そう言って叔父は下半身を覆っていた服を全てはぎ取った。成る程、今日は俺が叔父を「気持ちよくさせる」わけか。小さなため息をついたが、俺は身体を上げて叔父の腰を抱き抱えた。

※成人後の話/風見×健二

子供だと思っていた頃はとっくに過ぎたらしく、今や筋骨逞しい立派な成人男性となった教え子は、道場の中で稽古をしたときの記憶とどこか食い違って見えていた。軋むベッドのスプリングなんてものは聞こえやしないが、閑静な住宅街でなおかつ古い日本家屋である長屋は、壁はそんなに薄くない。呻きの中に微かな媚声が混じっているようにも聞こえる健二の声が、掠れて聴覚に残っていく。夜半の月はひどく眩しく、夜目が利く俺には彼がどんな醜態を晒しているのかありありと見えた。白い敷き布団のシーツを手繰り寄せるようにして掴んだ手のひらは、剣道胼胝に溢れているのだろう。この子供は力だけは門下生の中で飛び抜けていた、今も掴んだシーツを破りかねない勢いだった。それもその筈、高く上げさせた健二の尻には紛れもない自分自身の陰茎が詰まっている。この性行為が初めてというわけではなく、同居人であるミーシャがいないときで健二が暇を持て余しているときはたまに呼んでこうして事に及んだのだった。俺自身も男であって、性癖はどちらでもどうでもいい、ただこうして高ぶりを収めることが出来るのだったら何でもよかったのだ。――何でもよかった、というのは語弊があるのだろうか、と何度となく前後する身体を眺めながら、額から汗を垂らした。穴があればいいというわけでもない、人間は何かを選択するときに必ず取捨をする。選り好みを絶対的にしないというそれこそ聖人君主のような出来た人間性は持ち合わせていないため、きっとこの眼前の男を選んだのにも何か理由があるのだろう。低く唸るようにして笑う。
「お前はどう思う」
唐突に出た言葉に、健二が何か口にすることはなかった。ただただ喘ぎ、呻き、前から変わらないように俺を「先生」と呼ぶ。浮き出た肩胛骨を指で辿ると、苦しげに息を詰めている健二が、首を少し反らしてこちらに視線をやる。嗜虐心はあの叔父のようなひどいものではないが、成る程確かに「そそられる」ものが少しはあるらしい。俺は乱暴に健二の薄茶けた頭髪を掴むと、後ろへ引きずり寄せた。
「い、っ、」
「俺が訊いている。答えろ」
主語も目的語も皆無な質問だったのは理解していた。だが悪戯心という名目で質問した以上、答えを易々と与えるのは些かつまらなかった。健二は眉を顰め、目尻に痛みからの生理的な涙を浮かべていた。分からない、です、と息も絶え絶えに言うものだから、ふう、と一つ息をついたあとに腰を大きく突き上げた。
「せ、ん、せ、ぇ、あ、やめ、いだ、ぅっ、!」
「何故俺と、お前が、こうしてセックスしているのか、という、ことに、ついて訊いているんだが、」
がつがつと肉食獣のようにがっついて腰を動かす度に、肛門の辺りから粘着質な音が響いて耳障りだった。この男は腸液が漏れ出して痛み出す頃が一番いい反応を示す。かれこれ半時間以上は肛門だけを執拗にいじめ抜いている、そろそろ面白く鳴き出す頃だった。俺の腹筋と健二の尻がぶつかる度に、健二は普段の彼らしくない声を上げて懇願を示した。やめてください、と蚊の鳴くような声は聞こえない。聞こえていたとしても聞いていない振りをするのだ。ピアスの空いた耳たぶに噛みつき、血管の浮き出た首筋に痕を残し、射精する瞬間までひたすら熱をぶつけた。短い髪の毛の先からぽたぽたこぼれる汗が、健二の身体に落ちてシーツに吸われていくその一瞬までもが、ひどくゆっくりで、スローモーションに見えていた。
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