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おおブリbQ-3/6『ハルから始まる花』


「…」春なら知っている。季節のはずだ。

「ハル…」

『うん?』

「 」
喋る言葉が出て来なかった。

口を開いて直ぐに閉じた。

『?』
何か会話として成立させたくてまた口を迷いながら開き


「殺されたい」


問いかけたのか望みなのか判らないトーンで喉から言葉が落ちるように発せられ信じられなくて、


自分が嫌で目の前に死神がいるのも嫌で


「バイバイ」呟くて逃げた。

ハルはあたしが発した意味を一瞬でとることができない隙にハルの横をする抜けて逃げた


道並に行けばお茶の葉の店がある町にくらいでる。
全力に近いソニードで逃げた。

自分の霊圧がどれ程分かりやすく掴みやすいかなどハリベルは知らない



「殺すより」

ハリベルは何故自分が一歩も進めないのか、わからぬままにつっ立っていた。
背後からの京楽の声を耳にしながら。


「ボクはハリベルちゃんを殺すより、愛したいな」

そんな言葉も、そんな口調も、そしてこんな腕のぬくもりも、ハリベルは初めてだった。




「だ、黙れ離せ

理解できないのが、捕まえられた事じゃなくて

耳の近くから声が聞こえて


温かいことだけだった。

「離して


逃げたかった。




「大丈夫だよ、ハリベルちゃん」


あの男の声には違いなかったけれど………。


「離してっ」

「大丈夫だから」

「離して…」

「大丈夫…」

「………離 し、て」



「ハリベル ちゃん 」

何か……


何かハルの言葉の間合いには、私の知らないものが含まれていた。





離して、とか大丈夫とか問答は暫く続いて


逃げだしたいのに

捕まってて


うー「ハルのバカ

子供みたいに

「はやく離して


『ぷ、ははは、かわいいね!!』


「Σ(ΩДΩ〃)うるさい



漸く、ハリベルちゃんは笑ってくれた。

真っ赤になって、怒ってるんだろうけれど、ボクにはとびきりの表情だった。

だから、これはハリベルちゃんの笑顔。


今まで知らなかった

恐らくは長い間忘れていた
感情が目覚めた標し。



ボクはもう少し強く、そして優しくハリベルちゃんを抱きしめた。





あたしがは怒ってる筈なのにハルは笑ってて


それが、心地好いくも憎くも感じ


今許せないとするなら

それはハルではなくあたしの心


あぁ、ダメなんだ


そう思った時


ザー!!!

天気雨


「『・・・・』」


「ハルのせいだぁ!!ハルのせいで濡れたじゃん!!(Ω□Ω)!!」



「えっ!ボク?」

お天気雨をボクの所為だと言われるとは、思わなかった。


しかもハリベルちゃん、真剣に怒ってるし。
ボクの所為だと、真剣に思ってるみたいだし。


「………いやあ、ご免!ご免!」

なんだか、本当にボクの所為のような気がしてきた。





「…もう、やだ帰る
お茶買いに来たのに!!!!!!(;□;)」

子供みたいな自分が
混乱してる自分が

死神に安心した自分が
嫌だった

『真面目に怒らないで、ね!!なら僕がお茶奢るから』


「霊体じゃん!!見えないじゃん!!
あたしは力入れてれば人間見える様になるけどハル霊体だもん!!」


『ギガイならちゃんといるよ!!待たせてるあるの!!』



おおブリbQ-2/6『ハルから始まる花』

「……」


待てと言われたから止まる。殺意も無いので振り向くこともせずに止まって待った。


「…」潮の香りに混ざって死神の匂いが届いた。


嫌いでは無い


そう感じて

やだった。



背中を向けたままの彼女に、ボクは花びらを見る。


「怒ってるの?その、仲間を…送ったこと」

退治したと言っては角が立つと思った。




「仲間なんかじゃない」

花びらの彼女はそう呟くと
漸く振り向いてくれた。





背が高いと言うのだろう。


顔を見るのに見上げる形になった。

「あたしの仲間はお前の仲間が殺したし、あたしの主君はお前らのせいであたしを置いていったからね

今のはただの知らない奴

だからあたしその行為について怒ることも許すことも無い」

死神は間を置いてすまなそうな表情をみせた。

「ごめんよ」


ずいぶん前の、おそらくこいつがやったこでは無いことを謝られた

「別にあたしは謝罪が欲しいつもりは無いけど」


あたしにとってあの日は昔では無いし死神にもあの日の傷はまだ残っているだろう。






彼女とただの虚との力の差はわかっていた。



そして、恐らく仲間だったとしても悲しむことはないだろうとも。





でもボク達が惣右介クンに天の座を明け渡さなかったことで、このコは居場所を失ってしまったのかもしれない。



だからボクは謝ったんだ。





居場所がないっていうことが、どれくらい寂しいことが、ボクは知っていたから。





「…で?」

「うん?」

「あたしが歩くの止めたのに用が無いの?

それともこんにちはとか、さようならとか、おやすみとか言えばいいの?」



たたずむ姿は花の形そのもので。

ああ、きっとこのコは悲しみから虚に堕ちたんじゃないかな。
そう思ったんだ。

整と虚は紙一重なもので、それは生と死に酷く似てるよね。
似てると言うよりも、同じ理なんだよね。


「…こんにちは、ボクは京楽。京楽春水。よろしくね」



「………何、それ?」

彼女は顎を引いて益々口許を隠し、怪訝な顔をした。



「何って、挨拶だよ?それと自己紹介」

ボクは七緒ちゃんに見せるのと変わらない表情で、彼女を見ているつもりだ。







「…」名前を名乗ったのはわかった。よろしくと言ったのだからおそらく名だ






「…」顎に手を当てて海だか空だかみて思案して


「…楽太郎?」

『待った違う全然違うような惜しいようなとりあえず違う


「…よろしくしなきゃだめ?」


スッゴい真剣な顔してそこを聞き直すの


…「漢字だよね」

『うん』

「……ファーストネームは」

『春水だよ、【春】の【水】って書くんだ』

…「あっそぅ」

今聞いたのに「別にどうでも良い」って顔しないでよー!!!』

おどける様に泣く真似をしている


「…ハリベルだ」

とりあえず名乗って、今しがた名乗られた【音】で呼びやすそうなのを選ぶ

「ハル…か」

海をもう一度横目に眺めて呟いた



『春』は漢字の説明をしただけのつもりだったが、彼女…ハリベルにはその音しか受け入れられなかったらしい。



…まぁ…………
ボクの名前なんかどうでもいい。

君が
微笑んでくれたら。



まだ、遠くを眺めているけれど
微笑んでくれたら、いいな。



おおブリbQ-1/6『ハルから始まる花』



「…明る…まぶし」

久しいと言うのだろうか、主君を失いあたしの世界から太陽が消えた。

空を見ることを無とされた世界で命が保ってしまったために死の続きをいつまでも引きずり続けているあたしに


この生きている世界は久しいのだろうか


「…」月は見てるから青空が久しいのか


「…」振り向いたら


凄く蒼かった。澄んでる。

「…」海?

水と空の境界



潮の香りが気持ちよく

「…ふうん」

…孤独だった


あたしには闇しかない闇しかない世界は続き続け

その世界しか闇しか居場所もない。


綺麗な世界に感情はなかった


それだけ思って



耳に入る音を認識した

「…エスパーダ喰おうって?雑魚のくせに」

もう十刃はないけどさ。


悲痛な叫びは後ろからあたしに向かってくる


振り向いたら…叫びは止んだ

止まっていた

「……」殺したか。ああ、こいつらは魂葬だっけ。


ハデなのがいた。

死神なのは間違いなく。明るい色のついた着物のをはおっていた。

「……」


向こうもこちらも向いた

眼があうだろう。





 かわいいコだな


目が合った瞬間、ボクが思わず考えてしまったこと。


それは花びらのような女の子のこと。


口許を萼のような衿で隠し、腰から下は俯いた花のような衣装。


花びらのような女の子だった。



花ではなく、花びら


ボクのこの感性が、誰にわかるだろうか。




破面相手に何を考えているんだと言われそうだけど。


かわいいコなのには変わりなかったんだよね。




ボクに、殺気はない。

勿論気を抜いたりはしていないけれど、

こんなかわいいコにどうやって敵意を抱こうかと悩んだんだよね。






「……」


相手は刀をあろうことか鞘に戻した。

斬るつもりも無いのだろう

あたしは見据えていた。

話かけるつもりもない。

眼が気に入らないと思ったから


優しそうで気に入らないと

死神のくせに

「…」





彼女の眼に、嫌悪の色が見えた。

敵なのに
という、嫌悪。


敵なのに
何故、この場で斬魄刀を鞘に収めるのだという嫌悪。



虚自体が、心の闇に囚われた者。

だから疑惑や不信や憎悪や嫌悪といった感情は簡単に抱いていることはわかっていた。



けどねえ…

かわいいコじゃないの。




斬魄刀を収めたボクに、これ幸いと戦いを仕向けても来ないんだよね。





「…」いいや、行こう。

別に死神に会いに来たわけでも殺しに来たわけでも海が見たかったわけでも空が見たかったわけでもない


お茶を買いに出てきたのだ。


「…バイバイ」

死神にも聞こえただろうけど、あたしはここで止まってたからこそ眺められた景色に告げて歩きだした



「あ、ねえ。待ってよ」



バイバイだなんて、礼儀正しい破面じゃないの。







思った通り、ボクが話しかけたら彼女は足を止めた。



驚かさないよう、ゆるりゆるりと近づいて行った。



逃げることも無視する様子もない。



おおブリbP-4/4『寄り道の小道』

 『相変わらずだな』

その言葉に僕はほっとする

相変わらずの気持ちで相変わらずの微笑み方で


「当たり前じゃないか」
そう応えた

僕が君と並ぶのも、

君が僕と歩くのも

「変わりようがないんだよ、ね」


たまには、確かめてみたくなる。

親友という他人が僕の信じている人か


自分という不確かな一定しない固まりがなんであったか

「まあ、誰もが

唯一変わらず、常に変わってくらしいねぇ。

だからね、

浮竹、君は変わってくれるなよ」


僕らは見つめ合うより同じ道を進み歩んできたのだから

「さ♪七緒ちゃんにお茶入れてもらおうっと」


風のように笑顔を俺に向けると、もう次の瞬間には前を向いて軽い足取りで来た道を戻り始めていた。


 こいつ………

いや、やめておこう。
言ったところで同じ事だ。



伊勢を煙に巻いて俺の前に現れておきながら、今度は何事もなかったように彼女の元へ帰るんだろう。

伊勢は当然、怒りは収まってなくて。

それでもお前は
「あれえ、そうだった?」
とかとぼけて

結局、伊勢が折れて
茶をいれるんだな。




「何?何を笑ってるの」

京楽が俺の忍び笑いに、問いかける。


『いや』

やめておこう。
言ったところで同じ事だから。




「ケチだねー。笑ってる理由くらい教えなさいよ」

天気が良くて

散歩できて


「あんまりケチだと変な器官に笑い入って死んじゃうよー」

『そんなんで死ぬわけあるか!!』


楽しいな



全く、京楽って男は
どんな時でも呆れさせ、微笑ませてくれる。


こいつと居て 飽きる事はない。
俺と居て こいつが楽しそうに見えるのは…………




俺の自己満足でないと


確信のある俺もまた

こいつと居て 楽しいからなんだろう。







後日


「浮竹ー!!もふもふしてきたよvV」


『…結局サボってるだけか?』


「違うよ!!七緒ちゃん許してくれたからもふもふしにいったんだよ、ついでに書類届けたもん」


『書類のついでな』



おおブリbP-3/4『寄り道の小道』

馴染みの店なので勝手に動き回る僕に浮竹は呆れてるみたいだった。


「あ、こっちのは包んであげるから決めたら教えてね」
『………』

京楽はただ単にサボりに来たわけでも、菓子目当てに此処を訪れているわけでもなかった。


何年付き合っても、未だ知らない京楽に出会うことがある。

それは俺が今まで見逃していただけなのか、それとも京楽が他人に見せないだけなのか………。



だから

だから俺は、こいつから目が離せないんだな………。







「そいじゃ、そろそろおいとまするよ!

またね〜vV」


僕は「僕の大猫ちゃん」に軽くハグして七緒ちゃんへのお土産を持って浮竹と外に出る


「いやぁ、長く付き合わせちゃったねぇ」

いつもの感じに謝った

「あ、これあげる。奥から貰ってきたから。」

僕はタッパーみたいなやつを浮竹に渡した

なんだこれ?と見てるので軽く応える


「梅干しの蜂蜜で浸けたやつだって。
わけて貰っちゃった

君の好きな味だ」

僕は

君のことはだいたい知ってるからね

『ほう、こんな物まで扱ってるのか』

俺は両手でその包みを受け取った。


「いや。それは大猫ちゃんの日常食だよ。でも食べていいからね」

家に滅多に帰らない京楽が、家のように寛ぎ、家族のように出迎えられ接する―――あの菓子処は京楽の心の帰る場所なのだと、またしても言葉ではなくやりとりで教えられた。





僕はのんびり歩く

隣を歩くのがよく発作起こす人だからとかではなく、これが僕のペースだから


浮竹と歩くためにあるペースだから


「そっちの隊の子にお店勧めといてよ♪
美味しいからさ♪

作ってくれてるのもあんなに美人だしね」

浮竹は僕の言葉に笑った

「なんだい?美人よりかわいいタイプが好きなんだっけか?」
僕も微笑みながら浮竹に問う


『相変わらずだな』

相変わらず、女の子の話で焦点をぼかす。

お前が外見だけで女の子を判断なんかしていないと、十分にわかっている俺にさえ、そうやって共犯を強いる。





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