「…」春なら知っている。季節のはずだ。

「ハル…」

『うん?』

「 」
喋る言葉が出て来なかった。

口を開いて直ぐに閉じた。

『?』
何か会話として成立させたくてまた口を迷いながら開き


「殺されたい」


問いかけたのか望みなのか判らないトーンで喉から言葉が落ちるように発せられ信じられなくて、


自分が嫌で目の前に死神がいるのも嫌で


「バイバイ」呟くて逃げた。

ハルはあたしが発した意味を一瞬でとることができない隙にハルの横をする抜けて逃げた


道並に行けばお茶の葉の店がある町にくらいでる。
全力に近いソニードで逃げた。

自分の霊圧がどれ程分かりやすく掴みやすいかなどハリベルは知らない



「殺すより」

ハリベルは何故自分が一歩も進めないのか、わからぬままにつっ立っていた。
背後からの京楽の声を耳にしながら。


「ボクはハリベルちゃんを殺すより、愛したいな」

そんな言葉も、そんな口調も、そしてこんな腕のぬくもりも、ハリベルは初めてだった。




「だ、黙れ離せ

理解できないのが、捕まえられた事じゃなくて

耳の近くから声が聞こえて


温かいことだけだった。

「離して


逃げたかった。




「大丈夫だよ、ハリベルちゃん」


あの男の声には違いなかったけれど………。


「離してっ」

「大丈夫だから」

「離して…」

「大丈夫…」

「………離 し、て」



「ハリベル ちゃん 」

何か……


何かハルの言葉の間合いには、私の知らないものが含まれていた。





離して、とか大丈夫とか問答は暫く続いて


逃げだしたいのに

捕まってて


うー「ハルのバカ

子供みたいに

「はやく離して


『ぷ、ははは、かわいいね!!』


「Σ(ΩДΩ〃)うるさい



漸く、ハリベルちゃんは笑ってくれた。

真っ赤になって、怒ってるんだろうけれど、ボクにはとびきりの表情だった。

だから、これはハリベルちゃんの笑顔。


今まで知らなかった

恐らくは長い間忘れていた
感情が目覚めた標し。



ボクはもう少し強く、そして優しくハリベルちゃんを抱きしめた。





あたしがは怒ってる筈なのにハルは笑ってて


それが、心地好いくも憎くも感じ


今許せないとするなら

それはハルではなくあたしの心


あぁ、ダメなんだ


そう思った時


ザー!!!

天気雨


「『・・・・』」


「ハルのせいだぁ!!ハルのせいで濡れたじゃん!!(Ω□Ω)!!」



「えっ!ボク?」

お天気雨をボクの所為だと言われるとは、思わなかった。


しかもハリベルちゃん、真剣に怒ってるし。
ボクの所為だと、真剣に思ってるみたいだし。


「………いやあ、ご免!ご免!」

なんだか、本当にボクの所為のような気がしてきた。





「…もう、やだ帰る
お茶買いに来たのに!!!!!!(;□;)」

子供みたいな自分が
混乱してる自分が

死神に安心した自分が
嫌だった

『真面目に怒らないで、ね!!なら僕がお茶奢るから』


「霊体じゃん!!見えないじゃん!!
あたしは力入れてれば人間見える様になるけどハル霊体だもん!!」


『ギガイならちゃんといるよ!!待たせてるあるの!!』