「一度垂れ流した感情って、もう元には戻らないと思うんだ。」
『もし、それを誰かが掬ってくれたら、その感情は無碍にならないと思うけど。』
「そんなの綺麗事。」
『うん、それは言えてる。けどね、私は君がそんなこと言ってくれて嬉しいと思った。』
「何故?」
『だって君には『綺麗だ』って思える心が残ってるってことだろ?』
「そうかな」
『そうだよ。私には、もう何も残っていないもの。』
「××はいつも哀しそうだね。」
『、』
「大好き、って言ったら怒るかい?」

 儚くて、優しくて、それでいて何処か寂しげな××。
 もう一度逢いたいと願い、俺は夢を見続ける。そして、次の夢から醒めたときはきっと、俺の居場所は何処にも無い。


/妄想癖